その36 ツムジ
気の小さいツムジ*は
脚を揃えて
横倒しに寝ていても
まだ目を開けている
顔の前三十センチほどに
ボールがある
視界の裡にも
ボールがあるはず
そっと
ボールを取る
案の定
目は
俺の手の動きを追う
壁に投げつければ
こいつはきっと跳ね起き
三、四度床を空掻きしても
ボールを捕らえようとするだろう
こいつの股関節は
かくかくと鳴る
無理な動きをさせては……
俺はボールを置く
元の位置に
トイレに行って
戻ると
ツムジはボールを咥えている
誰にも渡さないと
* 愛犬の名
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます