その7 始める

晩メシ食って

酒を飲むと

決まり事のように

テレビの前に

寝転がっていたが


見終えて

時間つぶしだったな

という思いを

積み重ねて

俺も気がついたのだ

アホラシイと


いや

ブツブツと

頭の中で呟くものはあった

スルコトガアルダロウ       

だが

時間がない(と思っていた)

気力がなかった


ある日

俺は自分に尋ねた

ピンで留められた標本の蝶のように

いつまで留められているのか       

テレビの前に

金稼ぎから解放された

自分の時間なのに


むっくり

俺は起き上がり

「俺の場所」に行った

俺の前に

「俺の仕事」を置いた


まだ「  」で括らなければ

溶けて流れそうな    

あやふやなもの


だがとにかく

始まった


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