OUTSIDER. 友達✖️依存

ABC

第1話 メロ奈

 ガタンゴトンと、電車はいつもの道を走っていました。少しばかり開いている窓から冷たい風が吹き込んできて、それがマフラーと首との間をすり抜けて、とても心地が良いのでした。なにせ冬の電車は外で冷えてきた人々が集まり、暖かい空気が生まれるので、少しばかり暑いのです。ですから、あたしには、冷たい風が首筋を撫でる―それくらいがちょうど良かったのです。

 曲がり角に差し掛かると、人々の持つつり革がギーギーと音を鳴らして、人々を支えていました。あたしは「あぁ、今日も頑張ってくれている、ありがとう」と、ただありがたく思うのでした。

 あたしは高校生です。第一志望校の高校に入学して、もうすぐ二年が過ぎる頃です。ちなみに、あたしの名前は、メロ奈です。決して間違ってなどいません。「奈」なのです。どうして最後だけ漢字なのかは、あたしの親に聞かなければわからないことなのですが、まだ、あたしは聞いたことがないので、なおわからないのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る