第10話 2人からの告白

 今日は、強華きょうかと買い物に来ている。実は強華きょうかには弟がおり、誕生日プレゼントは何がいいか分からないし、男性であり知り合いの俺に付き合ってほしいと頼まれたのだ。


「これなんか、いいんじゃないか?」

「あ〜、これそういえば欲しがってたな〜。ありがとう!これにする」


 長い誕生日プレゼントも終わり、会計を済ませたあと、強華きょうかから提案がでた。


「ねぇ、せっかくだし。私のお買い物も付き合ってよ。買った誕生日プレゼントも小物だし、それほど重くないから邪魔にならないし」

「そうだな〜せっかく来たんだしな。こうやって、一緒に出掛けたのも自宅待機命令が出る前以来だし」

「決定ね!それに、付き合ってくれたお礼に、なんか奢らせて?」

「分かった。じゃあ、そうだな〜。あそこの中華料理の餃子がいいな」


 そんなこんなで、話しながら買い物に付き合う。


(しかし、これは……。またデートなのでは!?俺はどうしたっていうんだ!あれ?もしかして、やっぱり!辺りよく見たらカップルだらけじゃねえか!)


 と、今さら気づいた俺は頭の中がパンク寸前。そんな中、目についたアクセサリーを見る。


(これ……)


「うん?どうしたの?」


 俺は、着いてきた強華きょうかを一回見て、買うことにした。貯めたバイト代とは、こういう時に使うもんじゃないだろうか。ろくに欲しいものもない俺は、店員さんに頼み購入。


「何買ったの?」

「はい……」

「え?」

「お前に、似合いそうだなと……

           思いまして……」

「これを、私に?あ、ありがとう……。

               綺麗……」

「でも、どうして急に?」

「いやこれは……、やっぱいい」

「え?なんで?

  そこまで言われたら気になるじゃん!」

「お前が、綺麗だし!可愛いから!似合うと思ったから!それだけだから……衝動買いしたの! はずいこと言わせんな……」

「……」


 お互い、顔が熱くなる……。


(いや。熱くなるのいいけど気まずいだけだから!なんとかして!)


「あのさ……。飛優ひゆう……」

「うん?どうし、ゔん!?」


 俺は背後から襲ってくる虎、じゃ無かった。背後から来る強華きょうかに気づかず、唇に柔らかな何かが触れる。


「え?」

「私、飛優ひゆうのこと……好き!」


 俺は何が起こったのか、分からなかった。強華きょうかは、自分の気持ちを伝えどっかに行ってしまうのだった。


「餃子、食べたかったな……」



 〜 数日後 学校の階段付近 〜


 学校から帰ろうとした時に、俺は想華おもかさんに呼び出された。


「あの……いきなり呼び出してすみません」

「俺は……いいけど……」


 まだ、強華きょうかに返事をだせていない俺は家に本当は帰りたかったのだが、私情すぎて断れなかった。


「で、用はなんですか?」

「私……、私……。田中君とのチャットで思い出した、知る事のできた気持ちがあるんです……」


(あ〜、ありがとうとか感謝の心のことかな?いや〜、俺は大したことしてないと思うんだけど。逆に迷惑もかけてるかもしれないし)


「私は、貴方のことが……好きです……」


 想華おもかさんの気持ちを聞いた俺は……。顎が外れそうになった。



















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