その18 文弱

                                  

生活の資を得る仕事の他に

文学という仕事を抱えて

限られた時間をやりくり算段


休めない頭

ソーメンのように

神経は細くなり

といってコシはなく

針が落ちても切れそうで


文事に旋回するプロペラ頭

足は地面から浮き

腰が据わらぬ姿勢で

憂き世の憂さとご対面


情けないほどオタツイテ

気持を一気に切迫させ

パクパクと

呼吸困難の口を開ける


〈落ち着け、慌てるな〉

座右の銘を担ぎ出す段に至れば

文弱とはこのことと

いまいましく

舌打ちする

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