第46話 決戦! VSブライ



「ふざけるな!!【氷柱アイシクル】!!」


父親に対して、湧き上がる怒り。それを、無駄だと分かってもぶつけていく。


「そんな魔法、私には効かないぞ」


飛ばされる氷柱は、全てブライの体に当たる前に消失してしまう。それでも。ヴィリスは撃ち続ける。撃たない限りには、感情を発散できそうにはなかった。


「無駄な足掻きを!!」


風魔法で体が浮き、後ろに飛ばされる。その上、炎魔法が飛んでくる。それを氷で相殺するも、勢いのまま後ろの木へと強く体を打ち付けられてしまう。


「ウッ……!!」


周囲にいたエルフたちは、今起こったことから危険を察知し、一目散に逃げていってしまう。


「実に弱いな…… まだまだその程度ではないだろう? 私の息子よ、さらなる力を示さない限り、私は失望してしまうな」


「まだ、戦えます」


悠々と、ブライは歩み寄ってくる。そこには、強者の余裕と自信があった。見せる仕草のひとつひとつから、ひしひしと感じられる、強気な姿勢。数々の戦いを乗り越えてきたという確かな思い。


「よろしい。よろしいよろしいよろしいッッ!!」


舐めきっている父親の、腐敗した精神を叩きのめしたい。それだけが今のヴィリスの望み。自分の力で、この局面を乗り切るしかないんだ。そう思っていた。


「ヴィリス!!」


「ほう、味方の加勢か」


ミランダたちが、木々の間から姿を現す。


「やあ、我が息子たちよ。存分に抗うといいよ!!」


「こんなところにお出ましか…… 死んだはずの英雄様は。これはいったいどんな状況だ? 貴様はなぜ英雄と戦っている?」


「やあ、ミランダ、リーナ、フライス。よく来てくれた。実にうれしいよ。来るだろうと信じていた反面、ここまでたどりつけないとも思っていたから、ね!!」


 再度、ブライは計18個にも及ぶ魔法を展開する。


「見たか? これが私の力だ。そういえば、死んだ、という情報が流れていたようだけど、あれは半分嘘で半分正解といっただね。私は死んだように生きながらえている。復活した、という表現が正しいかもしれないがね」


「何がいいたい、英雄?」


「やはり君は私を心底嫌っているようだね…… 残念だ、非常に残念だ。目の前で歯向かおうとする我が娘・と・息・子・た・ち・は。みな私の血を宿しているというのにね」


 ミランダが言葉の意味を理解するのに、そう時間はかからなかった。


「この俺が、お前の息子だといいたいのか??」


「そうだ。ここに立つ4人全員が、私の血を宿している。【英雄パーティー】とは、私の血を受け継いだ、魔法の才能にあふれた人物たちの集団。すべては、私の手のひらで踊らされていたということよ。私が復活したのは、この私を凌駕しうる力を得たという証拠他ならない。さあ、戦え。この私を倒すために荒れ狂うといい」


「てめえ……」


 最も嫌っているブライが、自分の父だという。その真偽がどうであろうと、今はどうでもよかった。流れている血が、やけに穢けがららわしいものだと感じた。


「斬りたいなら斬るといい。なんせ、君の剣は魔法を打ち消せるからな」


「ミランダ、挑発にはの……」


「黙れ!!」


 忠告も聞かず、ミランダはブライの元へと突っ込んだ。

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