第2話大人のお姉さんが憧れなんですか?2
朝食の場では、お嬢さまはコーヒー牛乳を飲んでいます。口の周りについている痕が、最高じゃないですか。
どうしてこう少女は、こんなに無防備なんでしょうか。コーヒーを飲んでいる木の葉様は、爽やかに妹君のお相手をなされます。
しかし、表情を取り繕っていて、完璧なイメージを与えている事に成功しているみたいですが、私の目は誤魔化せません。
本当は、お嬢さまの事が愛しくて愛しくて仕方がない、それはもう通常の感覚を越えた萌え萌えな内心を持っているだろう事は、微妙に緩んでいる口元からハッキリとわかります。
何か、同属の気配を感じて、これは私も見習いたいですが、果たしてこんなに自分を装う必要はあるのでしょうか。
「何これ、このいちごジャムすっごく美味しい! どこで買って来たの?」
おや、それに気づいてしまうとは、流石お嬢さま、お目が高い。
「ああ、それはウチで作って来たのをお出ししているんです。これからは、この家でちゃんと作ってあげますから、どんな味がいいかとかもリクエストして下さいね」
「ホントね。これ美味しいわ。パンの焼き具合も絶妙だし、目玉焼きも好みに合うように作られてる」と木の葉様。
「アンタやるわね。仕事だけは出来るんだから、価値はあるのかも。うーん」
「氷雨さんにリサーチと称する教育を受けましたからね。お二人の普段の食べ方なんかは叩き込んでおります。お嬢さま、ほら口を」
私はタオルでお嬢さまの口元を拭いてあげます。
これ! これがやりたかったんですよね。子供のお世話でこんな事が出来るのは至高ですよ。
大人だと、そうそうさせて貰えない上に、そんなに口元を汚している所を他人に見せませんものね。
「もー、自分で出来るったら。お姉ちゃん、今日もお友達とお勉強? 大学生ってもっと暇かと思ったけど、結構忙しいんだね」
「そうね。遊ぼうと思えば時間は沢山あるでしょうから、本当はもっと小春の傍にいてあげたいけど、色々自主的にやっている事があるからね。だから、私がいない間は、ちゃんと時雨さんの言う事聞くのよ」
うっと言う顔をして、一旦の嫌悪を飲み込んでから返事するお嬢さま。やはりまだ距離はあるので、縮める努力をしたいですよね。
「うん、私どっちにしろゆっくりしてるだけだし、宿題も順調だから大丈夫だよ。いい子にしてるね」
しかし木の葉様とお話ししているお嬢さまは、心なしかうっとりしている気がします。これは臭いますよ、この姉妹、最高な素材を提供してくれてます。
食事中はまあそんなにドタバタと私に何か言ってくる事はないですが、それは木の葉様効果なのでしょうか。それでしたら、もっと木の葉様ともお近づきになるべきかも。
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