第13話 ファンタジー:伝承-黄泉帰り 「吸血鬼」「狼男」「Fの怪物」「バーサーカー」「グール」「ゾンビ」「キョンシー」「仙人」「救世主」

傍論:其は死して再び蘇らん!


 本来、吸血鬼と狼男は同種の存在であり共に元は『熊の毛皮をまとう者 (バーサーカー)』が起源の一つ。


 またグールとは吸血鬼のなり損ないとも言われ、『腐らぬ死体』から来ているが、この腐らぬ死体の概念は元はシルクロードを超えて来たキョンシーの概念とも言われている。(キョンシーとは道教の魔術により死体運搬の為に蘇らされた存在)

さらにこのグールであるが、現在全米で絶賛大人気中のゾンビのイメージというのが元来はこの『腐らぬ死体』グールのイメージであった。


 そもそもハイチのゾンビというものは、いわば精神的・社会的な死を与えられた、いわば『生きた死体』のことであった。

だが現在、グールや吸血鬼と言う死者の蘇生などのイメージによりゾンビのキャラが生まれて、これが映画などにより広まってしまった故の誤解であり、それらの概念に取って変わられたのだった。


 また東洋には、西洋で言うところの隠者である仙人という不老不死で超常の存在があるのだが、この仙人になるための様々な方法のなかで、尸解仙しかいせんというものがある。


 これはやはり死者の蘇生の一種と言え、一旦死んだ後元の肉体から脱皮するが如く新たに仙人の肉体へと生まれ変わるというものであるのだ……。


 ところで一般的に救世主の代名詞として有名なとあるジーザスでクライストなスーパースター的人物がいたが、あくまでも此奴は自らを『ユダヤ人の王・且つ救世主(メシア)である』と中二病の如く自称した詐称・騒乱の罪により、当時自治区だったユダヤの裁判にかけられ、その後あくまでも法的な処置として粛々と統治者であるローマ政府に引き渡され実務として磔刑(はりつけ)に処せられるも、3日後には肉体を持って蘇ったそうな。


 なお、彼が生前行った復活の奇跡とやらで複数人が蘇るも、これらは死後数日間経って腐りかけている肉体で意識を取り戻したので、じきに朽ちて再び眠りにつく不完全なものだったと言う。(どう考えてもそれは自身の復活の練習台としか……)


 故にキリストの復活を重視するローマ教会としては、それ以外の死者の復活を許容できなかったので数ある化物の中でも悪魔と並んで特に吸血鬼を殊更に忌み嫌ったのだ。


 これら民話や伝説などに登場する存在で中でも、吸血鬼、狼男、フランケンシュタインの怪物は共に世界三大怪物と称され並び立つ怪物だが、これはやはり映画による影響が強い。

現在ではマンガやアニメ、ラノベ等で活躍中。


 「さぁ、 始まるざますよ」「行くでがんす」「フンガー」(誤



 ……ただし映画界ではキョンシーブームも遥か昔に過ぎ去り、最近では未だ生き残っているゾンビ一強となりつつあるのやもしれぬ。

いや、サメ映画も侮れぬか?




1_吸血鬼:「血ー吸うたろか?」

▼吸血鬼伝承:古から血液は生命の根源と考えられ死者が血を渇望すると考えられた……が……


  吸血鬼とは広義には、一度葬られた死者が肉体性を持って蘇ったもの、ただし実体が無い場合もある。または魔女や悪魔、精霊や妖怪等人間ではない存在、もしくは狼男(狼に変身する能力を持った人間)やコウモリに変身する能力を持った人間、あるいは吸血動物、でなければ睡眠時遊行症者までもが該当する可能性があるが、ただし必ずしもそうとばかりは言えないとされ、また一般的にはなんらかの理由により不死者として蘇ったものである可能性が高いが、生命の根源とも言われる血を吸い栄養源とする蘇った死人または不死の存在の可能性もあるとも言われている。


 また人間、もしくは家畜、あるいは家屋などに害悪を与える、でなければ突発的な犯行を行う可能性もある存在とも。

つまりは吸血鬼とはこのように大変曖昧ファジーな存在なのである。



▼発祥:複合存在たる吸血鬼の伝承-悪魔合体!

  そもそもは欧州に置ける蝋屈症カタレプシーを死亡と信じた人々によって

埋葬され棺の中で蘇生した人や、死蝋など埋葬された時の条件によって腐りにくかった死体への錯誤、あるいは黒死病の蔓延による噂の流布により欧州における吸血鬼のひな形が生まれたとされる。


 これに北方-北欧から南下してきた『バーサーカー』伝説、南方アラブから伝播した『グール』の言い伝え(さらにその起源は東域のキョンシーの概念)、西方から『人食い狼-ルー・ガルー』の伝承が混在/統合された結果、所謂吸血鬼としてその存在は固定化し現代へと繋がる吸血鬼伝説の原型が完成した。


▼旧来の吸血鬼の姿:これぞ元祖吸血鬼伝説

  基本は生前のままの姿であるとされることが多いが、ただ吸血する際は長い牙が出現する、とされている。


 また、様々な姿に変化することが出来るとされる。

吸血鬼は、『虫に変身する』、『ネズミに変身する』、『霧に変身する』などの手段を用いて棺の隙間や小さな穴から抜け出し、真夜中から夜明けまでの間に活動するものとされた。


 さらに、特定の月齢や曜日(後にはキリスト教の祭日など)には活動できないとされ、獲物である人間を惹きつけるために美しい容姿を持つとされる。


 スラヴの民話によると、吸血鬼は血を飲み、銀を恐れる(ただし銀によって殺すことはできない)とされた。

また首を切断して死体の足の間に置いたり、心臓に杭を打ち付けることで吸血鬼を殺すことができると考えられていた。


▼吸血鬼となる理由:其は反アンチキリスト者クルス成り也!? 

 死者が吸血鬼となる場合とは、生前に犯罪や神(信仰)に反する行為を犯した為。

惨殺又は自殺あるいは事故死しなど非業の死を迎えた為。

葬儀の不備や何らかの悔いを現世に残したなど心残りができた為などの例が挙げられますが、これらの吸血鬼が起こす害悪としては、眼を見る/名前を呼ぶ等、何らかの方法により血や生気を吸い人を殺す。


 または同様に家畜を殺したり病気にする。或いはただ家屋を揺さぶる。

もしくは生前の妻と同衾し子供を産ませる……などの例があります。(段々ショボクなるのはご愛嬌)


 ただ、近年において追加された設定によって、吸血鬼に生き血を吸われた人間は生きたまま(吸血鬼に殺された人間はその死体から)吸血鬼になる、と害悪そのものが吸血鬼となる理由に加えられてしまいました。


 他に、葬られる前の死体を猫がまたぐと吸血鬼になるなど不可解な理由もあり、そのため吸血鬼の存在が強く信じられた地域では、墓に大量の黍を捲く。にんにくを置く。茨を置く。

一定期間墓の周りで火を焚き続けるなどの予防措置がほぼ全ての死者に対して行われてきました。


 さらに、ルーマニアのストリゴイと呼ばれた吸血鬼は、自殺者・犯罪者・魔女・吸血鬼に殺された者・七番目の息子(八男ですが何か?)・猫に飛び越えられた死体・片思いの末に結婚出来ずに死んだ者(余計なお世話だ!!)が成ると言われていますし、同じくルーマニアのノスフェラトゥは、私生児の親から生まれた私生児(要するに親子二代に渡っての超エリート私生児)が死後変貌したものとされています。


 このノスフェラトゥ、更に人間と子を設けることも可能で、生まれた子どもは死後変貌するまでもなくモロイと呼ばれる『生まれながらにしての吸血鬼』となり人を襲うと言う、まるで吸血鬼のバーゲンセールだそうです。

……要するにキリスト教社会においては反社会的、反道徳的な存在はすべからく吸血鬼なのである。



▼現代的な吸血鬼の姿と特徴:小説化、そして映画化へとメディアミックス!

 腕力は人間を超え、体の大きさを自由に変えたり、コウモリや狼などの動物、霧や蒸気に変身でき、どんな場所にも入り込む。

また、催眠術やフクロウ、コウモリ、狼、狐、昆虫といった動物、嵐や雷などを操るとされます。


 これら現代の吸血鬼の姿とは、旧来の吸血鬼の特性に加え旧来の魔物の特徴と当時のキリスト教の常識、さらには当時流行りの怪奇小説の設定が付加されて完成されていきます。


1.旧来の魔物の特徴:それはチョコレートの空き箱のように……実態は既に無くそのフレイバーのみが残り香として漂っているのみ。


 現代の吸血鬼が持つという特徴の源泉は本来は様々な魔物が持っていた特徴の複合体であり、これはキリスト教による土着信仰の苛烈な弾圧によって本来埋もれていた魔物の説話が却って広まり、それらが吸血鬼の伝承へと取り込まれてしまう事となりました。


このキリスト教布教以前に信じられていた魔物の特徴として

・日光を浴びると弱るため、昼間は墓地や洞窟などに身を隠す。

・緩い水流や穏やかな海面を歩いて渡る(どこかの聖人の特技だったはずでは?)。

・ニンニクや匂いの強い香草等を苦手とする。

・金属の杭を心臓に打ち込めば死亡する(なお大抵の人間も死亡する)。

・鏡に映らない。

 などなど、それらが吸血鬼の特徴として引き継がれ、さらにはドラキュラ伯の逸話と結び付けられて現代に通じるヴァンパイヤ像の源泉になったのです。

(はて? イエス・キリストの逸話として

 ・警備兵の目を逃れるため、昼間は墓地や洞窟などに身を隠す。

 ・緩い水流や穏やかな水面を歩いて渡る奇蹟。

 ・「埋葬」のための「香油」の香りを苦手とする。

 ・金属の杭(ロンギヌスの槍)を心臓に打ち込めば死亡する。

 ・風貌を写したという布、聖骸布にしか映らない。)

いや、なんでも……



 また吸血鬼とコウモリの関連性とは、実は南米熱帯雨林地域の動物の血を吸うコウモリを吸血コウモリ(ヴァンパイヤ)と名付けたことに由来すると言われています。



2.怪奇小説の設定と3.当時のキリスト教の常識:ドラキュラとは個人名! ルーマニア語で「竜の息子」を意味する。


 現代的な吸血鬼の姿は特に東欧トランシルヴァニアの伝説を元にしたとされるアイルランド人の作家ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』のイメージにより強い影響を受けており、従って東ヨーロッパの吸血鬼は現代のそれに近いのです。(注:『ドラキュラ』の登場人物の一人であるヴァン・ヘルシング教授は、吸血鬼の特徴を判りやすく端的にまとめ「怪力無双、変幻自在、神出鬼没」と称しました。)


 このブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』は、当時ヨーロッパで流行った怪奇小説ゴシック・ノヴェルで描かれた魔物の特徴(初めて訪問した家では、その家人に招かれなければ侵入できない)をパクリ……取り込みつつ、当時のヨーロッパでの社会常識であるキリスト教的な要素である、十字架、聖水、イコンのような宗教的象徴(注:それ自体には効能が無く、それを持つ者の信仰が重要である)を非常に嫌う、護符や聖餅も打ち払う効果を持つ(注:だがこれらは力のある吸血鬼には通用しない)、も加えて巧みに吸血鬼像を創り出していったのです。(注:ドラキュラのモデルは15世紀のワラキア(現ルーマニア南部)公ヴラド3世(ヴラド・ツェペシュ、ヴラド・ドラキュラ)。


 ただし、設定として使われているのはドラキュラというヴラドのニックネームと、出身地が現在のルーマニアという点だけである。


 ドラキュラ公の父ドラクル公がドラクル(語の原義は竜ドラゴン)と呼ばれたのは「ドラゴン騎士団」に所属していたためであり(注:ある意味ブルース・リーがドラゴンと呼ばれた男であるのと同様である)、ヴラド・ドラキュラ公も「小竜公」とでもいうような意味なのです。なお、作者ストーカー氏は、終生アイルランドから出ることは無かった。)


 その他、種、穀粒、結び目の紐、漁網などその数を数えたり、拾い集めたり、解とせずにはいられなくなるという習性なども当時の民間伝承としての魔除けから、疫病が川を越えて広がりにくかったからという説や狂犬病の水を恐れる症状から流水(川・海)を渡れないという弱点なども各種組み込まれていきました。



▼まとめ:現代日本の吸血鬼事情

 吸血鬼についての設定は結局は複数の作家のそれぞれの主観から語られるのみで、一向に詳細が見えてきません。


 結局吸血鬼とは実態が無い存在であり、それは吸血鬼の有り様そのものと符合しているのでしょう。

また吸血鬼と言う存在は、あまりにも話を盛って最強の存在と言われるほど強くなり過ぎたので、同時に山程の弱点もまた付け加えられ、その強さのバランスを取らされました。所謂ハンデマッチです。




2_狼男:もっともメジャーな獣人にして憑きモノ界のプリンス。

 そのもっとも恐ろしい点とは狼に変身する事でも、牙を剥く事でも、怪力な事でも無く、むしろ狼から人間に戻る点にあります。

そう、その最大の脅威とは人の群れに隠れ潜む事なのです! - 人狼ゲーーム!! -


▼獣人の歴史:伝承やフィクションに登場する、人型と他の動物の外見を合わせ持つ人物を指す。

 獣人とは民間伝承、神話学、人類学において獣人とは人と他の動物の特徴を合わせ持つ人物を指す。

その最もよく知られているのが人狼である。

人々が動物の姿に変わったり(注:獣化)、超自然的に他の動物の特徴を所有することを信じる人々はよく人狼症と呼ばれる。


 古来より狼の生息する地域には、必ずといっていいほど、狼人間の伝説もまた存在する。

英語のウェアウルフの「were」は古英語で「人間」を指すので「ウェアウルフ」と言うのだが、豹の多いアフリカでは豹人間ウェアジャガー、インドには虎人間ウェアタイガー、オーストラリアにはワニ人間ウェアクロコダイルがおり、他には北欧のベルセルクもこれの類似例と言える。


 日本の場合は狐憑きがこれに相当するが、民話上の狐、狸、ムジナ、鶴が人に化けるというエピソードも同類であろう。(_しかし猫を被る場合はウェアキャットなのだろうか_?)


 記録に残るもっとも古い獣人は、メソポタミア神話のギルガメッシュ叙事詩のエンキドゥで、獣人とはあらゆるモンスターたちの中でも古く由緒ある種族である。


▼狼とは:

 本来オオカミから犬が生まれるほど人類とは古くから親しかった存在だが、中世~近代に入るにつれヨーロッパや中国など牧畜が盛んであった地域では家畜を襲う害獣として忌み嫌われる傾向になり、逆に農業が盛んであった地域では、農作物へ被害をあたえるシカなどの害獣を駆除する益獣として、怖れをもたれると同時に慕われもした。


 また、狩猟採集生活が盛んであった民族でも神格化されることがある。


▼狼男とは:

 獣人の一種で、狼または半狼半人の姿に変身したり、狼に憑依されるなどした人間の男性である。

女性では狼女(おおかみおんな)、子供では狼子供(おおかみこども)、男女を特定せず狼人間(おおかみにんげん)、或いは人狼(じんろう)とも言う。

そう言えばオオカミ少年なんてのもあったか。


 一般的には先天的に狼への変身能力を持つ人間(もしくは、人間への変身能力を持つ狼)の種族としての狼男の場合もあるが、大抵は呪いや魔術などによって後天的に狼男となる場合が多いとされる。

その場合、狼憑き(おおかみつき)とも呼ばれる。


 農作物や食料の保存方法が悪かった時代、ライ麦パンに繁殖した麦角菌(アルカロイドを含有し、四肢の麻痺、思考力の低下、幻覚・興奮等の作用がある)を摂取してしまい、その結果人格が豹変したり、凶暴な行動をとってしまった人や、同じような症状が発症後に起こる狂犬病に罹患した人が狼男扱いされてしまったという説もある。


 ウェアウルフ(英語: werewolf)、ワーウルフ(同)、ヴァラヴォルフ(ドイツ語: Werwolf)、ライカンスロープ(lycanthrope)、リカントロープ(同)、ルー・ガルー(フランス語: loup-garou)、ウルフマン(wolfman、現代の創作作品に限定されて用いられる)などとも呼ばれる。


 これらは語源的には男性を意味する語だが、男女を問わず使うことが多い。

その起源は東ヨーロッパとされるが、北欧神話にもウールヴヘジンと呼ばれる狼に由来した戦士がおり、ベルセルク(バーサーカー)と同種と言われ、狼男の伝説にも影響を与えている。


▼狼男伝説:満月の夜に月を見て狼男になるというシチュエーションが一般的です。

 満月の夜、突然発作と共に体中に野獣のような体毛や鋭い牙が生え、次々に人々の命を奪うと言われる狼男。

狼男伝説はフランスを中心とするヨーロッパ諸国が発祥の地であります。

なお16~17世紀狼男裁判で処刑された狼男は数百人を超すという。


 この人間が狼に変身する人狼についての記述は古代よりしばしば見られますが、ヨーロッパで狼を忌み嫌うのは中世キリスト教が、土着の信仰を駆逐するため人狼伝説を利用してきた影響も大きいのです。


 中世のヨーロッパでは、人狼の存在が信じられており、昼間は人間の姿をしている人狼が、夜間には狼の姿で他の人間を襲うなどとされてきました。




 もっとも古代ローマにおいては、人狼が現われたという噂を紹介したうえで、このような変身の存在はでたらめであると否定しています。

なお、イギリス本土の諸島では早い段階で狼が駆逐されたために、人狼の伝説は外国起源のものであり、魔法使いや巫女はたいてい猫や兎に化けることになってしまったのです。


 また狼男は銀で殺せる、という説は、アメリカ・ユニバーサル社の映画「狼男(the wolf man/1941)」です。

脚本のカート・シオドマクがドラキュラ映画的な退魔シーンを求めた末に考案し、これがドラキュラ、フランケンシュタインに続く第三のモンスター映画として大ヒットしたことから、さも本当の伝説のごとく信じられてしまいました。


 ファンタジー系のフィクション作品では、狼男の弱点として銀の武器が設定されていることが多いですが、ウルフスベイン(トリカブト)を狼男の弱点はギリシャ神話起源ですが、これは「狼をトリカブトの毒で殺す」という民話が元なのです。



3_フランケンシュタインの怪物:

フランケンシュタインの怪物

「我が輩は猫では無いが名前はまだ無い! フランケンシュタインはあくまで製作者の名前である!」

 シュレーディンガー博士

「ちなみにシュレーディンガーは儂の名前で、猫の名では無い!!」

 ヴィクター・フランケンシュタイン青年

「僕は大学生であり、映画でヘンリー・フランケンシュタイン博士とすり替えられた!」


▼容姿:フランケンシュタインの怪物とは、その実態は肉(flesh)で創られたフレッシュゴーレムなのである。


  それは、いつ生まれたのか誰も知らない。

  暗い音のない世界で、

 無数の死体の継ぎ接ぎで造られた、

 巨躯の大男が生まれた。


  彼はもちろん人間ではない。 また、動物でもない。

 面長で平らな頭部に広くせり出した額を横断する縫合痕や

 こめかみの辺りを貫通する、

 もしくは首から突き出した巨大な金属ボル トが特徴だが、

 その醜い身体の中には正義の血が隠されているのだ。


 その生き物…要は死体を集めてつなぎ合わせたそれは、

 人間になれなかった《人造人間》である。


   それは、いつ生まれたのか誰も知らない。

  だが、彼は主人の操り人形ではなく確固たる自我を持ち、

 暗い音のない世界で、英知ともいうべき流暢なフランス語を学び操り、

 ゲーテやミルトンを読みこなす知性や知恵と

 正義の心と力を吸収し身体の強健さも問題無かった。


    そしてある日、

  外見の醜さゆえに人間社会はおろか、

  創造主から名を与えられることも無く

 存在意義を否定されてしまった哀しき存在が誕生した。


  彼は望まれる人間になるべくして育ちながら、

 醜い姿として現れた《人造人間である怪物:醜いアヒルの子》である。


▼あらすじ:

 - フランケンシュタインの怪物サイド -

  輩は怪物である。

 名前はまだ無い。

 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。

 

 何でも雷の鳴る嵐の夜に薄暗いじめじめした所でフンガーフンガー泣いていた事だけは記憶している。

吾輩はここで始めて人間というものを見た。


 しかもあとで聞くとそれはマッドサイエンティストという

人間の中で一番獰悪な種族であったそうだ。


 このマッドサイエンティストというのは時々我々を捕えて硫黄の鍋で煮しまうという話である。

しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。


 ただ彼の掌の上いいように踊らされてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。


 掌のひらの上でもって操られるも、少し落ちついてヴィクター・フランケンシュタインの顔を見たのが、いわゆる人間というものの見始であろう。


 この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。

 その後、満月の世に狼男とやらにも逢ったがこんな片輪には一度も出会わした事がない。


 第一縫い痕をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶だ。

のみならず顔の真中があまりに突起している。

そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙を吹く。

これにはどうも咽せぽくて実に弱った。

なお、それが人間の飲む大麻というものである事はようやくこの頃知った。



 - フランケンシュタインサイド -

 スイスの名家出身の青年、フランケンシュタインは科学者を志し故郷を離れてドイツで自然科学を学んでいた。

だが、ある時を境にフランケンシュタインは、生命の謎を解き明かし自在に操ろうという野心にとりつかれる。


 そして、狂気すらはらんだ研究の末、「理想の人間」の設計図を完成させ、それが神に背く行為であると自覚しながらも計画を実行に移す。


 墓場から死体を盗み出して繋ぎ合わせ、遂に長年の夢だった人造人間シリーズの傑作を作り出したのだ。


 しかし誕生した怪物は、優れた体力と優しい人間の心、そして知性を持ち合わせていたのだが、肝心の製作者に絵心というものが皆無のためそれはそれは筆舌に尽くしがたいほど容貌が醜いものとなった。


 その醜いデザインを客観的に見せつけられて、己のセンスの無さに絶望した博士はそのあまりのおぞましさに、己の黒歴史から逃げたいという気持ちが芽生え、彼は思わず正対した怪物に向かって跳び上がり(一見ドロップキックの要領で)、自らの両足で相手頭部を挟み込んで首から突き出した巨大な金属ボル トに足先を引っ掛けそのままバック宙のような形で回転しつつ、そうして巻き込んだ怪物の脳天を大地へと叩きつけその衝撃で地面にうずくまる怪物を見ると、コレ幸いと見捨ててさっさと実家のあるスイスへと逃走したのだった。


 だがしかし、残された怪物はこれまた残された数々のお宝:布教書を読み込んだお陰で次第に要らん知恵を付けていき、やがて怪物は野山を越え強靭な肉体のために生き延び、創造主を追いかけてスイスに向かい「母を訪ねて三千里ようやくマルコはお母さんの元にたどり着いたでした」をやったのだが、その旅の間に自分の醜さゆえに人間達から忌み嫌われ子供に迫害され少女にディスられ、孤独のなか自己の存在に悩む怪物は、


「こんな醜いキモオタのオレには恋人などできるわけもない、だからせめてオレに2次元の嫁を作ってくれブヒー」

と悟り、彼に懇願するのでした。


 怪物はこの願いを叶えてくれれば二度と人前に現れないと約束するが、しかしもし美女を造ろうとして俺のセンスの無さに気付かれたら殺される、と危惧した彼は


「だが断る」

 とニワカな事を言うと、


追い詰められた怪物は、

「もうお前でも構わない」

と言いだしたので、


これには思わず彼も、

「俺は男だ!」

と怒鳴るのだが


「なに、完全な人間なんていないさ 」

 と、奴はいい笑顔で返すのだった。


 むろん彼はこれを拒否して逃走。


 その際生みの親から

「くだらないことを言うな、お前にはお笑いのセンスがまったくないな」

と言われた怪物は怒りに任せ、彼の家族や恋人をにらめっこにより、そのお笑い力で笑い殺してしまう。


 こうして彼は、尻を狙われる恐怖に屈したまま北極海まで逃げるのだが(なぜか逃亡者と自殺者は北の海に逃げる傾向が強い)が、無理がたたってついには氷上でスケキヨ状態で死んでしまうのだった。


 その遺骸を抱き、その内部の冷たさに彼が死んでしまったことを思い知った怪物は、彼が思いの丈をぶっかけた博士の遺体を嫌々引き取った北極探検隊の隊長に


「後、やり残したことは一つしかない」

と告げると、不死身の肉体を滅するために作り上げた手製の溶鉱炉へ向かい、彼の残した遺品の「正体を隠そうとしたスケキヨマスク」を被り、片手でなぜか「マチェーテ」を担ぎながら自らの身体を火中に投じ


「I'll be back」

と言い残し、火中へと消えるのだった。



▼番外_マミー/ミイラ男:ツタンカーメン王墓の発掘を題材にした作品が素。包帯を纏った姿が定番


 かつては世界四大モンスターの一角とも言われていたが、現在ではその存在をキョンシー、ゾンビに追われ落ち目な存在に。ユニバーサル・ホラー



4_バーサーカー:くま クマ 熊 ペアー?

 北欧神話に登場する戦士ベルセルクル(Berserkr)が起源。

戦場で狂ったように吼え猛り、楯に噛み付き、無敵の強さを示したといわれる。


 名前の由来は、彼らが熊(bear=ber)の毛皮のコート(coat=serkr)をまとっていたためとされる。

この伝説から転じて、狂戦士、凶暴な人を意味するようになった。


 古代東欧の「若者の戦士集団が狼(熊)に儀礼的に変身する」という風習(熊皮を着た狂戦士=ベルセルク)が、時代が下るにつれて民間伝承化されたものであると考えられている。


 バルト地方における獣人化伝承の小説として「狼男」ならぬ「熊男」がある。

クマもギリシア神話における女神アルテミス及びその侍女カリストーとクマへの変身が結び付けられるなど、変身譚と結びつきの強い動物なのである。



▼伝承:日本語では狂戦士と書く

 軍神オーディンの神通力をうけた戦士で、危急の際には自分自身が熊や狼といった野獣になりきって忘我状態となり、鬼神の如く戦うが、その後虚脱状態になるという。

この忘我状態のベルセルクは動く物ならたとえ肉親にも襲い掛かったので、戦闘ではベルセルクと他の兵士は出来るだけ離して配備し、王達もベルセルクを護衛にはしなかったという。


 ウールヴヘジンと常に並び称され、また同一の存在であるとも言う。

ただ単に勇敢な戦士に対する称号であるとする場合もある。

後に、この伝承がイギリスに伝わって英語の go berserk(我を忘れて怒り狂う)という表現の語源となった。


 また後の北欧語では、ベルセルクという言葉は、しばしば単なる無法者、乱暴者の意味で使われる。


 これは、北欧では豪族や農民が武器をとって戦うことが多く、人殺しのみを生業とする職業軍人が、異常者として蔑視されていたためである。

11、12世紀以降、北欧が完全にキリスト教化されると、異教の価値観の産物であるベルセルクは異端者や犯罪者とされ消えていった。


 また特に降霊術で戦う神官戦士と言う位置付けは、悪魔憑きとして忌避されたようである。この憑き物、変貌と言う概念が狼男や吸血鬼へと受け継がれていきました。



5_グール:漢字で「食屍鬼」と表記される事も

 グール(アラビア語)は、アラブ人の伝承に登場する怪物の一種である。

ゴール(注:大帝では無い)、ゴリ(注:ゴリラパワーの略称ではない)などとも呼ばれる。


 元々はリビングデッドではなく、アラビアに伝わる悪魔や精霊のようなもの。

無論ゾンビは黒魔術のブードゥーが元になっているものなので、グールとゾンビはまったく別の存在である。


▼アラビアでの伝承:

 有名な怪物であり、イスラム教誕生以前の時代からジンなどと並びアラビア半島社会に伝承されていた存在である。


 体色を自在に変える保護色と、姿かたちを自在に変えてあらゆる人間に化ける能力を持つ、砂漠に住む悪魔であり、特にハイエナを装う。

墓場漁りでの人間の死体や目を親が目を離した隙に小さな子供を食べたりもする。

また旅行者を砂漠の奥まで誘い込み、彼らをも殺して食べたりもする。(注:死体以外も襲うのになぜに食屍鬼なのか?)


 民話ではグールが集団の誰かに化けていてこっそりと人間を食べるという話もある。(注:もうそれ完全に食屍鬼じゃないよね、食人鬼だよね?)


 女のグーラは美女に化けて、その性的魅力によって魅了した男を食べると言われる。(注:肉食系女子の走りか?)


 グールには雌雄があり、卵から生まれ(注:卵生か?)、雌は子供に授乳して育てる。(カモノハシなのか?)


 人間がグーラの乳を吸うと乳兄弟になってグールと仲間になれる。(注:巴御前か!?)


 アラブの民話では人間と会話が出来る知能や社会性をもった存在として描かれており、グールとの会話も頻繁に登場する。


 その一方で、一部の民話では道義的な教えを説く存在として善良なグールも存在し、アッラーフによって生み出されたジンとされることもある。

なお、グールは高い不死性と再生能力を持ち、首や手足を落とされてもすぐに回復し完全にとどめを刺そうとすると逆に元通りになるため、やられそうになると「とどめを刺せ」と罠を仕掛けてくるのである。


 アラブ社会におけるグールもまた、いわば犯罪者を怪物化した物であり、旅人を襲う盗賊、他人になりすます詐欺師、墓泥棒などの行為をモチーフとしていると言う。


 このアラビアの『グール』が東欧へと伝わり現地の腐らぬ死体・蘇った死者と同一視され欧州における墓場漁りの食屍鬼『グール』が誕生しいた。



6_ゾンビ:起源はブードゥー教のゾンビ

 元々は西アフリカ方面での精霊信仰であった『ヴォドゥン』が、アフリカ大陸からの奴隷貿易経由でカリブ海地域に伝わり、地元のカトリックやドルイド教などとカオスに混合し、『ブードゥー教』という新たな土着信仰として根付いたカルト宗教が始まりである。


 このヴォドゥンの教えでは「ゾンビ」というと神の一人の名前であり、転じて「不思議な力を持つもの」全般のことを指した。


 それが不思議なものから化物、妖怪へと変貌を遂げる。

奴隷として強制連行されて来た身分の人々が、日々白人からの仕打ちに耐え忍ぶ為に信奉しているとなると、内容はおのずと「精霊の力を借りて憎いアイツを呪い殺す方法」のように呪術的内容が先鋭化していくことになった。


 その一環として、人間を生ける屍「ゾンビ」に成り果てさせる呪法が生まれたのである。

だが、ゾンビとは死体でもなければ腐ってもおらず、見えない力で操られているわけでもない。


 意図的な服毒により死亡したと見せかけられ脳障害を負わされた、生きた人間なのである……と、言われているが実在の「ゾンビ化」とは、嫌われ者や結社内の掟を破った者に社会的制裁を加えるための行為であり、この場合の「死者」とは生物的なものではなく、共同体の保護と権利を奪われる、つまり「社会的な死者として扱われる」ことなのである。


 それがホラーやファンタジー作品などによって、「腐った死体が歩き回る」という描写がなされ、何らかの力で死体のまま蘇った人間の総称とされてしまった。


 また近年では呪術や魔法的な手法ではなく、科学実験や特殊なウイルス感染、あるいは寄生虫によりゾンビ化するという設定がある。

これらの作品には、パンデミックという形で被害が拡大するパニック物の様相を呈するものも多い。



7_キョンシー:来来!

 古来中国において人が死んで埋葬する前に室内に安置しておくと、夜になって突然動きだし人を驚かすことがあると昔から信じられてきた文学作品としては明代から清代にかけて多く登場する中国の死体妖怪の一種であり、わかりやすく言えば中国版ゾンビ。


 硬直した死体であるのに、長い年月を経ても腐乱することもなく、動き回るもののことをいう。

またミイラのように乾燥した尸体は中国でも出土しているが、これは「乾屍(かんし、コンシー)」と呼び、下位分類あるいは別種として区別される。


 符術師の操り人形である者、風水上正しい方角に埋葬しなかったせいで自然に起き上がった者、怨念で蘇った者など成り立ちは色々である。

これが長い年月を経てしもうと神通力を備えていき、空を飛ぶ能力なども持つとされる。


 映画作品で確立したステレオタイプは「額に操るための呪符、死後硬直して前に突き出した両腕、足首だけで跳ねて移動」など。

他は吸血鬼やロメロゾンビの特徴に影響された内容だが、原著にその手の記載は無く、民俗学上の根拠も無い。

これも20世紀以降の後付け創作である。


 また呪符でコントロールされているタイプのキョンシーは、ゾンビよりは「フレッシュゴーレム」の分類に近いだろう。

身体の特徴は死後硬直のため身体が硬くほとんどの関節は曲がらない他は所謂吸血鬼やグール、ゾンビとその特徴は大差ない。



8_仙人:一人でも千人!

 仙人せんにん(欧州における隠者に類似)とは、中国の道教において、仙境にて暮らし、仙術をあやつり、不老不死を得た人を指す。

羽人、僊人ともいう。


 道教の不滅の真理である、道タオ(注:賢者の道とも根源とも言われる)を体現した人とされる。

この道教と言うのは漢民族の土着的・伝統的な宗教であり、道タオとは宇宙と人生の根源的な不滅の真理を指す。


 道タオと一体となる修行のために錬丹術を用いて、不老不死の霊薬、丹を錬り、仙人となることを究極の理想とする。

また、仙人になるための修行である仙道(不老不死を追求する技術(煉丹術):不老不死の薬(仙丹)=錬金術:賢者の石=エリクサー)ということから、シルクロードを通じ、欧州と相互に影響しあった部分もある。


 つまり、仙人こそ完璧なる存在へと昇華した吸血鬼の上位種であり、イエスも夢見た私たちの原初の姿であり最終的なる姿『神の似姿:アダム・カドモン』なのである。



9_救世主:「パンがわたしのからだであるならば、ワインがわたしの血であるでしょう

……よってこれは血ではなくワインなのです。あ〜美味血いぃ〜!!」


『十字架にかけられて死んだ』

あと、三日目に君が復活したから春分の日の後の最初の満月の次の日曜日は復活祭イースター。

復活祭とは、イエス・キリストの復活を祝うキリスト教の祝日である。


また聖骸布は、処刑されたキリストの遺体をつつんだ布であり『キリスト復活のエネルギーでその姿が焼きついている』と信じられている。

が、復活後のキリスト、その姿をその後見かけた者はいない……


▼ナザレのイエスとは:

 様々な教えを説き、奇蹟を起こした結果、弟子の集団が構成されたことになっている。

福音書にはイエスがさまざまな病人の治療を行い、重い皮膚病患者などを癒し、死者をよみがえらせたなど、多数の奇蹟が記されている。

個人的にはこの人、娼婦がすっごい好きな感じなんですよね。

親御さんも処女懐胎(婚前交渉による妊娠のローマ期の隠語)してますし。

娼婦を中心に布教にまわったり弟子にとったり。


 なんでも師バプテスマのヨハネの教団乗っ取って布教(ガリラヤにおける宣教)してたそうなのだが、自身も「復活」したイエスに出会い「キリスト教徒」への迫害をやめ異邦人に福音を伝えるように呼びかけられたことで回心したとされるパウロに教団乗っ取られ(エルサレムにおける処刑後)出来たのがローマ教会と言う。


:おまけ

 キリスト教の教義とは要約すれば『皆死ぬしかないじゃない。だけど最後は皆復活するよ? ただし異教徒は除く! 地獄へ落ちろ!!』であるが、ユダヤ教徒であるイエスに地獄の概念は無いはずなのでこれは後の弟子の後継者達が勝手に作ったもよう。(注:具体的に言葉を濁して言うとローマ教会の方)


 なお民族宗教であるユダヤ教の教義とはバビロン虜囚後の近代化改教以降は特に俺達以外の異教徒は皆死ね、死ね、死ね、死ね!!!』である。


 更に言うとマホメットの宗教の特徴の一つとして、金貸し(注:利息で稼ぐ事・不労所得)は禁止されているのだが、これには抜け道があって所謂『ただし異教徒とは除く(注:だってあいつら人間じゃないし)』をやっていたので、欧州世界において世に言うベニスの商人として嫌われていったもよう。

ゆえに中世ヨーロッパにおいては、ユダヤ人達は自然と集住したり法律によって居住を強制されるなどして、市街地区『ゲットー』と呼ばれるキリスト教徒の支配者の支配が及ばないコミュニティーを作った。


 なお古代のアレクサンドリアやローマなどにおいて、すでにユダヤ教徒の巨大居住区が存在し中世ヨーロッパ前期やイスラム圏でもユダヤ教徒居住区は存在した。

しかもこれらは強制されてできたものではなく、ユダヤ人が自らの意思で集まって出来た居住区であった為、何か制限が課せられるといったことも無かった。

もっともゲットーの内部ではユダヤ人はある程度の自治権を得ていたものの、時代が降るにつけ人口の増加に伴う居住地の立体化や高密度化により衛生状態が次第に悪化しスラム化する地域も数多く現れ、またヨーロッパでは十字軍遠征のたびにユダヤ人は迫害を受け、社会不安が高まるごとにユダヤ人は迫害の対象とされていった。


 だがユダヤ教徒こそがユダヤ民族=ユダヤ人と言う定義な為、いつの間にか改宗していった(遺伝的な)旧ユダヤ民族は除かれていき、むしろ勢力を伸ばした他教からの改宗者達に乗っ取られ、最終的に(中東人から白人へと)完全に入れ替わられてしまった恐るべき教えでもある。


 この契約の民(注:故に悪魔は契約を重視する)の末裔が起こした現在のパレスチナの惨状を見るにつけ、実はイスラエルの民とは人の世の生き血を啜る鬼なのであろうか?


「この吸血鬼め!!!」

 パレスチナの一角に位置するガザ地区に住まうパレスチナ難民およびその子孫に対して「イスラエルの市民で生き残りたいと思うならならば、ガザの奴らを一日中、毎日、殺し、殺し、殺し続けなければならない」と発言している彼らをナチから助ける為に渡航ビザを発行してしまったものもいる日本人の罪は思いのほか思いのかもしれない。


蛇足:

 改宗者パウロの伝道は異邦人に対しても積極的に行われそれ故に非ユダヤ人の「キリスト教徒」が多数生まれた為(本来この時代の「キリスト教」とはあくまでユダヤ教の一形態に過ぎなかった)、その際問題となったのはユダヤの律法に従う義務があるか(つまりキリストの「道」に加わった異邦人たちにも割礼は施されるべきか)どうかであった。

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