預かったシナリオ
@RMB
はるさんよろしくお願いします
-シナリオver01- 10:39
タイトル
『トウキョウ・天使の詩』
原作:川上 大典 修正:小澤真紀子
Mail:kawakami_taiten@yahoo.co.jp
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・対象年齢
小学生~大人(おやぢ推奨)
・企画意図
古典ではあるが、普遍的で、いつの時代でも多くの人に支持される話になればと思う。
・テーマ
恋。愛。
・登場人物
【今川 友里香】
16歳の女子高校生だった幽霊。
同じ3日間をループし続けている。
ノリが良くて、純粋で、良い娘。
美人というよりは、可愛い。発育が少し良いらしい。
高校の制服を着ている。
【天使のおぢさん】
スーツ姿のおぢさん。
天使。世界の平和を見守っている。
【有馬 健太郎】
17歳の高校生の男の子。
元気で明るい。
割とイケメン。
初めてのナンパで友里香と出会う。
【友里香の母】
今川友里香の母親。
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タイトル
「トウキョウ・天使の詩」
・シナリオ本文
○東京タワーのてっぺん(夕方)
東京タワーのてっぺんに座っている制服姿の友里香。
まるで世界の終りのような、広大な夕焼けが広がっている。
【友里香】「夕焼け……きれいだな」
友里香、悲しそうにスマホの日付を見て。
【友里香】「でも……明日からまたやり直し」
と、タワーからひらりと飛び降りる。
○新宿駅・全景(日替わり・昼)
○同・東口構内
友里香が歩いていると、天使のおぢさんにぶつかる。
【友里香】「あ、スミマセ……」
と、振り返ろうとすると。
【友里香】「(何かに気付いて)!!」
【天使】「大丈夫」
【友里香】「――(絶句している)」
【天使】「どうしてぶつかったのかって顔だね」
【友里香】「ひょっとして……、おじさんも幽霊?」
【天使】「幽霊というよりは天使かな」
【友里香】「天使?」
【天使】「うん、天寿を全うしたからね」
【友里香】「……天寿」
友里香、悲しそうに俯き。
【友里香】「私は……多分、天使にはなれない……」
【天使】「なぜそう思うの?」
【友里香】「死んだ理由がわからないの。それで同じ3日間を繰り返してる。でも多分……」
【天使】「急ぐことはないよ。3日もあるじゃないか」
【友里香】「えっ」
【天使】「きっと何か意味があるんだよ。私との出会いもね」
ばあっと顔を輝かせて一歩踏み出すユリカ。
でもそこにはもう誰もいない。
【友里香】「――(立ち尽くす)」
健太郎の部屋(夜)
暗闇の中。布団を頭からかぶってうずくまっている健太郎。
周囲ではざわざわと嫌な声=ノイズが聴こえている。
「まじだるい」「毎日なんで生きてんのかな」――等。
健太郎「――ッ」
何かを思い詰めたように、ばっと布団から顔を出す健太郎。
暗闇で顔はよく見えないがどうやら黒髪。
健太郎の家・外観(夜)
深夜に風呂場の灯だけがついている。
響き渡るシャワーの音。
○新宿・全景(日替わり・昼)
○雑踏の中
フラフラと歩いている友里香。
○アルタ前
友里香がアルタ前を歩いていると、背後から健太郎の声。
【健太郎の声】「もしもし」
友里香、無視。というか気付かない。
【健太郎の声】「もしもし」
友里香、無視。というか気付かない。
【健太郎の声】「おーい、そこの彼女!」
【友里香】「(振り返り)!」
見るとこちらに声をかけている明るい髪色の健太郎。
【健太郎】「ね、君だよ、君」
【友里香】「……わ、私のことが見えるの?」
【健太郎】「うん?」
【友里香】「……ひょっとして、アナタも……天使?」
健太郎、軽く首を傾げて。
【健太郎】「ね、俺とデートしない?」
【友里香】「えっ!」
友里香、後ずさり。
【友里香】「い、いや!」
【健太郎】「そんなこと言わずにさ、ね?」
【友里香】「イヤ」
健太郎、泣き真似し。
【健太郎】「……クスンッ」
【友里香】「……何で私とデートしたいの?」
【健太郎】「男の子は可愛い女の子とデートしたいもんなんだよ」
【友里香】「わ、私、か、かーいくなんかないよ!」
【健太郎】「かわいいよ。ね、ね、デートしよ?」
【友里香】「……(むうっ)」
【健太郎】「一生のお願い」
【友里香】「……じゃあ……名前を当てたら教えてあげる」
【健太郎】「いいよ、友里香ちゃん」
【友里香】「えっ」
【健太郎】「今川友里香ちゃん。でしょ?」
【友里香】「な――なんで!」
健太郎、生徒手帳をひらひらとかざして。
【健太郎】「こいつ、落としてたよ。おっちょこちょいの今川友里香ちゃん?」
【友里香】「――!!」
【健太郎】「俺の名前は有馬健太郎。宜しくね」
○映画館の前
映画館の前に立つ、健太郎と友里香。
【健太郎】「この映画、やっと観られるよ」
【友里香】「やっと?」
【健太郎】「やっぱ、こういうラブロマンスは、彼女と観ないといけないだろ」
【友里香】「『彼女』」
【健太郎】「あ、ツッコミは無しね」
【友里香】「そういうもんかな?」
【健太郎】「男はそういうもんなの」
○映画館の中(夕方)
上映が終わり、観客が帰っていく劇場内。
○映画館の前(夕方)
映画を観終わり、映画館の外に出てきた健太郎と友里香。
【健太郎】「……グスンッ」
【友里香】「男らしくないなあ」
【健太郎】「なんだよお」
【友里香】「だって、健太郎くん、映画の中盤からずっと泣いてるんだもん……」
【健太郎】「泣かない友里香ちゃんの方が、ココロが冷たいんだよ」
【友里香】「えーーっ」
【健太郎】「なーんて、知ってるよ!友里香ちゃんが優しいニンゲンだってこと!」
健太郎、笑って逃げるように駆けていく。
○喫茶店(カフェ)の中(夕方)
テーブルの上に二つのティカップ。
健太郎はコーヒー。友里香はミルクティ。
友里香は幽霊なので飲まない。
【健太郎】「俺、そんなに軽い男じゃないんだぜ」
健太郎、明るい色の髪をいじいじといじりながら。
【健太郎】「ナンパだって、じつは、今日が初めてだったんだ……」
【友里香】「え、そうなんだ~」
【健太郎】「何、にやけてるんだ?」
【友里香】「別に、にやけてなんかないも~ん」
【健太郎】「信じてないなあ」
【健太郎】「ね、友里香ちゃんは、どんな男の人がタイプなの?」
【友里香】「私が好きなのは、人の痛みが分かる優しい人かな」
【友里香】「あとは、どんなに悲しいことがあっても、元気で明るくて何でも食べる男の人」
【健太郎】「何でも食べられる方がいいんだ?」
【友里香】「うん、好き嫌いがない方が、料理の作りがいがあるもん」
【健太郎】「料理が得意なんだ?」
【友里香】「うん。私、卵焼きが上手に作れるんだよ」
【健太郎】「へ~そうなんだ」
【友里香】「オムライスも作れるよ」
【健太郎】「いいね」
【友里香】「目玉焼きだって作れるんだから」
【健太郎】「全部、卵料理じゃないか!」
【友里香】「フフッ」
【健太郎】「ねえ、明日は遊園地行こうよ!」
【友里香】「えっ」
【健太郎】「なに、遊園地嫌い?」
友里香、テーブルの陰でそっと指折3つ数えて。
【友里香】「あ、『明日』……ううん、『明日』……ダイジョブ、だと思う」
【健太郎】「じゃあ決まりだ!」
◯遊園地・広場(日替わり・昼)
遊園地に来た健太郎と友里香。
【健太郎】「遊園地といえばジェットコースターだよな」
○同・ジェットコースター
ジェットコースターに乗っている友里香と健太郎。
昇り詰めていくジェットコースターの中で。
【友里香】「わー、高い」
【健太郎】「昔、ジェットコースターに乗って死にかけたことがあってさ」
【友里香】「えっ?」
【健太郎】「それ以来、なんか妙な体質に……」
止まっていたジェットコースターが動き出し勢いよく下っていく。
【友里香】「キャー!」
○遊園地・広場
ジェットコースターが終わり、並んで歩く健太郎と友里香。
【健太郎】「……怖がりだなあ」
【友里香】「普通だよ」
【健太郎】「ははは、女の子はそれでいいんだよ」
【友里香】「もうっ馬鹿にしないでよおっ」
【健太郎】「ふふ、次は観覧車に乗ろうぜ」
○観覧車・全景(夜)
○同・中(夜)
観覧車に乗る健太郎と友里香。
大きな窓から外の風景を見て。
【友里香】「綺麗な景色」
【健太郎】「………」
【友里香】「………」
見つめ合う二人。
【友里香】「こうやって、二人で向かい合って乗ってると照れるね……」
【健太郎】「う、うん……」
【友里香】「健太郎君、緊張してる? ふふ」
【健太郎】「ねえ、どうして俺が友里香ちゃんに声をかけたか分かる?」
【友里香】「えっ? どうして?」
【健太郎】「聴こえなかったから」
【友里香】「なに?」
【健太郎】「ココロの汚い声が、聴こえなかったからだよ」
【友里香】「――」
【健太郎】「さっき話したでしょ? 俺、死にかけてから、人の心の声っていうか、
嫌なざわめきが聴こえるようになったんだよ」
【友里香】「……でも」
健太郎、そっと友里香の手を取り。
【健太郎】「友里香ちゃんにはそれがないんだ。だから特別」
【友里香】「! でも私――」
そこへドーンと、夜空に花火が上がる。
【友里香】「わあ!」
健太郎も振り返る。
【友里香】「……綺麗」
花火に見入る二人。
○アルタ前
アルタ前に立つ健太郎と友里香。
【友里香】「……今日は楽しかった」
【健太郎】「ね、友里香ちゃん、明日も会おうよ?」
【友里香】「うん」
【友里香】「あ……」
【友里香】「明日は……会えないかもしれない」
【健太郎】「俺、明日もここに来るから」
【友里香】「………」
【健太郎】「待ってるから」
【友里香】「………」
【健太郎】「これ、約束のシルシ」
ポケットから赤いミサンガを出して友里香に渡す健太郎。
【友里香】「………」
【健太郎】「あ、もうこんな時間か」
【健太郎】「……じゃあ、気を付けて帰るんだぞ」
【友里香】「……うん」
【友里香】「ねえ……健太郎くん」
【健太郎】「何、友里香ちゃん?」
【友里香】「えっと、何でもない……」
【健太郎】「?」
【友里香】「……健太郎くん、バイバイ」
別れる二人。
○街角
街の片隅にいる友里香。
具合が悪そうに、胸を抑えて、膝を落とす。
【友里香】(健太郎くん、ありがとう。そして、ごめんね……)
【友里香】(私はココロがキレイなワケじゃないの、ただ、空っぽなだけなのよ……)
消える友里香。
○東京タワー(夜)~(日替わり・朝)
夜から朝へと変化する東京の空。
○アルタ前
友里香と会った場所に健太郎がいる。
【健太郎】「……やっぱ、来るわけないよな」
健太郎、ポケットから赤いミサンガを出して。
【健太郎】「……指輪とかにしとけば良かった」
時間が経つ。
【健太郎】「………」
【健太郎】「くしゅん」
【健太郎】「………」
○東京タワー・てっぺん(日替わり・朝)
【友里香】「……またここかあ」
と、スマホの日付をチラリと見て。
【友里香】「……あれ?」
【友里香】「日付が進んでる?」
T「数ヶ月後」
モノローグ。
【健太郎】(今日、あの娘のいる住所が分かった……)
○住宅街の道
道を歩いている健太郎。
【健太郎】(あの日拾った生徒手帳から)
【健太郎】(俺は、思い切って、あの娘の家に行くことにした)
○友里香の家の前
友里香の家の前に立つ健太郎。
インターホンを押す。
ピンポーン。
ドアが開き、友里香の母が出てくる。
【健太郎】「こんばんは」
【母】「……はい」
【健太郎】「あの、友里香ちゃん……じゃなかった、友里香さんは?」
【母】「友里香?」
【母】「………」
【母】「友里香なら亡くなったわ……」
【健太郎】「!?」
【健太郎】「そ、そんな……ウソ……だろ」
○健太郎の部屋の中
ベッドに突っ伏す健太郎。
赤いミサンガを握りしめ。
【健太郎】「友里香ちゃんが死んでたなんてウソだ……」
【健太郎】「俺は……俺は絶対に信じないからな」
【健太郎】「……デートしたんだ」
【健太郎】「……友里香ちゃんは、俺なんかに笑ってくれたんだ」
【健太郎】「あんないい子が、死ぬはずないじゃないか……」
目の前に、昔の健太郎の写真がある。
地味で冴えない眼鏡姿。
健太郎、その写真をそっと伏せて。
【健太郎】「生まれ変わった俺に、初めて優しくしてくれた子……やっと見つけた子」
健太郎、ポロポロと涙をこぼし。
【健太郎】「……涙が止まらないや」
○新宿駅・東口構内
決心したように歩いている友里香。
途中に天使のおぢさんが立っているのを見つける。
友里香、おぢさんに詰め寄り。
【友里香】「ねえ……私が死んだ理由を知っている?」
おぢさんが振り返る。
【友里香】「私を彼に会わせたのは、多分おぢさんでしょ?」
○健太郎の部屋の中(夕方)
【健太郎】「どれだけ泣いただろう……」
【健太郎】「……そういえば友里香ちゃん」
回想。
【健太郎】【ね、友里香ちゃんは、どんな男の人がタイプなの?】
【友里香】【私が好きなのは、人の痛みが分かる優しい人かな】
【友里香】【あとは、どんなに悲しいことがあっても、元気で明るくて何でも食べる男の人】
【健太郎】「………」
【健太郎】「……そうだよな」
【健太郎】「天国にいる友里香ちゃんを悲しませるわけにはいかない……よな」
【健太郎】「俺、明るくて元気な健太郎でいるから……」
【健太郎】「……グスンッ」
○新宿駅・東口構内(夕方)
天使のおぢさんと向かい合っている友里香。
【友里香】「私、天使になれるかな」
【天使】「……」
【友里香】「本当の愛に出会えたから」
と、そっと胸を押さえる。
その手首には赤いミサンガ。
○住宅街の道(日替わり・朝)
上を見上げる健太郎。
【健太郎】「さよなら、友里香ちゃん」
掲げたミサンガがほどけて風に舞う。
【健太郎】「……本当に好きだった人」
空からひらりと天使の羽が舞い落ちる。
-完-
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