その12 窓際の椅子で


暖簾を吹き上げ

棕櫚竹の葉をそよがせ

麦茶を飲む私に

風が吹く


ブラインドとともに

光の縞が揺れ

テーブル毎に

吊り下げられた

ペンダントも揺れ


垂れ下がる

白い空

地表にへばりついた

灰色の街

その間を

六月の陽は埋め


風の中で

もう一度

麦茶を流しこむ

これっぽっちの幸福

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