全国吐血王選手権

発電キノコ

プロローグ 死んだら吐血した

自転車に乗ってたら、猫が飛び出してきた。

避けようと思ったら、思い切りこけた。

思い切りこけたら、頭を思い切り打った。


目が覚めたら、知らない人たちが泣いていて、驚いていて、喜んでいた。


「奇跡だ!」

「田中! よく……!」

「あれだけ血を吐いて生きてるとは……さすがだぜ!」


どう見ても日本で、どう見ても東京だけど、どうやら僕の知ってる日本の東京じゃないみたいだ。

アニメや漫画で言うところの、転生ってやつか?

並行世界というか、違う世界線というか。

説明のしようがないけど、どうやら僕は限りなく元居た世界に近い世界の、とある有名スポーツ選手に転生したみたいだ。

僕が死んだタイミングで、この世界のこのスポーツ選手も死んで、僕の魂がひょろっと転生……であってるのか?

とにかく、僕は、この人として生まれ変わったようだ。


この、限りなく日本に近い日本で大人気のスポーツ。


「吐血」のチャンピオン、田中血太郎(たなか ちたろう)として。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る