その4 恋の悲しみ


恋の悲しみは

赤軍兵士の恋


その兵士は

同志である女兵に恋した


素直で 献身的で

聡明で 優しい

素晴らしい女

恋は深くなるばかりだった


女兵は彼に優しかった

女兵は誰からも人気があった

女兵は誰にも優しかった

兵士の恋は熾烈に燃えた


彼女には恋人がいると

兵士は聞いた

その男の顔も名も

兵士は知っていた

話さえ交わした

彼も同じ隊の

赤軍兵士


女兵は

彼にも 兵士にも

同じ様に優しかった


兵士は信じた

彼女は俺だけを愛していると


兵士は女兵を深く恋した


前線 銃弾の飛び交う塹壕戦

一人の兵士が 銃弾に仆れた


女兵が駆け寄り 号泣した

兵士はそれを見た 彼だった


撤退が始まっていた 女兵は動かない

兵士は

女兵が 彼だけを 愛していた 事を

知った


だが 兵士は

女兵を 愛していた


敵が迫り 着弾は正確になった


俺は ここで 死ぬだろう


兵士は 女兵を逃がそうと

側に近づき 敵弾に仆れた


恋の悲しみは

赤軍兵士の恋

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