第9話

『来たぞ。あとは』


 通信が途切れた。

 雷雲。突如発生して、発電所の上でばりばりと音を立てる。


「神様の雷か」


 ただの雷雲。自然発生しただけのやつ。


 あの雷を、なんとかして、発電所に落とさないようにする。それが自分の、仕事。


「当たったら死ぬなあ、あれは」


 直撃したら、まず助からない。

 それでも。

 街は守らないと。


 彼女のことも、少しだけ考えたけど。

 光のなかに、消えていった。


 何も見えない。何も感じない。

 彼女。

 もう、飛行機に乗っただろうか。

 夢を叶えられると、いいなあ。

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