第128話 しふくの時と言われても15
中国派遣から1週間が経過した、千尋達は相変わらず湯布院合宿所ダンジョンで指導を中心に行い各国から選ばれた者達を鍛えていてその数は30名程になる。
PCHが指導する人や国家を念入りに調査して派遣されてきている事もあってか礼儀正しい者が多く、真面目に訓練に参加してくれている様で一安心だ。
多種多様な人種が千尋の指導を受けてレベリングをしているが、過半数を超える20名程がアジア圏の国から来た者達であるのは日本がアジア圏を優先しているという事に他ならないだろう。
そんなアジア推しの日本ではあるが、中国と朝鮮の二ケ国から来ている人が一人も居ないのは、政治的な何かがあるのだろうか。
知らぬが仏、俺達はあくまでも来た人達を指導するだけだ。
中国に派遣されている冒険者協会組とPCH組の10人は中国に溢れたモンスターを確実に減らし、来週には帰国するようだ。
中国派遣でダンジョン攻略者になったリーダーと助手ちゃんは新たな力を得て、その力を研究に応用しているみたいで遂に魔導PCが実用化され、今は量産している最中だ。
記念すべき一台目を俺に贈ろうとしてくれたが、俺は現状普通のパソコンがあるので、他のメンバーを優先してもらう事にした。
そして我らがベルに魔導PCが贈られ、何やら色々と活用しているみたいで最近ベルと英美里のテンションがやたら高い。
中国で新たにベルの力で生まれた意思を持ったダンジョンコアはファーと名付けられ、ダンジョンは傲慢ダンジョンとなった。
傲慢ダンジョンも暴食ダンジョンと同様に街を作る方針のようで、今はDPを恒久的に取得出来るダンジョン作りに励んでおり、怠惰ダンジョンで育てている家畜を数頭ずつ運び入れて鬼人を傲慢ダンジョンで生成して管理させている。
鬼人は男と女を1名ずつの2人を生成し、今後は傲慢ダンジョンを引っ張って行く存在になっていくだろう。
暴食ダンジョンは順調に階層を増やしており、現在は10階層まで階層を作っている。
ダンジョン外からの侵入者、もとい訓練生の出入りが激しい暴食ダンジョンはDPの実入りも良く、最終層と第一階層以外の2から9階層は食物連鎖が行われるようにそれぞれコンセプトを決めたダンジョン作りが行われ、少しづつモンスターを解き放っている最中で、最終層では街作りが開始しており建築物等は暴食ダンジョンの主力であるドワーフとエルフがそれぞれ辣腕を振るっている。
暴食ダンジョンには現在、ドワーフが10人とエルフが10人鬼人が10人の30人が最終層で暮らしている。
男女比は1体1にしているので、もしかしたら数年後にはダンジョン初の子供が生まれて来るかもしれない。
暴食ダンジョンの今後の方針としては知性を持ち、共存可能な種族を増やして街の規模を大きくするというシンプルなものとなっており、今はルゼを中心にベル達と今後はどのような種族を増やしていくかを検討している。
最優先はエルフ(妖精人種)、ドワーフ(妖精人種)、鬼人(鬼人種)、の三種族。
他にも候補である種族が居て、それぞれの優先度を付けるなら現状はこんな感じだ。
第一候補は獣人種と呼ばれる、動物の特徴を持った人の種族。
第二候補は龍人種、龍の特徴を持った人の種族。
第三候補は翼人種、翼を持った人の種族。
第四候補は魚人種、魚の特徴を持った人の種族。
第五候補は巨人種、大きな体躯を持った人の種族。
という個性的で何ともファンタジー色の濃い種族を街の住人や軍隊として増やしていく方針になっている。
獣人種と翼人種は大きな括りで分類しており、細分化すると色々な動物の特徴を持った獣人が居て、街の住民の基本的な種族となっていく予定。
色々な種族が混じり合う事で多種多様な文化が生まれ、それぞれの長所を活かす事で強固な街が作られる事を狙っている。
種族特性としては俺達みたいな普通の人類は長所が少なく、短所も少ない種族。
獣人種は身体能力が高い種族と、魔法適正が高い種族とで完全に二分化しているのが特徴であり各々短所でもある。
龍人種は高い身体能力と高い魔法適正を持ち、中には飛行可能な者も居て非常に武に優れた種族ではあるが、子供の出生率が異常に低い事が短所。
翼人種は様々な鳥類の特徴を持った種族で翼を持ち、飛行可能な種族であり獣人種と同じ様に身体能力が高い種族と魔法適正が高い種族とで完全に二分化されていて、それが長所であり短所でもある。
魚人種は基本的に水中で暮らす魚の特徴を持った種族で、水中では無類の強さを発揮するが、地上ではそもそも暮らし続ける事が出来ないというのが長所と短所である。
最後に巨人種、巨人種は大きな体躯でそれぞれ個人でバラツキはあるものの最低でも5mを超える体躯を持つのが最大の特徴であり、身体能力もさる事ながら魔法適正も高く、非常に武に優れた種族ではあるが龍人種と同様に出生率が非常に低いのが短所である。
これからルゼ率いる暴食ダンジョンは更に発展していく。
怠惰ダンジョンも負けてはいられない。
そして我らが怠惰ダンジョンの方針は主に二つ。
一つは今まで通り軍事拠点としての発展。
もう一つは各国のダンジョンを攻略して、暴食ダンジョンや傲慢ダンジョンの様な下部ダンジョンの作成。
世界と渡り合う為には規模を大きくして影響力を増やしていきたい。
世界各国で人類以外の種族が当たり前に暮らして行ける未来を構築する為には軍事力と経済力が必要不可欠であり、その為にはあらゆる場所や国にダンジョンがある方が望ましい。
世界中にある中華街みたいな場所をダンジョンで俺は作りたい。
「……美奈がもうすぐ帰って来るな」
美奈が帰ってきたらどんな反応をするのか楽しみだ。
もしかしたら常にローテンションな美奈が驚きでハイテンションになるかもしれない。
「さて、美奈が帰って来る前に家の掃除でもしようかな……」
我が家は英美里のおかげで常に綺麗ではあるが、気分的に掃除でもして心を落ち着かせたい。
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