第34話 妹とお菓子戦争
みんなはドラマや映画、アニメを見る時、ルーティンがあったりするだろうか?
カーテンを閉めて部屋を暗くし、物語の世界観に浸れるようにする。
風呂に入ってトイレなども済ませ、綺麗さっぱりした状態になってから見るなど、人それぞれによってルーティンは違うと思う。
ちなみに、俺のルーティンは甘いのとしょっぱいお菓子の二種類を準備し、キンキンに冷やした炭酸飲料を準備してから観るのがルーティンになっている。
さて、そんなルーティンを持っている俺は、前々から楽しみにしていた映画を観るためにリビングに降りて、冷蔵庫からお菓子と炭酸飲料を取り出そうとしていた。
しかし、ここで事件が起きた。
炭酸飲料はあったのだか、冷やしていたプリンがなくなっているのだ。
俺はポテトチップスを持っている左手に力が入る。
こんなことをするのはーーーーーー
「都ぉ! 俺のプリン食べたなぁ!?」
ーーーーーーソファでお笑い番組をゲラゲラ笑いながら観ている、都だけだ。
「えっ? プリンなんて知らないよ?」
俺の言葉を聞いた都はキョトンとした顔を俺に向ける。
しかし、都の前にあるテーブルにはプリンの容器とスプーンが置かれていた。
「いや、絶対知ってるだろ!? 物的証拠があんのに、なにしらばっくれてんだ!!」
俺はドシドシ歩きながら都の前まで行き、プリンの容器達を都の前に突き出す。
都はそれを見ると眉間に皺を寄せて口元を歪めた後、横を向いて下手な口笛を吹き始めた。
顔は絶対にこっちに向けようとしない。
「お前、こんなに証拠あるのに逃げれるわけないだろ?」
「ち、違うんだよ!!」
「なにが?」
「これは私が食べたんじゃないの!! 私がソファに座る前からあったの!!」
なに? それなら話が変わってくるぞ。
父さんは甘い物食べないから、母さんか?
………本当なら、都には悪いことをしたな。
「そう! 冷蔵庫の前で食べて、容器だけ私がテーブルに置いたの! 食べたのはあの時の私で、今の私ではないの!! だから、私が食べたんじゃない!!」
……………………………。
「い、いひゃい!!」
「結局食べたのはお前じゃねーか! 謎理論ゴリ押しで逃げようとすんじゃねー!」
「ご、ごめんなひゃ〜い」
謎理論でゴリ押ししようとしてくる、都の頬っぺたを左右に伸ばす。 餅のようによく伸びた。
「ったく。 次甘い物母さんが買ってきた時は、都の分は俺が貰うからな」
「そんなぁ! 殺生です! 殺生ですよお兄ちゃん!」
「やったことは返ってくるんだぜ……都」
「う、うわぁぁぁん」
都はソファの上で四つん這いになって悔しがる。
それを横目で見て、俺は自分の部屋に戻ろうとした。
「あ、そういえば、お兄ちゃんなにか見るの?」
「おう。 映画を1本見る予定」
「何観るの?」
「最近話題のサスペンス」
「あ、それ私も見たいんだよね。 準備できたらお兄ちゃんの部屋に行っていい?」
「別にいいぞ」
「やった! じゃあ、準備するからまだスタートしないでよね!!」
悔しがっていた都はケロっとした表情になり、大慌てで自分のお菓子箱からお菓子を取り出し、俺の後ろに並んだ。
そこから俺たちは仲良く俺の部屋で映画を観たのだった。
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