始まりの眺望 〜不老不死になって異世界の発展を眺める物語〜
パピプラトン
始まり
001
うおおおおおお!?
って、なんだ夢か。頭上から隕石が落ちてくる夢だった。
だが、ここはどこだ?何故、自分は森の中で眠っていたのだろう?そもそも自分の名前が思い出せない。記憶喪失のようだ。
そして何故か裸だ。しかも土まみれだ。どういう状況なんだーーーー!?
落ち着け、落ち着くんだ。素数を数えよう。2、3、5、7、11、13……
……9973 ふう、素数はこれくらいで十分か。
とりあえず、安全の確認をすることにしよう。周りを見回してみる。木がたくさん生えている。動物は見当たらないし、気配もない。なんとなく安全なようだ。
次にすることは、目的地の決定だ。目的地が決まらなければどこにも行くことが出来ない。
よし、目的地はこの森を抜けて人里を目指そう!
目的地は決まったが、問題が4つある。多すぎるが、1つずつ挙げてみる。
まず水の問題だ。水が無ければ人は3日程度で死んでしまう。身体も洗いたいし、水を最優先で探そう。
2つ目の問題は方向だ。どっちの方向に行けば人里があるのか分からない。見晴らしの良い場所に登って方向を確認してみるしかないだろう。それでも分からない場合は川を見つけて下って行けば大概は人里に出るはずだ。川には水もあるしな。
3つ目の問題は野生動物だ。例えば熊に襲われたら人なんて即死だ。猪が相手だとしても牙で動脈を切られて死んでしまうケースがある。人は道具が無ければ非力なのである。
4つ目の問題は服だ。人里に行くための服がない。葉っぱでもなんでもいいので隠さなければいけない。
状況の確認も終わったので、木に登ってみることにする。
木に登るなんていつぶりだろうか。記憶がないから懐かしいとも感じない。そして思ったよりも簡単に登れてしまった。
30メートルはあろうかという木だったにも関わらずだ。筋力はあるらしい。知らんけど。
木の上で見回してみると、川を発見した!あとは山と森しか見えない。
よし、川の方向に行こう。あいにくと曇っているせいで太陽も見えない。方角はたまに木を登って確認するしかないようだ。
川に着いた。水の確保が出来たぞ!これで水不足の心配はなくなった。
本当は水を煮沸消毒したいが道具は一切ないので、そのまま手で掬って飲む。美味い!
次に川に飛び込んで身体を洗う。ふう、サッパリした。次は川を下って行けば、人里か道路かに辿り着くだろう。
「わあああああああ!」
「うおおおおおお!」
大きな声で叫ぶ。
熊対策である。一応念の為、落ちていた丈夫そうな「ひのきのぼう」のようなものを拾っておいた。
しばらく歩くと森の奥に動く影が見えた。
「まさかな...見間違いだよな」
言った直後もう一度影が動く。でかい。
熊くらいあるんじゃないか?なんて思っていたらこっちに向かって走って来ている気がする。
いや、間違いなくこちらを狙っている!!熊だ!ん?熊か?顔が2つある気がするけど、今はそれどころじゃない!
「「グルガアアアアア!!!」」
双頭の熊の2つの頭が同時に吠えた。
案1:木に登る。
ダメだ!熊は木に登れるらしいじゃないか。
案2:死んだふり。
論外だ。
案3:「ひのきのぼう」のようなもので気を引いて、その内に逃げる。
これだ!逃げる方向も川下に向かえば下り坂だ。逃げやすい。
もう20メートル先には双頭の熊が走ってきている。
「ひのきのぼう」のようなものを投げる!熊の近くに落ちれば気を逸らすことが出来るかもしれない。頼む!
しかし無情にも双頭の熊の一方の顔面に当たり、熊は物凄く怒っているようだ。人生が終わった。そう思った。
最後の足掻きに熊の鼻っ柱を殴りつけてやろう。奇跡的に逃げてくれるかもしれない。
熊が眼前まで迫る。目を閉じてグーパンチをお見舞いする。
モフっとした毛の感触の後、襲い来るであろう衝撃に身構えた。が、いつまで経っても何も起こらない。
目を開けると、遠くに熊っぽい何かが横たわっている。しばらく放心状態で眺めていたが、熊はピクリとも動かない。
近づいてみると死んでいるようだ。なんだか分からないが助かった!!生きてるって素晴らしい!ついでに熊の毛皮をゲットだ。
素晴らしい。これで服が作れるかもしれない。と喜んだのもつかの間、ナイフがないことに気付いた。仕方がない。
服を作る為の毛皮を剥ぐ為の石のナイフを作るとしよう。川辺でいい感じの石を拾い、いい感じの岩に投げつけると、いい感じの石のナイフの出来上がりだ!
そしていい感じに手際よく毛皮を剥いだ。毛皮は木の棒で伸ばしてしばらく干しておく。
毛皮を手に入れた嬉しさで熊の頭が2つあったことについて疑問に思うことも忘れてしまった。今日はもうここで一泊することにしよう。
色々あってなんだか疲れたし、肉も手に入ったしな!
乾いた草を集めて、木の受け皿に木の棒を突き立てて掌で回していく。火をつけるだけでも思った以上に大変である。煙が出てきたら草で囲んで優しく息を吹きかける。煙が多くなり炎が生まれる。
肉を焼きながら、別の場所で燻製も作っておく。その間に大量の草と太めの枝を集めて寝床を作る。裸なのでなるべく柔らかい草を選んだ。後は肉を食べて焚火を維持したまま寝た。
翌朝、何事もなく起きた。特に野生動物が近付いた形跡は無かった。毛皮に首が通るくらいの穴を開け、服を作った。朝食をしっかりとって出発した。
それからは何事もなく進み続けることが出来た。
もう少しで日が沈むという頃になり、なんとなく道のようなものを発見した。土が固めてあるだけの道だが、間違いなく人工物に見える。
よし!この道を進めば人里に行けるはずだ!日も暮れたし今日はここで野宿だな。夜は燻製肉を食べて寝た。
道なりに進み続けて数日、やっと町のような建物が見えてきた。しかし、壁に囲まれている街なんて珍しいな。
ドイツのネルトリンゲンだったかな。記憶はないが、謎の知識はあるのだ。ここはドイツなのだろうか?とにかく行ってみれば分かるだろう。
早足で街の入口に向かう。門に中世ヨーロッパ風の兵士が2人立っている。通ろうとすると話しかけられた。
「おい!そこのお前!止まれ!」
「私ですか?」
自分を指差して答える。
「そうだ、お前だ!格好からして怪しすぎる。毛皮1枚を被っただけの格好で怪しくないわけがないだろう!」
正論過ぎて言い返す言葉が見つからない。毛皮を紐で縛っただけの服と石のナイフを持った人間を見たら誰でもそう思うだろうな。黙ったままで居ると兵士が話を続ける。
「身分を証明できるものを提示しろ。」
「実は、記憶を失くしてまして、自分の名前さえも思い出せないのです。」
「名前さえも思い出せないだと?そんなわけあるか!ステータスと唱えれば名前などすぐにでも分かるじゃないか!」
「え?マジで?ステータス」
名前:コメット
職業:無し
年齢:18歳
LV:65535
HP:9999999
MP:9999999
STR:99999
VIT:99999
DEX:99999
AGI:99999
INT:99999
LUK:99999
スキル
格闘術10 剣術10 短剣術10 槍術10 弓術10 斧術10 投擲10 物理無効 炎熱無効 氷結無効 風雷無効 毒無効 麻痺無効 痛覚無効 気配察知10 鍛冶10 木工10 鑑定10 言語理解 ……略…… 不老不死
称号
転生者 冥王 原初の生命 生存者 太古 拳の達人 剣の達人 槍の達人 ……略……大爆発
自分の名前とステータス、大量のスキル、大量の称号を目にした時、全てを思い出した。
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