002

 最初気がついたら宇宙だった。何を言っているのか分からないと思うが、俺にも分からない。そして、頭の中に声が響く。


 《、€℃¢‡:±°‡°‥№℃“¥¿》


 《スキル:不老不死を取得しました》


 《スキル:鑑定1を取得しました》


 《スキルを確認する場合、ステータスを開いてください》


 誰だ?と疑問に思うよりも早く呼吸が出来ない事に気付く。

 勝手に肺の中の空気が全て抜けていく、舌の上の水分が沸騰している。

 気圧が0なので口の中の水分が蒸発するのである。

 急な減圧で肺と気道が傷つき、血の味がする。宇宙服を着ていない人間は宇宙では生きられない。

 苦しい!痛い!くるし……俺は死ぬのか……


 《スキル:無呼吸を取得しました》


 気が付くと何故か生きている。気絶しただけのようだ。

 そして数分が経過した。苦しいけど、痛いけど、何故か空気がなくても生きている。


 《スキル:痛覚耐性1を取得しました》


 少し痛くなくなった?さっきから謎の声が聞こえるけど、何なんだ?痛みが和らいで少し冷静になった。

 周りを見回してみる。


 うお、まぶし!太陽を見てしまった。目がチカチカする。思わず別の方向を見ると真っ赤にひび割れた惑星がすぐ近くにあった。そして自分の身体がその惑星に引き寄せられているように感じる。マジか?せっかく少し希望が見えた気がしたのに、すぐに絶望に襲われる。


 《称号:冥王を取得しました》


 称号?さっきはスキルとか言われた気がしたけど、称号って何だ?そもそもスキルもよく把握していない。そして今はそれどころじゃない。

 どんどん加速している気がする。

 このままだとあの真っ赤にひび割れた惑星に落ちることになる。助かる方法は!?何かないのか!?走馬灯がよぎる。

 ……ステータスを開けとか言ってたな。謎の声がヒントをくれたのかもしれない!ステータスよ!開け!!と念じる。


 名前:コメット

 職業:無し

 年齢:18歳

 LV:1

 HP:1

 MP:1

 STR:1

 VIT:1

 DEX:1

 AGI:1

 INT:1

 LUK:1


 スキル

 痛覚耐性1 無呼吸 言語理解 鑑定1 不老不死


 称号

 転生者 冥王


 何か色々とツッコミどころがあるけど、現状を打破できそうなものは見当たらない。1つあるとするなら不老不死くらいか。

 不死ってことはあの不気味な星に墜落しても死なないはずだ、だって不死だもの。覚悟を決めたコメットは星に落ちていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る