言の葉—1話完結超短編集—
霜月穂
第1話 ララバイ
私が眠っていると、いつも母は思っていたのであろう。
「この子は本当に気が利かないし、大人になっても期待はできないわね」
起きている、と気づかれるのが恐ろしく、身じろぎひとつ出来ず布団に包まる。
「今日も一問間違えてきたのよ?不注意がすぎるのよ」
「いいじゃないか、95点だろう?褒めてあげれば」
「褒めたらダメよ、つけ上がって駄目な人間になる一方よ」
動いてはいけない、彫像になろうとすればするほど、体がむずむずしてきて困る。聞くな動くな、忘れろ自分。呪文のように唱えるうちに、母の呪詛と混じって眠りに落ちる。
母の呪い、私のララバイ。
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