その19 鉢植え

                                    

文化祭の模擬店で

買った鉢植え


学校で過ごす

乾いた時間を

少しでも潤せればと

机の上で育て始めた


鉢を一回り大きなものに替え

腐葉土や肥料を加えた


職員室の中では

日照が不十分かと

出入口脇の

燦々と陽射しが注ぐ

ガラス壁の下に置いた


出入りの度に

鉢の受け皿の

水気の有無を注視した     


しゃがんで

覗き込み

語りかけ

水を注ぐ

束の間の時間

心の中の水も

微かに

揺れるようだった


幸い

半年の間

注水を忘れることはなかったが

 

枯れてしまった

理由はわからない


数少ない味方の陣地を

失ったような気がする






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