カエルの国のお姫様
斉藤なっぱ
第1話
とある雨季のある季節のカエルの国の王国に、とても幸せなお姫様がいました。
お姫様は小さなころから蝶よ花よと可愛がられ、婚約も決まり、ただ退屈なことを恐れていればいいだけの本当に恵まれたお姫様でした。
でもある時使用人にこう言いました。
「死にたい……」
使用人には理解できませんでした、何の悩みもない、悩みが考えらえるとしたら退屈なことくらいのこのお姫様が死のうとするなんて考えられないことなのです。使用人たちは止めました。でもお姫様の意思は固く自殺未遂を繰り返すのでした。
ある時カエルの国に立派なウシガエルの騎士が現れ、この世を儚む姫のうわさを聞き及んで姫の前に現れ、こう諭すのでした。
「姫、あなたはとても幸福な方ですよ、死のうとするなんて間違っている、ごらんなさい世界はこんなに素晴らしいのです、生きていればよいことなんてたくさんあるのです」
「そう」
姫は悲しく微笑んで騎士の手に口づけをしました。
その夜姫は屋上から飛び降り自殺しました。
この世を儚む理由が見当たらないこの死を受け止めることができず使用人たちは泣きました。王様も王妃様も結婚するはずだった婚約者も泣きました。
何が幸せで何が不幸なのかは人それぞれなのだなとウシガエルの騎士は寂しげに国をあとにしました。
カエルの国のお姫様 斉藤なっぱ @nappa3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます