ローズマリーと農園都市

はぴろっく

第1話 大群のモンスターが街を襲撃

 第八北東農園都市の住民から『街』と呼ばれている第八北東農園都市は収穫時期を迎えていた。

 

 街は南北東西にある第一都市から第八都市まである各都市の中でも荒れた土地が少なく、土地に恵まれ都市一番の農産物生産量を誇っており、首都に農産物や食商品を供給しているほど、大きな農地や農業プラント、食品加工業が主産業の都市だ。


 街の季節はすっかり秋に入り収穫中期に入っている。

 今日は年に一度の収穫祭。


 昨夜の前夜祭から引き続き、陽が昇ってもまだまだ街の人々やハンター達は歌を歌い、踊りを踊り、酒を飲み交わし豪勢な料理を食べ盛り上がっていた。


 スラっとした長身の女性らしい曲線を描く体型のユイと、普通体型だが胸が大きいハルカは、昨夜の前夜祭を楽しみ、夕方から始まる収穫祭の前に、いつも通りハンター稼業へ出かける準備をしている。


「こんにちは、おやさっん~。

 日替わり糧食弁当五人前と生体機械油一人前ください」


「おっ! ユイちゃん、ハルカちゃん。

 いやっしゃい! 

 収穫祭なのに、まじめに今日もハンターの仕事に行くのかい?」


「はい。昨日の前夜祭から続いて、今日も他のハンター達は騒いでいて、誰も街の見回り依頼を受けていないから、私達のハンターカンパニーだけでも街の見回り依頼を受けてこれから行くところです」


「偉いね。恒例の収穫祭で盛り上がるのも良いけど、街の外にはモンスターがうろうろ出回っているから、しっかり街の見回りしてモンスターを狩るユイちゃん達がいて、住民として安心できて嬉しいね。

 少し待ってね。すぐ出来上がるから」


 ユイたちがいる街は、荒れ果てた世界の中でも恵まれた土地が広くあり、数ある都市の中でも農業が中心の街である。収穫祭はこの街ならではの特有の祭だ。

 その特有の収穫祭で、昨夜からの前夜祭でハンター達もお酒や豪華な食べ物を飲食して、歌や踊りをして盛り上がり騒いでいた。


 通常なら街に近づいてくるモンスターを討伐するため、ハンターオフィスから見回り依頼を受け、街の外である荒野に出て見回りするハンターがいるのだが、今日は年に一度の収穫祭、見回り依頼を受ける真面目なハンターは皆無だった。


 ユイたちカンパニーメンバーは、それぞれ理由は違うがこの街を気に入り、住まいをこの街に移していたので、お気に入りの街がモンスターから被害が出ないように見回り依頼を受け、見回りをすることにしていた。


「あいよ。日替わり糧食弁当五人前と生体機械油一人前」

「ありがとうございます」


 注文した弁当を受け取り会計を済ましていると、通信端末から聞き慣れない音が鳴った。


「ハルカ、この音って…」

「うん。この発信音はハンターオフィスから全ハンターに向けての緊急依頼の発信音…」


 通信端末を操作し緊急依頼の内容を見た。


『防衛レーダーに街に向かってくる大群のモンスターの投影あり。

 至急、全ハンターに防衛迎撃を依頼する』


「おやっさん! 急いでシェルターへ避難して! 

 大群のモンスターが街に向かって来ているって!」



 ブオーン、ブオーン、ブオーン、ブオーン、ブオーン 


 街の防災無線スピーカーから避難勧告の大きな警報音が響き渡った。


「こちらは街の統治機構だ。全住民に告げる。

 緊急事態だ。今から一時間もしないうちに、東の方から大群のモンスターが街を襲撃してくる。全住民は急ぎ街中央シェルターに緊急避難、又は、各所にあるシェルターに緊急避難してくれ。

 猶予はない。急いでくれ。


 まだ緊急依頼の知らせを受け取っていないハンターは、この放送で緊急依頼を受諾したとみなす。

 街の存亡が懸かっている。急ぎ迎撃に向かってくれ。

 繰り返す…」



 警報前。

 

 ハンターオフィスの室内で室長が怒鳴り上げていた。


「おい貴様! なぜ防衛システムを監視していたはずなのに、こんな大群のモンスターの発見に遅れたんだ!」


「すみません。俺も昨夜の前夜祭で浮かれて酒飲み過ぎて…」


「ばかやろう! 今からハンターオフィスの連中は禁酒だ! 

 緊急依頼だ、全ハンターに防衛依頼を出せ! 

 統治機構にも早く連絡しろ!

 あと、オフィス防衛予算や予備費を全部報酬金に当てろ! 

 統治機構にも金を出させろ!」


「全部ですか… それは不味いんじゃないですか」


「何を言っている! ばかもの! 

 このレーダーの反応を見てみろ! 

 画面が真っ赤だ。モンスターの大群だぞ! 

 この大群の反応は街にいるハンター約3000人に対し、その数は同数か倍以上だ。ハンターたちだって生命に関わる危険域だ! 

 下手をするとハンターだって全滅する恐れだってある。

 ハンターたちだけは無い。住民、街が全滅する危機だ!

 ハンターオフィス職員も全兵器、全武装を持って防衛につけ!

 街を守れ! 街の中枢部を守れ!」


 ハンターオフィス室長以下、全職員は平時なら戦闘や街の統治に関わらないが、強化装甲服、高機動人型武人機、高火力のライフルなど現在持っている全ての装備を装備し、ハンターオフィス、統治機構がある街中央ビル群の防衛に当たった。



 緊急依頼を受けたユイとハルカはみんなの弁当を持って、一度カンパニー拠点に戻り、拠点内ではユイとハルカ以外、全員が装備を整え出撃の準備をしていた。


「ユイ。ハルカ。遅いぞ!」


 拠点に戻った二人に声を掛けたのは、筋肉質ながらもスラリとした長身の女性、チサトだ。

 チサトは人間科超人族。素手で戦車をスクラップに出来る怪力の持ち主で、その超人の能力が発揮できるよう、身体にピッタリとしたボディスーツ型の強化服を身に着け準備をしている。


「チサトよ。そう焦るな。慌てずしっかり準備しないと今回はヤバそうだからな」


 突然の緊急依頼で焦っているチサトを宥めるのはコウ。

 コウは人間科機械族の女性。一般的にはサイボーグと言われる分類になるが、コウは身体だけを機械化しており、脳は人間のままでボディも女性らしい姿にしている。


「ユイちゃんとハルカちゃんが買って来てくれた日替わり糧食弁当をゆっくり食べながら、見回り依頼をしようと思っていたのに、何でこうなっちゃうのかな」

「そうだね。今日もゆる~く街の見回りをしようと思ったのにね」


 少し緊張感が抜けている二人はヒロミとサトミだ。

 二人は双子の姉妹で、稀少の人間科特殊族。特殊族の二人は科学の結晶とも言われている術式の使い主だ。強化服と防護服を兼ねた女の子らしいドレスを着用し戦闘準備をしていた。


 ユイとハルカも装備を整え、皆が集まる。


「ハンターオフィスの緊急依頼の内容はざっくり言うと、大規模カンパニーが街の外、荒野で最前線の防衛線を張って迎撃。

 中規模カンパニーは街の外周部で防衛線を張り、最前線から流れ込んでくるモンスターを迎撃。

 そして、私たち小規模カンパニーは、さらに街の中に流れ込んできたモンスターを迎撃することになっているわ。

 報酬は、一体に付き10万ゼニー、さらに緊急依頼報酬金になっているわ」


「私達は小規模カンパニーだから街の中で防衛戦だね」


「街の中心、主要地区は統治機構とハンターオフィスの防衛隊が守るから、商店街の中央通りをユイとハルカが守って。残る四人は街の中心から東にある私達カンパニー拠点を中心に守って。

 それから必ず全員生き残ること!」


「まだ大群のモンスターは何なのか解らないが、絶対、全員生き残って再びここで会うぞ」


「ユイちゃん…少し怖いよ…」


「大丈夫だよ。そっちは超人のチサト、武神のコウがいるでしょう。それにヒロミサトミも充分に強いから必ず生き残れるよ」


「でも… 私達双子は術式が使えるけど…ユイちゃんとハルカちゃんは人間科人族だよ。何も特殊な力がないよ…」


「そんなに心配するな。ヒロミサトミ。ユイは武神と言われる人間科機械族の私より接近戦が強いし、ハルカだって武装は私と同等だ」


「そうだな…本来なら戦闘能力に長けている超人の私がカンパニーのトップをやってもおかしくないのに、ここの連中は皆が同等の強さだ。心配するな」


「みんな。ヒロミもサトミもそう言う心配はしてないと思うわよ。

 …ただみんなが生き残ろうって言うから怖いだけじゃないかと思うわ。そうだよね」


「「 うん…ハルカちゃんありがとう 」」


「じゃ。生き残ろうなんて言わない! いつも通り…良い報酬を!」


「「「「「 良い報酬を! 」」」」」


 買い出しで買ってきた弁当をそれぞれに渡し、大量の弾薬、予備バッテリーをリュックサックいっぱいに持ち予備の武装まで持って、それぞれが持ち場についた。



 街郊外、荒野で迎撃に出た大規模カンパニーたちは、初弾で少々モンスターを減らし迎撃していたが、大群のモンスターがなだれ込み、昨夜から今さっきまで酒を飲んでいたことが災いになり、陣形が崩れ、カンパニー単位、ハンター単位でも連携が合わなくなり苦戦を強いられていた。


 やがて、なだれ込む大群のモンスターに防衛線を維持できず大規模カンパニーが崩壊していった。

 街の外周部を守っている中規模カンパニーも同じ惨状で、最前線が崩れ大群のモンスターが勢いそのままに外周部までなだれ込んだせいで、崩壊していった。



 街の外や外周部の事態を知らないユイとハルカは、中央通り商店街で待機している。


「ユイ。モンスターは、サイクロプスとミノタウロスの大型生体モンスターって情報が入ったわ」

「弱点は?」

「弱点は… 頭と胸中心のコア」

「わかった。ハルカはあまり前に出ないようにして、建物の屋根から狙撃して」

「ユイは?」

「私の銃は光刃光弾の銃剣だよ。突撃仕様だからこのままで道路の中央で間合いを取って戦う」


 ユイが持っている銃剣は、剣ほどに長い光刃が銃口に取り付けてあり、電子エネルギーの光弾を連射できるライフルの形をした銃剣。さらに、ハルカが製作した武器、モンスターから剥ぎ取った金属で作った刀、伸縮機構が柄にある薙刀を腰につけ、身体能力を大幅に向上する強化服も身に着けている。


 ハルカもユイと同等の強化服を着用しており、強化服無しでは構えることが出来ない自身で造った大型ビームライフル2丁を両腕に、そして肩にも10㎜レール砲、ハルカ自慢の反衝撃式障壁が展開できる籠手を装備し、リュックサックには大量のレール弾、エネルギーパックを背負っていた。


「本当にその装備だけで大丈夫なの? これからどの位モンスターが襲って来るかも分からないのに…」


「大丈夫だよ。私は狙撃があまり得意じゃないから連射できる銃剣の方が効率的だし、ハルカに造ってもらったこの銃剣と薙刀、刀が一番安心して戦闘に集中できるから。 

 …サイプロス、ミノタウロスだって武器はこん棒でしょう。動きを見切れば躱せるし、斬り倒せるよ」


「わかったわ。私の方はライフルの出力を上げれば貫通攻撃できるけど…もし、やばくなりそうなら私の反衝撃式障壁でカバーしてあげるわね!」


「ありがとう! ハルカ、来たよ!…よい報酬を!」


「ユイも気を付けてね。よい報酬を!」


 二人の目前に、外周部の防衛前線から突破して来た人間の3倍は大きいサイクロプスとミノタウロスがなだれ込んで来た。


 ハルカは建物の屋根から弱点である頭や胸を狙い撃ち、ユイは銃剣を連射しながら頭や胸を狙い撃ち、近づいてくるモンスターを銃剣で斬り刻んでいく。


 人の3倍は大きいサイプロスやミノタウロスがこん棒を一振りすれば、外壁や建物の壁を一撃で倒壊することができる。ところがサイクロプス、ミノタウロスより断然に小さい人間をこん棒で殴るには、こん棒を大振りで振り下ろすか、横から薙ぎ払う動作しかできない。


 ユイはその大振りの間合いを見切って交わし、銃剣を連射しながら頭や胸を撃ち、隙を狙っては斬り刻んでサイクロプスとミノタウロスを倒していく。頭や胸を狙えなければ大きな腕足を撃ち斬り落とし、後方にいるハルカが狙い射撃し易くしていった。


 数体、数十体倒しても続々とサイクロプスとミノタウロスが襲って来る。

 モンスター数が圧倒的に多い。次第にユイは周りを囲まれた。


「ハァ、ハァ、…数が多すぎて、もう銃剣だけでは太刀打ち出来なくなってきた…仕方がない。

 薙刀、伸縮機構伸びろ!」


 腰に柄を短くして納めていた薙刀の柄を伸縮機構で身長の倍くらいに伸ばし、壁に向かって垂直に何メートルも駆け走り、大ジャンプし前後に宙返りしながら薙刀を振り回し、時には伸身宙返りをしながらサイクロプスとミノタウロスの頭部を真っ二つに斬り裂き、巨大なこん棒を振り上げる瞬間に腕を薙ぎ落し、弱点のコアを深く突き刺す。


 サイクロプスとミノタウロスが巨大なこん棒を振り下げた瞬間に、大木のような太い腕に乗っかり、頭を薙ぎ斬り、そのまま次の目標に大ジャンプして頭や胸を突き、モンスターを次々と斬り刻んで行く。

 

 ユイの縦横無尽に飛び交う闘いぶりを見ていたハルカも、2丁のビームライフルをフルバーストにしたビーム光線で次々と貫き、肩の10㎜レール砲でサイクロプスとミノタウロスの胴体を破裂させ、2体同時に倒していく。


「何体倒しても次から次と湧いて切りがない! 

 防衛線はどうなっているの!」


 ユイは郊外の大規模カンパニー、外周部の中規模カンパニーが壊滅している惨状を知る余地もなく、目の前にいる大群のモンスターを斬り刻ん事で精一杯だった。


 数十体と斬り刻み薙ぎ倒しているうちに、ユイはサイクロプスやミノタウロスの大振りな動きが単調であること知った。サイクロプスとミノタウロスの大型生体モンスターには知能が無く、人の形と言われる構えが無いので、単純な動作を繰り返しているだけだった。


 数多の薙刀と刀の形を習得しているユイにとっては、モンスターの単調な動作を覚え、大振りの動きを見切ってしまえば、後は斬り倒す動作になり、モンスター狩りと言う作業になる。


 モンスターがこん棒を振り上げ、ユイが動きを見切り、振り落とす瞬間にスラリと攻撃を躱しカウンターで薙刀を振り、一振りで頭部を斬り倒す。


 いくら討伐が作業になったとしてもモンスターの数はまだまだ減らない。だが、ユイの体力ハルカが撃ち続けるビームライフルのエネルギーパックは減って行く。


 時間と共に、体力とエネルギーパックが消耗して行き、ユイたちの周辺には、斬り刻まれビーム光で穴がパックリ開いたサイクロプスとミノタウロスの屍が山となっている。


 いくらモンスターの屍山を作っても作り切れないほど、まだまだわらわらとモンスターが襲い掛かって来る。次第に二人は、切りが無い状況に焦り始めた。


「ハァハァ… ハルカ… エネルギーパックは大丈夫? 

 …予備はまだ充分にある?」


「レール弾は底が付いたわ。ビームライフルと強化服、予備のエネルギーパックも厳しくなってきたわね…

ユイは強化服のエネルギーパック大丈夫?」


「うん…ハァハァ…

 私の方はまだ余裕が少し残っているけど…こうも切りが無いとヤバいかも…」


「ユイもヤバいのね… エネルギーパックを節約したらこちらが倒されるし…

 万が一そうなった時は…… 」


 ユイは今、片腕で薙刀の柄を短くし刀のように穂先でモンスターを斬り倒し、石突で殴り倒しながらも、もう片手でも刀を振るい、二刀の刃で斬り倒している。


 ユイの剣術は無駄の動きでモンスターを戦っているため、予備に持っている強化服のエネルギーパックは余裕だが、体力の消耗が激しい。


 ユイに対しハルカは、ビームライフル2丁をフルバーストで酷使しながら射撃を繰り返しているために、エネルギーパックの消耗が激しく、体力はまた充分に残っていた。


「ハルカ安心して。

 モンスターの動きを覚えて見切ることができるから…強化服なしでも倒せると思う…

 だから、そうなった時は、しっかり私が守ってあげる!」


「強化服無しで、どうやってその薙刀を使うのよ」


「その時はその時だよ… でもその時は今かも」


「今かもって…」


「ハルカ。ぴったり私の後ろに付いて。そして、エネルギーパックをライフルから障壁に全部割り当てて…

 倒す数は減るけど、持久力が上がると思う。

 動きを見切った今なら、できないことはない!」


 ハルカはユイの言葉に深く頷き、全エネルギーパックを反衝撃式障壁に割り当てユイの背後に付く。


 ユイとハルカは同じ出身地であるアオバ都市に産まれ育ち、幼少の頃から一緒に学び遊んでいる親友だ。アオバ都市から離れハンターとなった時から、今の今まで長い時を一緒に死闘を繰り返し戦ってきた戦友でもある。そのためにお互いの戦い方を良く熟知している。


 ユイの背後をハルカが反衝撃型障壁で守るようにして、ハルカの背後をユイの二刀で守り、一進一退の攻防を繰り出す。 


 親友二人の攻防が次第に呼吸が合い、二人の呼吸が合った動きが円を描くように薙刀で薙ぎ斬り、刀で斬り刻み、反衝撃式障壁でモンスターの一振りを防御し、二人の攻撃と防御が重なり合う。


 二人の動きは、まるで一人の人間が同時に攻撃と防御を繰り出して戦っているかのように見え、その見事な動きで、サイクロプスとミノタウロスが只立っているかのように、凄まじい勢いで次々を倒し何十体、何百体と倒して行った。


 西の地平線の上まで陽が傾き、エネルギーパックの残量が残り僅かになる。辺り一面にはサイクロプスとミノタウロスの屍がどのくらい山を作ったか計り知れない。

 ようやくモンスターの影が全て消えていた。


 ユイとハルカの鋭い眼差しはまだモンスターの影に向けられ、刀と障壁を構えたままモンスターを全滅させたことに気付かない。


 ピピ、ピピ、ピピ…


 通信端末が鳴る。 

 その音に驚き、やっとユイとハルカはモンスターがいなくなったことに、やっと気付いた。


「やっと出た! ユイ大丈夫か! ハルカは? ハルカも大丈夫なのか!」


「ちっチサト… こっちは二人とも何とか無事だよ。怪我もなし。

 そっちは?」


「ああ。こっちもみんなピンピンしている。ただエネルギーパックがすっからかんだ」


「みんな無事… 良かった…」


 ユイは自分自身とハルカの無事、そしてカンパニー全員が無事と知った瞬間、身体の力がドンっと抜け落ち、ハルカの背に身を預け、その場に座り込んでしまった。


 朝から夕方まで掛ったが、やっと大群のサイクロプスとミノタウロスを全滅させることが出来た。街はボロボロだが防衛することに成功した。


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