ペンション「noblesse」の殺人
遠山朔椰
問題編 第1話
登場人物表
D大学ミステリ研究会
招かれざる客
「遠山さん、もし良かったらでいいんです。一晩だけ……部屋を交換してくれませんか?」
安東正臣がトイレの為に201号室から出て、階段を降りようとしたところで、不意に繊細な声が聞こえてきた。どうやら一階の廊下で、堀川雪乃が遠山朔椰に話しかけているらしい。
「えっと、それはまた、どうしてですか?」
「実はねー」と割り込んだ声は、妹の綾乃だろう。姉に比べて快活さが声にも現れている。「お姉ちゃん、すっごいビビリなの。でね、夕食前に『助けて』って女の人の声が聞こえたーって言うの。わたしも同じ部屋にいたんだよ? 聞こえなかったのに。でも絶対聞こえたっていうから可笑しくて。でもね、わたしが笑えば笑うほど怖がっちゃって。部屋を変えてもらうって言い張るの。でもペンションってもう満室じゃない? どうするのーって聞いたら、遠山さんに頼んでみるって言い出して――」
「綾ちゃん、少し黙ってて。……すみません。本当に、もし良かったらでいいんです」
遠山の困り顔が目に浮かぶようだ、と安東は思った。宿も半日滞在すればそれなりに散らかる。ならば女性の懇願を無下にするのか。それも心苦しいだろう。だからといって自分が名乗り出るようなお人好しではないことは、安東自身理解しているつもりだった。
「構いませんよ。でも、こちらの部屋はベッドが一つしかないですよ」
「大丈夫だよー、お姉ちゃん床が多少硬くても平気だし。でも、窓から見えるまっさらな白銀の景色が駐車場側に変わっちゃうのは、少し寂しいけどね」
綾乃はベッドを譲るという考えは毛頭ないようで、彼女らしいと安東は苦笑した。
「分かりました。十分くらいで片付くと思いますけど、そちらがまだでしたら声を掛けて下さいね」
「どうもありがとうございます。助かりました……」
「困ったときはお互い様ですよ」
「ふふ……それもそうですね」
暫しの間、笑い声が満ちる。安東も一人苦笑を漏らした。
遠山は雪山で遭難しかけたらしく、疲労困憊の状態でこのペンションを訪れたときは、心底驚かされた。確かに、それに比べれば部屋の交換など造作も無いことかもしれない。
会話が途切れ、ドアの開閉音がする。
ようやく動けるかと階段を降り掛けたそのとき、
「あ、安東さん」
降りる矢先、廊下から安東を見上げる遠山がいた。彼は殊勝な顔つきで、
「二階の部屋だと、わざわざトイレに降りてくるのは大変ですね」
「全くだよ」安東は平静を装って言う。別に疚しいことをしていたわけではない。「――そうそう、遠山君。午後八時くらいから、うちらミス研の飲み会をやるんだけど、気が向いたら来てくれないかな。作家志望の人がいれば、夕食のときのように話が盛り上がると思うんだ。酒が入るから、少しばかり鬱陶しいかもしれないけどね」
「いえ、ぜひとも参加させてください。僕も大学のミス研が普段どんな活動や話をしているのか、すごく興味があるので」
「うちは作家を輩出したり同人誌を出せるような有名どころではないけどなぁ。今年になって漸く愛好会から部活に昇格した、メンバー五人の弱小サークルだから」
本音の自虐に対して、屈託なく彼は笑む。
「それでも楽しみですよ。……廊下の会話を聞いていらっしゃったなら話は早いんですけど、部屋の交換が終わり次第向かいます。場所はラウンジですよね?」
「……そうだよ。じゃあ、俺は用を足してくるから」
「はい。それでは後ほど」
階段も廊下も広くはない。遠山が一歩下がって譲ってくれたので、安東は先に降りて廊下に面したトイレに向かう。
聞き耳を立てていたことは、お察しらしい。作家という者は人の気配にも敏感だという話は聞いたことがないが。
そういえば、何故彼は安東がトイレに行くと断定できたのだろうか。確率的に高いことを適当に言ったのかもしれないが、もしかしたら彼の中で、当て推量だとしても論理的に導き出した解があるのかもしれない。そうだとするなら、ミス研の元部長として、欠片も分からない自分が悔しくて不毛な張り合いの気持ちが湧くのだった。
一度、二階の部屋に戻ってシャワーを浴びた。カーテンの隙間から外の明媚な景色を見ながら、服を着ようとしたところで少し悩む。夜も遅く、どうせ酒の席だ。同じ上着で良いだろう。
それを済ませると、合宿用に購入したそれなりに値の張る日本酒を旅行鞄から一本取りだして部屋を出る。自腹で用意した酒はまだ何種類かあるが、一気に出しては一晩で空にされてしまうだろう。男性陣は特に質より量を求める。
一階に降りてラウンジのドアを開けると、ミス研メンバーと遠山はすでに揃っていて、各々よもやま話に花を咲かせていた。ソファと簡易テーブルは撤去されていて、絨毯の上に車座になって座っている。周囲には人数分以上の発泡酒やチューハイとすでに干された空き缶、肴用のスナック菓子などが混在している。何とも貧乏学生の飲み会らしい景観だ。
「部長、遅いっすよ。さあさあ、上座は温めておきましたから、どうぞ」
寺田國章が、すでに若干の酔いを仄めかしながら場所を空けてくれた。彼はミス研の中では一番身長が高く、がっしりとした体格をしている。性格は見た目通り剛毅で正義感が強い。
安東は四回生のため、現在の部長は雪乃に託してあるのだが、愛好会時代からの習慣がメンバーには沁みついているらしく、今でも部長と呼ばれている。
勧められた場所に腰を下ろすと、皆の視線が集まっているついでに問い掛けた。
「さてと、今回の合宿は遠山君というデビュー目前の特別ゲストがいるわけだが、みんなが訊いておきたいことは一通り訊き終えたのか?」
部室でお互いの趣味嗜好まで話し合った安東達は、合宿だからと言ってその系統の話題が増えるわけでもない。突然の来訪者は、しかも推理作家志望なんて稀有な者は、かっこうの話題提供者だ。夕食時に尋ねまくった執筆の苦労話以外にも、どんなミステリ歴を歩んできたかなど色々と話題は尽きないだろう。
「古典は『アクロイド殺し』が好きらしいっす」
「探偵はメルカトル鮎ってキャラがお気に入りだってー」
「……館シリーズは人形館まで読んでいるそうですよ」
先ほどまでに引き出したらしき情報を、寺田と綾乃と雪乃が口々に安東に伝えてくる。そうか、時計館はまだ読んでいないのか……勿体ない。
「実は、皆さんほどミステリ小説を読めていなくて……推理作家志望と口にしておきながら、お恥ずかしい話です」
遠山は申し訳なさそうな表情だ。
暇を持て余した大学生ならともかく、高校生で執筆もしているのなら、読む時間も限られてしまうだろう。特に未成年の年齢差ばかりはどうしようもないことだ。
「だいじょうぶだよー、わたしなんか京極夏彦しか読んだことないから。これからもそのつもりだし」
胸を張って宣言をする綾乃。姉の雪乃がすでに部員だったとはいえ、綾乃は京極愛だけで入部してきたツワモノだ。人の読書歴をとやかく言うつもりはないが、この場で堂々と公言する台詞でもない気がする。
「執筆のイロハについては、夕食の場で散々教えて貰ったからなあ。おかげで次回作で使えそうなトリックが多々浮かんで――おっといけない、お礼を言い忘れてた。ご教授頂きありがとうございましたぜ、先生」
「先生だなんてやめてくださいよ。そもそもデビューさえしていないんですから」
遠山は両手で否定するジェスチャーをするが、表情は満更でもなく嬉しそうだ。
ちなみに寺田は、今年度の夏の新人賞で初の長編原稿に挑戦し、見事に一次落ちとして玉砕した男だ。それでも良いトリックが浮かんだら挑戦すると豪語しているのだが、遠山の執筆論を拝聴したことで新たな境地に至ったようで、夕食後から飲み会まで部屋に籠りノートにプロットを纏めていたらしい。陰ながら応援したいところだ。
「あーっ、思い出した。わたし、まだ教えて欲しいこと残ってた」
綾乃はニヤニヤと口角を上げながら訊く。
「彼女はいるのかなー?」
「……残念ながら、いませんね」
「じゃあねぇー、気になる女の子は?」
「うーん、と……」
遠山はやや頬を紅潮させて言葉を詰まらせ、どもりながらも、
「……仲の良い人は、人がいますけど、ほんとに……それだけの関係ですね」
「へぇー、ふぅん、そうなんだー。それだけってどれだけなのかなー?」
完全に綾乃に弄ばれている形になってしまっている。当の綾乃も先月に喧嘩別れしたと部室で泣いていたというのに。恋話を振ることからして、新たに良い人が見つかったのだろう。右手薬指の指輪を見るに、本気度を感じた。
ともかく安東は助け舟を出すことにした。敢えて端のテーブルに隠し置いていた日本酒を指さしながら、
「綾乃、日本酒好きだったろう? あれがどこの銘柄か分かるかな」
「新潟の……! 八海山!」
即答だった。ミス研きっての日本酒好きのお眼鏡にかなったらしい。飛び掛かるようにテーブルからそれをもぎ取ると、頬ずりせんばかりに瓶を愛でる。横を通り過ぎる際に、綾乃が普段から付けている香水の独特なフレッシュな香りが漂った。
何はともあれ、喜んで貰えて幸いだ。
いつの間にか姉の雪乃は厨房に立ち、人数分のグラスと角氷を用意している。今や部長に昇進したというのに、気配りの早さは変わらない。以前に後輩にやらせればいいと進言したのだが、人に用意してもらうのは居心地が悪いのだと言う。
「それにしても、部長の従兄弟には悪いですけど感謝っすね。こんな素敵なペンションを貸し切ることが出来るなんて。それに庭なんて夜間もライトアップされていてすごく奇麗な雪景色だ」
寺田が体格に似合わないうっとり顔で言った。
ここは安東の従兄弟夫妻が経営するフランス料理が自慢のペンションなのだが、去年から従兄弟の方が大病を患ってしまい、苦渋の決断の末、無期限の休業となっていた。従兄弟の家族が折をみては掃除に来るらしく、今回、我らミス研が空気の入れ替えと手入れの任務を引き受ける代わりに、合宿に使わせて貰うことと相成ったのだった。
ちなみにライトアップというのは、建物の外側に取り付けてある大型の照明器具を使用する。ペンションの東側(客室のほとんどが東側にある)が開けた広めの庭になっていて、雪の降り積もる季節の夜間にライトを照らすと、美しい自然の銀世界を拝めるという趣向だ。
手動で付けなければならないが、外壁に取り付けられたボックスのスイッチ一つなので、知っていれば誰にでも出来るくらい簡単だ。今日も日の入り後の午後五時頃に、安東が点灯させた。
「こう考えてみてはどうでしょうか……? 私達が、と言うよりも部長さんの提案ですが、この日程でお借りしたことによって人一人の命が助かった……というのは」
視線は自然と遠山に向かう。
遠山は本気で身震いするかのように、身体を両腕で抱きしめるようにした。
「そうですね。もし、このペンションに人の気配を感じなかったと思うと、考えるだけでぞっとしますよ――あ、寺田さん、僕はまだ未成年なのでお酒は」
雪乃が盆に載せて持ってきたグラスに、綾乃から日本酒の瓶を奪った寺田が注ごうとするのを手で制する。
「だいじょうぶだよ。わたしだって未成年なんだから。てゆーか、道沿いに降りていけば、案外どこかの民家にはたどり着けたんじゃないのー?」
「そんな単純なもんじゃないぞ。除雪されていない道路は考えてる以上に危険だ。最悪滑落していたかもしれない」
道産子の寺田は滔々とその危険性を語りながら、ふと、窓辺を見遣って、
「おーい、有馬。部長から頂いた酒飲むぞ。ってか、お前はさっきから何をしてるんだ?」
北側の窓際に陣取り、時折、窓を開けては謎の行動を取っているミス研の最年少、有馬悠士に水を向けた。
「積雪を調べているんですよ」
あっさりと返答は返ってくるが、理解が及ばない。
「……積雪? うーーん、どういうこと?」
「雪が止んだのは、午後七時三十五分頃です。それ以降も降っていませんね。十分ごとに空き缶を置き直して確かめました」
彼はようやく、顔をこちらに向ける。整った顔立ちもさることながら、悪戯を計画していそうな微笑は、男である安東でも魅力的に見える容貌をしている。無論、安東はそっちの気があるわけではないが。
「だってほら、折角吹雪の山荘にいるんですから、万が一事件が起きたときに悔しいじゃないですか。情報が足りない。雪の止んだ時刻さえわかれば、犯人を導けるのに、ってね」
「有馬くん……その場合って被害者も犯人も私達じゃない」
「そうなりますね」
彼は笑みを更に深めて言うのだった。
ルックスは良いが、性格はやや難ありと言えるのが、今年度入部してきた有馬悠士という後輩だ。いや、ミステリマニアとしては正しい性格なのだろか。安東は判断を保留した。
彼との初対面を思い出す。新歓コンパのときだった。
「あっ。雪乃さんは左利きなんですね。じゃあ衝動的な殺人が身近で起きて、尚且つ、左手で殺害した可能性が高い場合は疑いますね」
左手に発泡酒を持って飲んでいた雪乃が口に含んでいた酒を噴出した光景は、後にも先にもこの瞬間しかないだろう。
犯人泣かせの後輩が入ってきたな、と皆で苦笑したものだ。
ミステリ小説にこんな人物がいたら、手掛かりを洗いざらい描写されて、酷く味気ない作品に仕上がるに違いない。まぁ、その手掛かりから常人には及ばない発想と論理で犯人を追い詰めるのが、名探偵なのかもしれないが。
綾乃は有馬と会話することを放棄したらしく、京極夏彦が今年出す予定の鈍器には残念ながらなりそうもない厚さの本について、寺田と話し始めていた。
「――出版社が違うらしい」
「百鬼夜行シリーズの番外編に――」
雪乃も興味があるらしく、そちらに耳を傾けている。
遠山はスマホを取り出して、今日のうちに撮り溜めたペンションのあらゆる写真を眺めていた。余程ペンションが珍しかったのだろう。救助から数時間後、活力を取り戻した彼は親への連絡もそこそこに、熱を上げて屋内屋外問わず撮影し始めた。その為、彼とゆっくり話が出来たのは夕食時になってからだった。無論、安東に許可を取ってのことだが、従兄弟のペンションがこうして未来の物書きの糧となるのならば、それはそれで喜ばしいことだろう。
「次回作は、やはりペンションが舞台になるのかい?」
問われた遠山は殊勝な表情をこちらに向ける。
「安東さんの許可が下りれば、そうしたいです。あ、もちろんミス研や大学生の描写に自信が持てないので、高校生の卒業旅行にしようかと思ってます」
「身近な人物の方がリアリティがあるだろうね。現役生の特権だ」
言いつつ安東はスマホのアルバムを覗き見ながら、
「それにしても随分と多く撮ったな。厨房や物置まで写ってる……。大変だっただろう? まぁ、男性陣の部屋まで撮影したいと願い出てきたときは、あっけにとられたが」
実際には、二階の部屋から東窓側の雪庭を撮りかったのだろう。そのときはまだ、彼の充てられた部屋は西側だった。
「あー……はは。すみません」
「非難したわけじゃないんだ。忘れてくれ」
「いえいえ、僕の癖なんです。夢中になると居ても経ってもいられない性分でして」遠山は苦笑を見せてからすぐにそれを薄める。「でも僕は、執筆の為なら労を惜しみませんよ。今度の小説も全力で完成させます。と言っても、ほとんどが安東さん達のおかげですけどね」
そう言って遠山は、本日何度目か分からない感謝の言葉を口にした。
「それなら、見事デビューを果たした暁には、クヌルプのようにサイン色紙を飾らせて貰おうかな」
彼はまだ若い。半ば冗談のつもりで言った台詞だったが、
「是非こちらこそ」
と直向きな眼差しで遠山は言うのだった。
そう言えば――、安東は夕食時の会話を思い浮かべていた。驚いたのだが、最近の執筆はもはやPCとにらめっこする時代は過ぎ、スマホで行う人も増えているらしい。執筆速度は及ばないものの、隙間時間に、ふと思いついたときに書けるメリットは大きいのだという。執筆用のアプリも開発されているが、標準搭載されているメモアプリも優秀らしく、音声入力まで可能な優れものとのこと。というわけで遠山は、専らスマホ執筆なのだと宣言をしていた。
安東がそんなことを考えている内に、遠山は深刻な表情でスマホの画面を隠すように見つめていた。かと思うと、安東の視線に気づいたようで「えっと……」と煮え切らない様子で口角を歪める。
「少し、部屋で電話を掛けてきます」
そう言い残してラウンジを出ていった。何かあったのだろうか。察するに良くない知らせが入ったように思えるが、緊急の要件なら向こうから電話を掛けてくる気もした。
メンバー同士で酌み交わしながら歓談をしていると、遠山は十五分程で戻ってきた。表情に笑みはないが、特に陰りも見受けられないので、安東は一安心する。
再度、遠山を交えて雑談に花を咲かせていたところで、
「あ……!」
不意に、か細い声が耳を掠めた。
「……あの。良ければ、飲み会の場面も写真を撮りませんか? 私、部屋に戻ってカメラを持ってきますね」
言い終わる前に立ち上がり、楚々としてラウンジを出ていく。
考えるまでもなく、むしろ飲み会こそ写真を撮る場だろう。安東もすっかり失念していた。ちなみに写真係は綾乃が担当と一応の役職があるのだが、彼女は自分で日本酒を継ぎ足したグラスを両手に、しんみりとしている。お気に召したようで何よりだ。
「俺もトイレに行ってくるわ。ハイペースで飲みすぎたみたいだ」
よっこらしょ、と歳不相応な掛け声で立ち上がり、寺田もラウンジを出る。
「あのう、すみません。スマホの充電が切れそうでして、……部屋にモバイルバッテリーを取りに行ってもいいでしょうか?」
写真を撮ろうというタイミングゆえに、後にしようか迷ったのだろう。遠山はすまなそうな表情で申し出る。
「構わないよ。取りに行くだけで充電はここで出来るんだろう?」
「はい。すみません、すぐに戻りますね」
「慌てなくていいぞ。日付が変わるまでは飲むつもりだからな」
遠山もラウンジを出ていくと、何気なしに安東は腕時計を確認した。――午後八時四十分、丁度だった。
有馬は計測の時刻が来たのか、空き缶を手に窓を開ける。
夜山の寒気が酒臭いラウンジを駆け巡り、室内の温度を下げていく――。夕方まで凪いでいた山風は、奇妙なほど緩急のついたものに取って代わり、風音は不協和音のように不快だ。それが何故だか、虎視眈々と獲物を見定める夜行性の猛禽類を想起させて、安東は微かに身震いをするのだった。
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