2 最後の手紙
この手紙は、読まれることはないだろう。きちんと封をした手作りの封筒を確かめ、息を吐く。
君からの手紙が間遠になっていることには、とっくの昔に気付いている。おそらく、新しい環境に即座に慣れる術を、君は、長い経験の末に身に着けることができたのだろう。一方、僕の方は。
息ができなくなり、封筒を一旦机に置く。
胸を去来するのは、淋しさ。
僕は、君を支えたかった。けど、本当に支えが必要なのは僕だった。その弱さを、僕自身はこれまで、認めることができなかった。……それだけのこと。
この手紙は、読まれなくても良い。再び、小さな封筒を手に取る。小さく頷くと、歪な封筒は、投函予定の郵便物を入れた箱の中に滑り込んだ。
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