第4話 We are

 朝、朝、朝。夜から太陽が昇ると朝。


 We are、私達、我々、複数形。


 単数形が二つ、これが正解。なのに世間の人はそうは捉えない。


 1+1=2、いつの時代も変わらない事。1+1は田んぼの田?まさか。

 1+1=2、変わらない事


 でも1は? 1はどこに行ったの?どの時代も誰も答えてくれない。リーマンもアインシュタインも、ベートーヴェンも。そして学校の先生も。


 私達(=2)は最終調整をしていた。リハーサルだ。長期記憶に向けての。


「招待状は送った?」彼は私に聞いた。 


 私は黙っていた。


「怒ってるの?」彼は私に聞いた


 私は黙っていた。


「わかったよ。全部わかったよ。」


 彼は理解してくれた。高文脈文化。


 目の前の少し小奇麗な他人は私たちの進退を司っている。私のパートナーは彼に身を委ねている。まるで本物の恋人のように


 ウエディング、ウエディング、ウエディング。 辺りは結婚行進曲が流れていた。ワーグナーには愛人がいた。これは何のメタファーなんだ?


 彼はいつものように狂信者だった。私は殉教者だ。いつもの事、

 変わらない。パチン。スイッチが切れる。糸は2つになる。1÷2は2。

 おかしい。1はどこに行ったんだろう。彼はそんなの気にするなっていった。彼の本物の恋人は1÷2は0.5じゃないですか?といった。嗚呼、狂信者

 そして教祖様。そして私は魔女。レミーに焼かれる魔女。正義はあまねきている。


 私は夢を見た。彼の夢を、人間の彼の夢を。


 夢の中で藤君は「人間かどうかを判断したいのなら燃やせばいいんだよ。人間は有機物だからよく燃える。他の有機物と区別したいならまた燃やせばいいんだ。それから埋める。立派なお墓が立てば人間さ。」といった。


 そうか燃やせばいいんだ。私は夢の中で燃やした。魔女も狂信者も教祖様も皆燃やした。埋めてみたけどお墓は生えてこなかった。それから毎日水をあげた。雨の日以外は。それから一週間がたった。お墓は結局生えてこなかった。やった、私の言う通り、こいつらはエゴの塊で人間じゃないんだ。そう思うと眠くなってきた。1+1=2いつものこと。


 私が目を醒ますと、パートナーが私の横でほほ笑んでいる。私に向かって。私は微笑み返した。「よくねた」と言って。

 彼は「寝顔がとてもよかったよ。」といった。「それはよかった」


 どうやらリハーサルは終わったようだ。睡眠学習。


 We are、1+1=2、変わらない事を繰り返している。もう覚えた。リハーサルは大成功みたい。


 リハーサルは大成功?1はどこに行ったの?デジャヴ。繰り返し。

 またリハーサルが始まったみたい。行かなきゃ。私たちは二人で一つ


 1+1=2単純なことだ


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