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津希名魅

第1話 ファンタジー:種族-妖精-ゴブリン(ヨーロッパ - 伝承由来、イギリス人 - J・R・R・トールキン由来)

- ゴブリンが陵辱にすすむと 誰がきめたんだ 烙印を押す変態共が 歴史をかきなおす -


「ゴブリンを倒そうとする者は、自らがゴブリンとならぬよう気を付けよ。お前がゴブリンを倒すほどに、お前もまたゴブリンに成り果てているのだ」ゴブスレ



◎概要:ゴブりんは悪いゴブリンじゃないゴブ

 ゴブリンとは、元々はヨーロッパに伝わる、鉱山や洞窟等に棲むと言われるイタズラ好きの妖精(精霊)若しくは小人である。

或いは零落した神々の末路か。


 妖精と言ってもフェアリーのような愛らしいイメージは殆どなく、大抵は醜悪な外見に邪悪な性格を持つ存在として語られる。

いわゆる妖怪寄りの存在……寧ろ餓鬼か? 四天王像にでも踏まれてそう。


 見た目はかなり小柄で、大人でも体長が30cm程度しかないという伝承もある。

もっとも現在の日本ではヨーロッパ風ファンタジー作品に登場する悪役の一種であるが。


 だが元々のゴブリンとは様々なイメージで捉えられている。

本来のゴブリンの例としては、

●精霊:ゴブリンとは、邪悪な、または悪意をもった精霊である。

●妖精:ゴブリンとは、おふざけが好きで意地の悪い(だが邪悪とは限らない)妖精である。

●幽霊:ゴブリンとは、ぞっとするような醜い幽霊である。

●他:ゴブリンとは、ノームまたはドワーフのこと(またはその一種)である。

などがある。


 従って、伝承や作品によってその描写は大きく異なるが、一般に醜く邪悪な小人として描かれることが多い。


 また、ドイツの『コボルト』は、上記のゴブリンのイメージに重なる事もあり、同一視され英文ではしばしば「ゴブリン」と訳されていた……犬因子はどこへ行った?

 なおホブゴブリン(ホブ=田舎の)は、密かに家事を手伝う善良な妖精というのが伝承での本来の姿だが、後世ではゴブリンに似たもっと大型の生物とされていることが多い。


★ゴブリン:

 ヨーロッパの民間伝承やその流れを汲む(主として)ファンタジー作品に登場する伝説の生物である。

まれに「ガブリン」とも表記される。


 イタズラや悪事を好み、人間を怖がらせたり困らせたりする。

まさに妖精!?


 他の妖精達はゴブリンと間違われたり混同される事を激しく嫌うが、伝承によってはノームやドワーフと同一視されることもある。

日本でいう「子鬼」や「天邪鬼」に相当するだろうか。


 名前の由来には様々な説があるが、一説ではコバロス(Kobalos=ギリシャ語で「子供」を意味する)という単語から来ていると言われている。

事実ゴブリンはかつて、「イタズラや悪さをするが、どこか子供のように愛嬌のある存在」であり、必ずしも邪悪とは限らなかった。


 ゴブリンは悪い妖精ゴブ、として認識されるようになった背景には、キリスト教徒の民間伝承排斥運動により、ゴブリンが悪魔と見なされた事が挙げられる。


 トロール・ドワーフ・エルフ等も同様に排斥の対象であったが、人気・知名度があったことからとりわけゴブリンに対する仕打ちはひどかった。

ただしイケメンに限る、である。


 やがてヨーロッパでは夜遅くまで起きている子供に対し、親が「早く寝ないと悪いゴブリンが来るぞ」と怒って子供を躾けるようになったという。


 後にドワーフ・エルフは(主にトールキンの功績によって)一転して善き存在として認知されるようになるが、やはり一方のゴブリンは未だに怪物のイメージが根強いのだ。


 ただし近年日本において、なぜか新たな属性が追加されている。

エロゲ、エロマンガ由来の作品の影響か『苗床』なる新設定が……。

おい、どこから出てきたんだその概念、最初に苗床とか言い出した奴、誰だか言ってみろ!



 ……そしてその結果、彼らの繁殖能力からか種族として個体がレベルアップのごとく進化する設定までいつの間にか作られている。


 その進化系として現在では、ゴブリンナイトやゴブリンメイジ、ゴブリンシャーマン、ゴブリンキング、ゴブリンライダー、など様々な進化系が導入されている。

どうしてこうなった?


 しかしゾンビといい、ゴブリンといい、ねずみ算式に仲間を増やしていく恐ろしい怪物はその感染、繁殖力や進化の速度的にとっくに人類を駆逐してそうなものだが?



☆ゴブリンの登場する作品:

 トールキンが確立したイメージは後世の娯楽作品におけるゴブリン像に強い影響を与えた。


◎『お姫さまとゴブリンの物語』(ジョージ・マクドナルド)では、

ゴブリンは地下に住む悪意のある醜い生き物として描かれている。

この作品はトールキンも少年時代に好きな物語だったという。


◎『ウロボロス』(E・R・エディスン)では、

ゴブリンは小麦色の肌を持ち、勇敢で正義心に富む種族として登場し、ゴブリン王である快傑ガスラークに率いられて主人公勢力であるデモンランドを助けてウィッチランドと戦う。


◎『ホビットの冒険』(J・R・R・トールキン)では、

敵役として登場する、悪に仕える種族であり、群れをなして上下関係が存在する邪悪で狡猾な種族。


 ただしこの中つ国の「ゴブリン」は、『指輪物語』以降「オーク」という名に変えられ、ゴブリンはそれを英訳した名であるとされた。

これは、作品から童話のイメージを拭い去るためであった。

後の作品におけるゴブリン像(若しくはオーク像)の大元は、本作によるものと言える。


◎『ラビリンス/魔王の迷宮』(ジム・ヘンソン監督:1986年映画)では、

マペットと小人の俳優が演じた多数のゴブリンが登場した。


 そしてゴブリンの王である魔王ジャレスは異形の生物ではなくハンサムで強大な魔力を持ち、冷酷ではあるが決して邪悪ではない存在であった(デヴィッド・ボウイが演じた)。


◎『ハリー・ポッターシリーズ』(J・K・ローリング)では、

ゴブリンの経営による銀行・グリンゴッツがあり、その従業員もゴブリンが多い。

銀行の業務で金属である貨幣を扱いトロッコにも乗車し、地下や坑道に生息するイメージが残されている。


◎『帝都物語』(映画)では、

大柄ではないが猿のような姿で鉤爪を具える鬼が、

工事中の地下鉄トンネル内でトロッコに乗って出現し工事を妨害する。

……それはどう考えても餓鬼ではなかろうか?




☆ゲーム作品におけるゴブリン:

 創作作品、特にTRPGやRPGなどでは専ら定番的なザコモンスターとして扱われる。

オーク、トロール、オーガやコボルトといった亜人(獣人と扱われることも)と

同種のモンスターとして扱われる傾向にあり、作品によっては独自の言語・文化を持ち、ゴブリン達で形成された社会・王国を築いている場合もある。


 モンスターとして登場する場合は何も得物を手にしていない丸腰のゴブリンか、ゴブリンバット棍棒を始めとする粗野な武器を持っているゴブリンが多い。

中には人間と同じく剣や槍、盾や斧などといった武器を自在に操るゴブリンも存在する。

「ロマンシング サ・ガ」シリーズのドビー達のように弓矢を器用に使いこなすケースもあれば、杖・ステッキを手に魔法を使うゴブリンも存在するなどバリエーションは数多く、モンスターとしてのゴブリンの愛されぶりが垣間見えるだろう。


◎『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では、

『指輪物語』の発表後の日本国内のテーブルトークRPG業界において、オークとは別の種族として設定され敵モンスターとして登場。


 オークやコボルトとともに邪悪で人間に対立する人型生物で、独自の言語などを持ち、粗野な部族社会を形成する種族として確立された。


 あわせてホブゴブリンも大型の近縁種として設定され、これ以降ゴブリンは雑魚モンスターの代表格として、多くのRPGにおいて登場する存在になっていき、これ以降の作品では上記の設定を踏襲している場合が多い。


◎『ルーンクエスト』では、

「レッド・エルフ」「シダ・エルフ」「スローリフィングス」などとも呼ばれる種族で、植物の種や胞子を介して生殖を行うというきわめて特異な設定がなされている。


◎『ウィザードリィ』シリーズ第3作「Legacy of Llylgamyn(リルガミンの遺産)」においてゴブリンの部族が敵として登場。

ゴブリンプリンス、ゴブリンシャーマンといった役割分担が示された。


 ただし、強力な個体としての「王」の存在は、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ですでに登場している。


◎『ファイティング・ファンタジー』においては、

トロール、オークの改良型とも言うべき位置づけで登場し、詳細な設定がなされた。


◎『ソード・ワールドRPG』『ロードス島戦記』においては、

「ゴージャスなゴブリン」というゴブリンにスポットを当てたシナリオや、ゴブリンの君主を主役にした外伝的エピソードなど、代表的なモンスターとしての役割を担っている。


 また、山本弘の作品群においてゴブリンが詳しく掘り下げられた。

知力的、身体的に優れたロード種や精霊魔法を使いこなすシャーマン種といった上位種が存在する。


◎『ルナル・サーガ』においては、

黒の月を崇める種族として登場。

ゲーム的には雑魚としての扱いだが知能が高く魔法に対する偏愛がある。

作成されるCP次第では非常に強力な敵ともなりえる。


◎『ブルーフォレスト物語』においては、

降魔の影響を強く受けた種族として突然変異的な多数の亜種が設定された。


 中でも「ゴブリナ」は女性しか存在しない愛らしい山の民という設定で、従来のゴブリン像を打ち破った。

なお、ゴブリナは『BEAST BIND 魔獣の絆 R.P.G』にもゲストアーキタイプとして登場している。


◎『ファイナルファンタジーシリーズ』では、

主に雑魚キャラクターとして登場する。


◎『ウォークラフト』においては、

シリーズ2作目以降のすべての作品に登場し、知能が高く機械と火薬を扱うのが得意で、好奇心と無謀なまでの冒険心にあふれる愉快な種族として登場する。


 最新作ワールドオブウォークラフトでは商人としての側面が追加され、4人の商王子によって世界の経済と流通の安定を担っている種族、とされた。


◎『マジック・ザ・ギャザリング』のゴブリンは、

サーペイディア・ゴブリン、モグ、シヴ・ゴブリン、カイレン・ゴブリン、悪忌、ボガート、ホブゴブリンの7種が存在する。


 ほとんどのゴブリンは凶暴かつ愛らしい言動をするが、シヴ・ゴブリンやカイレン・ゴブリンなどは非常に知能が高く、中にはスクイーやスロバッドなど主役級の役割を果たしたゴブリンも存在する。


◎『REDSTONE』のゴブリンは、

槍をもった悪魔型モンスターの一種として登場。


 前述のとおり悪魔型なので、人型というより犬のような耳の付いた獣人のような形態をしている(同系統のモンスターは体色などの違いで表現されている)。

コボルトの上位種としての位置づけなので雑魚モンスターとしての位置づけは薄い。


◎『The Elder Scrolls』には、

大別して2種類のゴブリンが登場する。


 廃鉱や遺跡に住み着く野生のゴブリンと、種族を名乗り洞窟などで低レベルの文化生活を営むものであるが、どちらもダンジョン内の雑魚モンスターであることに変わりはない。


 ただし、このゲームに登場するゴブリン・シャーマンはアンデッドのみを召喚するという際立った特徴を持っている。


◎『アリアンロッドRPG』では、

邪神の力によって生物が邪悪なモンスターに変化した(「邪悪化」)という設定だが、このうち小人族たるフィルボルが邪悪化したのがゴブリンとなった。


◎『スレイヤーズ 』では、

雑魚種族として端役で登場するのみ。


◎『灰と幻想のグリムガル 』では、

大敵モンスターとして登場。

主人公達のライバル……同時期の『このすば』との落差よ。


◎『ゴブリンスレイヤー 』 では、

敵モンスターとして登場。作中のメインテーマ。

1体1体は大したことないが数が非常に多く、厄介な存在として扱われている。


◎『BASTARD!! -暗黒の破壊神』では、

モンスターとしてゴブリン、ホブゴブリンが登場。


 ホブゴブリンはゴブリンの大型亜種であり、日光を嫌うため地下に住まう残忍な種族で、全身イカくさい……そこなモニターを消した際に映った奴の事だ!


◎『ドリフターズ(漫画)』では、

黒王軍の配下の化け物たちとしてゴブリンが登場。


◎『デュエルマスターズ 』では、

デュエルの神殿「JDC」の神殿の案内人。

ゴブリンに似ているためにそう呼ばれた。


◎『覇王大系リューナイト』 では、

邪鬼族と呼ばれ寿命が短いが繁殖力は高く、悪しかいないとされ、リューゴブリンを駆る。


◎『ファイナルファンタジー(RPG)』 では、

シリーズの多くに雑魚敵として登場。


 ドラクエに於けるスライム的な存在だが、見た目の問題でスライム程愛されていない。

シリーズ11では、世界中に広がる技術の高い種族として姿を見せる。


◎『オーディンスフィア(RPG)』では、

プーカ族のなれの果て。性根の腐った追剥集団。


◎東方Project(弾幕STGを中心とする作品群) - 「東方茨歌仙」』では、

昔ながらの本格的なホフゴブリン(=ホブゴブリン)が登場。


 家事を手伝ったり繁栄をもたらしたりする善良な妖怪として、人里から姿を消した座敷わらしの代わりとして紫が海外から連れてきた。

しかし見た目が怖く里の人々から不評だった事で、座敷わらし達が戻ってきたことから里を追い出されるが、結局紅魔館で雇われた。



☆ホブゴブリン:ホブゴブリンとはゴブリン同様妖精の一種であり、単にホブと呼ばれる事もある。


 ゴブリンの名前を冠しているが、彼等とは違い人間に対して友好的・献身的な性格をしており、ヨーロッパ各地では家の守護霊として認知されていた。


 具体的には1杯のミルク(1枚のパン)を台所の隅に置いておくと、次の日には家の掃除や薪割り等といった家事をあらかた片付けているなど、人間の手助けをしてくれるまさに家憑きの妖精たる存在であった。


 ゴブリンと同じくイタズラを働くことがあるものの、酒やバターをダメにしたり、椅子に化けて人間が座ろうとした途端に変身を解く等、大抵は被害が少ないイタズラである。

人間からからかわれたりしない限りは、相手を必要以上に傷つけたりせず、単純に人間が驚く様を見られれば基本的には満足らしい。


 また良く扱われた場合には相手にお返しをするらしく、「ホブゴブリンに親切にしていたら、一生幸せに暮らせる程の贈り物を貰った」という伝承も少なからず存在する。


 ホブという言葉は「放浪者」を意味する言葉「ホボ」が訛ったもの、若しくはロビン・ロバート等の愛称「ロブ」が訛ったものと言われており、転じて「人間に近い知能を持つ妖精」・「人間と親しい善意ある妖精」といった意味合いがある。

或いは田舎者ホブのゴブリンとも。


 しかし前述した民間伝承排斥運動により、彼等もゴブリン同様悪しき存在と見なされるようになってしまった。


 現在では名前のイメージから「普通のゴブリンよりも強い(悪い)ゴブリン」と誤解されることが多いが、元々は「人間に近いゴブリン」という意味合いのある名前なので、ゴブリンの上位種とは一概に言えない事には留意されたい。

少なくとも、悪の妖精としてのゴブリンとは一線を画すべきである。




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