第7話 富める者の洗礼
俺は国内の地形を見て回り、主要となる街道を整備させ、王を中心に畑の整備と作物の育て方、牧場での動物飼育の仕方を広めていった。
ほんの数ヶ月でその効果が表れ、国民達は俺と国王を褒め称え始める。
それは、作物の増産と流通経路の安定による相乗効果によるものだ。
それから俺は、農業普及と並行して進めて来た塩以外の調味料開発、砂糖や味噌、チーズなどの乳製品を基に、新たな料理を広めていく。
そうやって俺はこの国の産物を増やし、俺が知っている限りの技術を広めて経済を牛耳っていった。
こうして国は急速に発展していく。
この国の発展の噂を聞きつけた者たちが、一旗あげようと数多く移住してくるので、新たな農地開拓も始まったし、有用な者達は過去に問題がない限り即採用だ。
そのお陰で国中が活気に満ちている。
「大変です。まおうっ、いえっヨコシマさま。隣国の軍隊が我が国境に近づいて来ています」
俺が城でウダウダしていたところに、慌てた伝令が飛び込んで来た。
「各地に伝令を放て。向こうの兵士が国境を越えたら戦線布告と捉え反撃だ。そして、兵士及び全国民に全力で国を守れと伝えろ」
国内に緊張が走り、農民までが農具を武器に俺が指示していた通りに国民達が動き出す。
昔のこの国は、ただの厄介な存在だったのだが、段々と発展し穀倉地帯となっていくこの国が、他の国からはよほど魅力的に見えたのだろう。
だからと言って侵略するのは間違いだ。
自分の国は自分達で守らないとな。
俺はこうなる事を見越して兵達や国民の戦闘訓練を積んできていた。
昔のこの国の考え方からすれば、他の国も同様だろうと思ったのだ。
隣国からの侵略は呆気なく終わった。
終わったと言うよりも、結果的に隣国も我が国となった。
国内開発の為に、新たな鉄の精錬方法による農具改良を普及した結果、武器や防具の質が上がって隣国の武器など全く相手にならなかったのである。
我が国の兵士達は、侵略を口実として反撃し、勢いでアッサリと隣国を滅ぼしてしまった。
領土が広がったので、俺達はまた新たな開拓作業を始めている。
広くなった国は、この開拓作業で益々繁栄していくだろう。
次は、観光地の開発だ。
風光明媚な土地を選び、そこまでの道を整備して拠点となる町を築く。
そして、街を守る兵士達も育成した。
中でも温泉地開発には俺の全力を注いだ。
個人が産物により溜め込んだ利益を、これらの観光地で吐き出させるのだ。
それが経済と言うものである。
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