第27話 ファンタジー:地理-伝説上の大陸 レムリア大陸、アトランティス大陸、ムー大陸、パシフィス大陸、メガラニカ大陸、ルルイエ

傍論:

 大西洋を隔ててミミズやカタツムリなどの近縁種が分布する例が知られており、これらを説明するために、かつてこれらが陸続きであったとするのが陸橋説と言われる。


 ただし、そこにどのような形の橋渡しの地が存在したかを具体的に語る者はいなかった。

やがて、このような分布は大陸移動説の根拠の一部となり、現在ではそれによって説明されるものも多い。(また、南半球の各大陸に隔離分布するものはゴンドワナ大陸に由来するものと考えられ、ゴンドワナ要素と呼ばれる。)


▼幻の大陸:

 古くは20世紀初頭にこのような議論が盛んになり、この他に南アメリカとアフリカを大西洋南部でつなぐ南大西洋陸橋説や南アフリカ、マダガスカル、インドをつなぐレムリア陸橋説(これはレムリア大陸の発想の元となった)、南極を介してアフリカと南アメリカをつなぐものなどが想定された。しかし、それらの分布のあるものはむしろ北回りでの移動による分布拡大を想定した方がよいとの声もあり、現在では支持されない。


 これらのような大洋を隔てた地域の間を陸続きにするような地形を考えるのは簡単ではない。ところが、大西洋の場合、この両岸の間にはかつてアトランティス大陸という幻の陸地があり、これは今では沈んでしまったとの伝説がある。それにヒントを得て、陸橋があったと考えられる地域の間にかつて大陸があり、それが今では沈んでしまったのだとの説もある。幻の大陸としては他にムー大陸が有名であるが、特にレムリア大陸はマダガスカルとアジア大陸を繋ぐ陸橋として発案された面が強い。ただし、大陸の地殻と海洋の地殻が成分や構造において異なるというような地質学の進歩により、このような説は支持されなくなった。


▼大陸移動-ウェーゲナーの大陸移動説(1929):

 大西洋をまたいでの分布に関しては、ヴェーゲナーがこれを大陸移動説の証拠としたことが知られている。つまり、間に陸地があってつながっていたのではなく、現在の陸地がかつてはつながった位置にあったと判断したものである。一時はこれは荒唐無稽な説と考えられたが、次第に真実が明らかにされ現在ではほぼ定説の位置にある。笑った連中はいい面の皮である。バカめ!

 レムリア大陸の発想の元になったマダガスカルとインドとの生物相に見られる関連性も、かつてはインドがマダガスカルやアフリカに接する位置にあり、そこから現在の位置まで移動したと考えることで説明される。



▼序文:

 伝説上の大陸とは、今日では一般的に伝説と見なされている過去の記録に登場する大陸、およびかつては仮説として提案されていたが今日の科学知見によって否定された架空の大陸のことである。


 この伝説上の大陸には、さまざまなタイプがあり、また、さまざまな物語が付与されている。伝説上の大陸の上に、古代四大文明の以前にあった高度な超古代文明が栄えていたとする物語が典型的(ステレオ)なタイプである。


 〜 伝説上の大陸を信じる者は幸せである。伝説などを手がかりに実在の証拠を見つけようと試みている者や、考古学・地質学、地球科学的な成果により既知の文明や文化に比定しようとする者達はその記憶を記されてこの地上に生まれてきたにも関わらず、思い出すことのできない性を持たされたから。それ故に、ミ・フェラリオの語る次の物語を伝えよう。 〜



▼レムリア大陸 :レムリアインパクト!

 イギリスの動物学者フィリップ・スクレーター(1829年 - 1913年)が1874年に提唱した、インド洋に存在したとされる仮想の大陸説。

 また、オカルト系の書物において同一名称の大陸が登場するが、上記の動物学の仮説とはまったくの別物である。


☆*陸橋説

 アフリカのマダガスカル島にはキツネザルが生息しており、この仲間は世界中でここからしか知られていない。しかし化石種がインドから発見されており、また近縁の原猿類はこの島を挟んでアフリカ中部と東南アジアのマレー半島・インドネシアにのみ生息する。このようにインド洋を隔てた両地域には近縁な生物が見られる(隔離分布)。


 これを説明するために、スクレーターは5000万年以上前のインド洋にインドの南部、マダガスカル島、マレー半島があわさった大陸が存在したのではないかと仮説し、キツネザル(レムール)にちなみ「レムリア大陸」と名付けた。また、ドイツの動物学者エルンスト・ヘッケルは自著『自然創造史』 でレムリア大陸こそ人類発祥の地であると主張した。そのほか一部の地質学者がインド洋沿岸地域の地層の構造が酷似していることから似たような説を唱えている。


 しかし、インド洋を含め、大洋によって隔てられた地域間の生物相の類似については、1912年の気象学者アルフレート・ヴェーゲナーの大陸移動説によっても説明がなされた。当初はレムリア大陸説をはじめとする陸橋説が優勢だったが、1950年代より大陸移動説が優勢となった。1968年にプレートテクトニクス理論の完成により大陸移動説の裏付けが確実なものとなり、これによりレムリア大陸説は完全に否定された。そう、かの大陸は海の底に消えたのではなく引き裂かれ諸処の大陸へと分裂したのだ!


 *生物地理学において陸橋とは、海を隔てた地域の間をつなぐ陸地のことである。たとえば隔離分布している生物が、かつてそれがあったために現在は離れている地域間で生物の行き来ができたと考える。あるいは海峡が陸化した時期にはそれが陸橋として働く。これらを説明するために、かつてこれらが陸続きであったとするのが陸橋説と言われる。



★オカルト

 レムリア大陸説は、神智学協会創設者の1人、ブラヴァツキー夫人によって1888年に刊行された著書『シークレット・ドクトリン』において登場した。レムリアは大陸であり、大陸が存在した位置はインド洋ではなく太平洋にあると発表し、それがなぜだか神秘学者達の間では高い支持を得た。


 レムリア大陸は最大時には太平洋をまたがって赤道を半周し現在のユーラシア大陸と同位の面積があったが、およそ7万5千年という長い年月にわたる地殻変動により大半が減少し、最後には日本の東方にオーストラリア程度の大陸が2つ残り、やがて完全に沈没したと吹かれ……説かれた。当然ながら太平洋に存在したと説く以上は、動物学上の疑問点を解決する学説としてかつて提唱されたレムリア大陸とは、全く関係無い設定無視な案件である事になる。沈没期の最後に残った2つの大陸の事をムー大陸とレムリア大陸とに故実ける神秘学者や秘教学者もいるし、最初の巨大大陸時をムー大陸と呼ぶ者もいる。ジェームズ・チャーチワードはムー大陸の起源をなぜだかレムリア大陸であるとした。どちらの大陸も同一の霊的背景にあると、多くのアカシック・リーディングに依る書物で説かれ、文明の終期にはラ・ムーが指導者に当たっていた事がまことしあかに説かれている。


 アメリカ合衆国の著作家バーバラ・ウォーカーは、伝説上の大陸名の「レムリア」とは、本来は「レムレスの世界」、すなわち「亡霊の世界」のことを意味していた、と自書で恥ずかしげも無く述べている。

※タミル人の伝える水没した陸地-クマリ・カンダム、動物学の仮説におけるレムリア大陸と同一視されている。


 タミル人が古代に著したサンガム文学の叙事詩や中世の伝説などには、海中に没した王国がしばしば登場する。現代のタミル人の間ではこの王国はクマリナドゥまたはクマリ・カンダムと呼ばれている。(注:決してクマリ・ガンダムでは無い)19世紀末から20世紀初頭にかけて、タミル人民族主義者の間ではクマリ・カンダムとレムリアを同一視し、レムリア人が人類の文明を築き、その末裔がタミル人だとする超古代文明説が唱えられていた。


 なお、アトランティス大陸説のようにプラトンの著作に代表されるような文献は、レムリア大陸および文明説では存在しない。しかし、それが逆に舞台設定の自由度を高め、創作物の舞台に設定されることがある。たとえばロバート・E・ハワードやリン・カーターは、古代レムリアを舞台とした作品を書いた 。また、ラブクラフトの『クトゥルー神話』においてもしばしば言及される。



▼アトランティス大陸:アトラスが立つ地の果ての向こう側「アトラスの娘、海、島」などを意味する。

 古代ギリシアの哲学者プラトンが著書『ティマイオス』及び『クリティアス』の中で記述した、大陸と呼べるほどの大きさを持った島と、そこに繁栄した王国のことである。強大な軍事力を背景に世界の覇権を握ろうとしたものの、ゼウスの怒りに触れて海中に沈められたとされている。


 1882年、アメリカの政治家イグネイシャス・ロヨーラ・ドネリーが著書『アトランティス―大洪水前の世界』を発表したことにより「謎の大陸伝説」として一大ブームとなり、更にオカルトと結びつくことで多くの派生研究を生んだ。

 1.そもそもアトランティスの直接的モデルとなるような事件そのものが存在しないという説。

 2.現代の構造地質学では大陸規模の土地が短時間で消失することはあり得ないため、島などの消失がモデルになったものとしている実在説。

 2-1.プラトンが年代や大きさを一桁間違えていた、地中海にあるサントリーニ島の火山噴火によって、紀元前1400年ごろに突然滅んだミノア王国がアトランティス伝説のもとになったとする説。

 2-2.ヘラクレスの柱をダーダネルス海峡とした、トロイア文明説。


 なお伝承に寄れば、『アトラスが立つ地の果ての向こうの大洋には島があり、ニュクス(夜)の娘達とされるヘスペリデスが、ゴルゴン族の傍らで黄金の林檎を守っている』とされる。


補足:アトラスの海、アトラス山脈とアトラスの名前を冠する諸民族

 プラトンの対話集に先立ち 「アトランティス」という表現は大西洋を意味する地名として使われている。ヘロドトス(紀元前484頃-420頃)は『歴史』の中で大西洋を「アトランティスと呼ばれる、古代より「ヘラクレスの柱」として知られてきた柱の外の海」と記述した。以降、大西洋は今日に至るまで「アトラスの海」や「アトラスの大洋」と呼ばれるようになったのである。


 またヘロドトスはアトラス山脈について初めて言及しているが、山脈としてではなく単独の雪山としてリビア内陸のフェザン地方にそびえているものとして記述し、その山麓の砂漠に暮らす『日中の太陽を呪い、名前を持たない』アタランテス人と、『肉食をしないために夢を見ない』アトランテス人に触れている。


 シケリアのディオドロス(紀元前1世紀に活躍)は『歴史叢書』の中で、アフリカの大西洋岸(モロッコ西岸)に聳えるアトラス山と、その麓でギリシア人並の文明生活を送っているアトランティオイ人について記載している。アトランティオイ人の神話によると、ウーラノスがアトランティオイ人に都市文明をもたらし、その後ティーターン達が世界を分割統治した際にアトラスが大西洋岸の支配圏を得たが、アトラスはアトラス山の上で天体観測を行い、地球が球体であることを人々に伝えたという。


 また、アトラス王は弟ヘスペロスの娘ヘスペリティスと結婚して7人の美しい娘達(ヘスペリデス、アトランティデス)の父となり、エジプトのブシリス王の依頼を受けた海賊に誘拐されてしまった娘達をヘラクレスが救った際に、その礼としてヘラクレスの最後の功業を手伝ったのみならず、天文の知識を教えたが、これがギリシア世界でアトラスの蒼穹を担ぐアトラス伝説へと変化してしまったという。



▼ムー大陸:「ゴッド・ラ・ムー」

 1930年代イギリス陸軍大佐を詐称したアメリカ在住の英国人作家ジェームズ・チャーチワード(1852年-1936年)によって『失われたムー大陸』以下の一連の著書の中で、「インドないしチベットの寺院で発見した古代の粘土板に、太平洋に存在したというムー大陸が記されていた」と、主張する今から約1万2000年前に太平洋にあったとされる失われた大陸とその文明をさす。イースター島やポリネシアの島々を、滅亡を逃れたムー大陸の名残であるとも主張。しかし、決定的な証拠となる遺跡遺物など無論存在せず、海底調査でも巨大大陸が海没したことを示唆するいかなる証拠も見つかっておらず、そもそも件の古代の粘土板すらその実物は存在しないため伝説上の大陸であるとされる。明らかにアトランティスのパクリである。


☆「ムー」の語源とムー王国

 1862年頃、フランスの聖職者シャルル=エティエンヌ・ブラッスール・ド・ブルブール(1814年–1874年)が、マドリードの王立歴史学会の図書室で、ユカタン司教 のディエゴ・デ・ランダ・カルデロン(1524年–1579年)が書き残した『ユカタン事物記』を発見し、マヤ文字とスペイン語のアルファベットを対照させた表(ランダ・アルファベット)を見出した。ブラッスールはランダ・アルファベットを使ってトロアノ絵文書をキチェ語で解読し、トロアノ絵文書には「ムー」(Mu) と呼ばれる王国が大災害によって陥没した伝説が描かれており、アトランティス伝説と類似性があると1863年に発表した。


 この論文により「ムー」という単語が生まれたが、実際のマヤ文字は表語文字と音節文字が混ざった複雑な体系であり、近年の解読によりこの翻訳が完全に誤りであったことが証明されている。

 アメリカ合衆国の政治家イグネイシャス・ロヨーラ・ドネリー(1831年-1901年)は、1882年発表の『アトランティス - 大洪水前の世界』の中で、ブラッスールによるトロアノ絵文書の解読を新大陸の文明がアトランティス文明の末裔であることの重要な証拠として引用し、ムー王国の話が有名になった。また遺跡写真家として知られるオーギュスト・ル・プロンジョン(1825年–1908年)もランダ・アルファベットによりトロアノ絵文書を翻訳し、アトランティス大陸崩壊後にムーの女王モーがエジプトに渡り、女神イシスとしてエジプト文明を作ったと主張した。


★チャーチワードによるムー大陸

 英国陸軍大佐を詐称(何しろ英国陸軍に在籍の記録がない)していたアメリカ合衆国の作家、ジェームズ・チャーチワードによる説。彼は『失われたムー大陸』(1926年刊)等の一連の著作で、太陽神の化身である帝王ラ・ムーを君主とした帝国が全土を支配し、白人が支配者である超古代文明が繁栄していたが、神の怒りを買い、一夜にして海底に沈没したと主張した。


 チャーチワードによれば、1868年、16歳のときインドに従軍し、現地のヒンドゥー教の寺院の高僧が、寺院の門外不出の粘土板「ナーカル碑文」を見せてくれたという。それには、ムー大陸の記録が絵文字で彫られていた。また、ウィリアム・ニーヴンなる米国の技師がメキシコで発見したという古代の石板からも、「ナーカル碑文」と同じ絵文字が記されていたという。それらを含めて、種々の古代文献を挙げて、ムー大陸が実在した証拠としている。さらに、チャーチワードは旧約聖書の『創世記』の物語はムー大陸滅亡の記録であると主張している。


 しかしチャーチワードは、それら古代文献を翻訳した引用文しか発表せず、原典自体は示していない。しかもその古代文献の中には、現在解読されていないイースター島の碑文(ラパヌイ文字またはロンゴロンゴ文字と呼ばれるもの)が含まれているとしている。



▼パシフィス大陸:いや、文明圏としてなら合っているが……

 仮想上の大陸の一つで、かつてポリネシアに共通する文化の分布を説明するために、太平洋の中央にあったと仮定されていたのだが、無論地質学的には大陸の存在した証拠など当然見出されず、その存在はまったくの否定的である。


 名称はパシフィック・オーシャン(太平洋)にちなむ。同じく太平洋上にあったと仮定されているムー大陸説の焼き直し要素が強い。

これと同様に環インド洋の生物分布を説明するために仮定された大陸にレムリア大陸がある。


 なお、ポリネシア人、ミクロネシア人の始祖であるオーストロネシア祖族は東アジアのモンゴロイドで、約6000年前に中国南部、現在の福建省付近から台湾へ渡ったとされる。台湾からは5000年前以降に一部がフィリピンやインドネシア方面へ拡散し、紀元前2000年頃にインドネシアのスラウェシ島、ボルネオ島に到達した。


 現在、ポリネシアと呼ばれる地域への彼らの移住は紀元前950年頃からでサモアに到達した時点でポリネシア人の東への移住の動きは一旦止まるのだが、紀元1世紀頃から再び移動を開始し、ポリネシア人たちはエリス諸島やマルキーズ諸島、ソシエテ諸島にまず移住した。

その後、ソシエテ諸島を中心に300年頃にイースター島、400年頃にハワイ諸島、1000年頃にクック諸島やニュージーランドに到達した。ポリネシア人の移住の動きはこれ以降は確認されていないのだが、ポリネシア人の主食のひとつであるサツマイモは南米原産であり、西洋人の来航前に既にポリネシア域内では広くサツマイモが栽培されていたため、古代ポリネシア人は南米までの航海を行っていたのではないかと推測されている。



▼メガラニカ大陸:某構造物コロニービルダーの名前の由来。

 かつて南極を中心として南半球の大部分を占めると推測された仮説上の大陸のことである。


 テラ・アウストラリス(南方大陸)ともいうが、この語はのちにオーストラリア大陸を指すようになり、現在でも雅語・文語的に使われることがある。未発見であることを強調し、テラ・アウストラリス・インコグニタ(未知の南方大陸)ともいう。


 古代ギリシャでは『世界が球体(地球)であるとすると、当時の知見から考えて大地が北半球に集中し南半球は海洋ばかりになってしまって、バランスが悪い、ならば当然南半球にも巨大な大陸が存在すると仮定すれば、地球のバランスが取れる』として考え出された「滅びた大陸」ではなく、「発見されていない」とされた大陸。なお、南極には実際に南極大陸が存在するが、伝説とは関係なく、まったくの偶然である。


 そもそも「メガラニカ」は、南方大陸の一部と思われたフエゴ島を発見したフェルディナンド・マゼランにちなんだ、比較的新しい名である。形容詞として使って、テラ・マガラニカ(メガラニカ大陸)ともいう。

17世紀の中国で作られたマテオ・リッチの『坤輿万国全図』や、その影響を受けた『三才図会』の「山海輿地全図」、ジュリオ・アレーニの『万国全図』でこの名が使われていたため、日本では「テラ・アウストラリス」よりも広く知られた名前となった。漢字表記は墨瓦臘泥加または墨瓦臘尼加とされているが、1708年に日本で出版された「地球万国一覧之図」には黒瓦臘尼加と書かれている。



まとめ:

 伝説上の大陸の存在について科学的に可能性があるとすれば、海水準の上昇による大陸平野部の水没である。最終氷期が終了する際には大量の氷河が融解し、汎地球的に海水準が100m以上上昇した。(氷河性海水準変動)。


 これにより当時の沖積平野の大部分が海面下に水没し、現在の大陸棚となったと考えられが、その時の記憶が、失われた伝説上の大陸として今日まで伝えられているとも考えられる。

ムー大陸やアトランティス大陸の水没が1万2千年前であることは、最終氷期が終了し海水準が急激に上昇した時期と見事に一致する。



おまけ:


▼ルルイエ(R'lyeh):

  ハワード・フィリップス・ラヴクラフトなどの作品に登場する架空の地名。英語表記は「R'lyeh」 日本語ではル・リエーとも。


 太平洋、南緯47度9分 西経126度43分の海底に位置し、ニュージーランド・南米大陸・南極大陸の中間付近、現実には太平洋到達不能極に程近い絶海の海域である。


 作品中では、太古の昔地球を〈旧支配者〉が支配していた時代にクトゥルーとその末裔が支配していた半宇宙的都市。現在では南太平洋の海底に沈んでいるが、かつては失われた大陸に存在していた。クトゥルーは活動を停止して以来、都の頂にある墓所の内部で眠りながら、崇拝者に思念を発し続けていたのである。しかし、やがて大陸の沈降によってルルイエはクトゥルーの末裔達共々海中へと姿を消した。


 だが、星辰の位置が揃い〈旧支配者〉の復活の条件が迫るとルルイエはふたたび海上に姿を現し、同時にクトゥルーの思念波が世界中を満たし、悪夢や怪事、暴動が頻発する。1925年3月1日に、地震と嵐と共に悪夢や、秘密教団の蠢動が始まり、3月23日にルルイエが海上に姿を現している。


 しかし、この時は条件が不十分であったためかルルイエはふたたび海中に姿を消したらしく、4月2日には全ての異常は終息した。


 ルルイエは、冒涜的な象形文字、彫刻や巨像、浅浮き彫りに覆われた、信じられない程に巨大な石造建築物や石柱の集積であり、それらは全て人類の概念からは懸け離れた幾何学に基づいて造られているため、人間の目には都市の構造や空間が歪んでいるような感覚を与え、異常極まりない非ユークリッド幾何学的な外形を持つ多くの建造物からなっている、と描写されている。


 死せるクトゥルフ(クトゥルー)が封じられ、夢見ながら待つ場所であり、クトゥルフ神話の中核をなす要素のひとつである。星辰が正しい位置についたとき、クトゥルーは目覚め、ルルイエは再び浮上すると伝えられている。


 ラヴクラフトの作品においては、『クトゥルーの呼び声』で語られた1925年3月23日がこれに該当する。

1925年に一度短期間浮上したときは、世界中で精神に異常をきたすものが急増し、邪神崇拝者たちの活動が活発化したが、ルルイエが海中に没するとともに沈静化した。これ以降、クトゥルー神話的事件の数は上昇傾向にある。


 このようにルルイエは何百年かに1度、地殻変動により海面に浮上する場合があり、クトゥルーも一時的に目覚めることがある。このときクトゥルーの思考波が芸術家などの感受性の強い人間に作用し、世界中で悪夢を見る人が続出すると共に狂気じみた犯罪や事件が続発するのだ。ただしこの目覚めはあくまで一時的なものであり力のほとんどは回復しない。完全な復活には星辰の座が正しい位置に復帰する必要があり、そのときが来れば再び地球の支配者として復活し、世界中を大虐殺の炎に包み込むという。


 ラヴクラフトの多くの作品で触れられるほか、他の作家によって書かれたクトゥルフ神話作品にも多く登場する。


 ミスカトニック大学のウィルマース・ファウンデーションの調査では、広さは50万平方キロメートル(日本列島より1/3でかい)、眠っているクトゥルフの眷属が500体以上。



総括:


▼レムリア大陸 :

 インド洋外周にのみ生息するキツネザルの生態を仮想。ならば5000万年以上前のインド洋にインドの南部、マダガスカル島、マレー半島があわさった大陸が存在したのではないかと仮説し、キツネザル(レムール)にちなみこれを「レムリア大陸」と名付けた。


 ……が、プレートテクトニクス理論の大陸移動説によりこれら生息域は物理的にあわさっていたと完全に否定された。


▼アトランティス大陸:

 プラトンが『ポセイドンは国王アトラスを称えて周辺の海をアトランティック(大西洋)、その国をアトランティスと呼んだ。大陸と呼べるほどの大きさを持った島と、そこに繁栄した王国のことである。強大な軍事力を背景に世界の覇権を握ろうとしたものの、ゼウスの怒りに触れて海中に沈められた。』とエジプトの神官に教わった。


 大西洋は「アトランティスと呼ばれる、古代より「ヘラクレスの柱」として知られてきた柱の外の海」すなわち「アトラスの大洋」であると記述される。

「ヘラクレスの柱」=ヘラクレスが切り開いたとされる、ジブラルタル海峡の入口にある岬(ジブラルタルとセウタ)につけられた古代の地名。


▼ムー大陸:

 イギリス陸軍大佐を詐称したアメリカ在住の英国人作家ジェームズ・チャーチワードがオカルト書籍で突然主張する。

 なお根拠は無い!


▼パシフィス大陸:

 ポリネシア文明圏を説明する空想科学。


▼メガラニカ大陸:

 当時アジアの大きさも知らなかった古代ギリシャだが、北半球と同じような大陸が南半球にもきっと存在すると仮定し、その存在を推測された仮説上の大陸。


 

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