第2話 ファンタジー:種族-妖精-オーク(イギリス人 - J・R・R・トールキン由来)
オーク「オークック」
エルフの姫騎士「くっ殺せ」
次世代ハーフ「クッコロ」
◎概要:
世界的に言えば「オーク」はトールキン(1892年1月3日 - 1973年9月2日)- 英国の文献学者、作家、詩人、イギリス陸軍軍人 -の名作「指輪物語」に登場する残忍な悪に仕える兵士として、ときには副官として登場する一族である。
だが実はトールキンは作中ほとんどの場合、いわゆる現在の「ゴブリン」を「オーク」とほぼ同義で使用していた。
なぜなら本来「オーク」に相当する英語の総称は妖精を指す「ゴブリン」だが、トールキンはオリジナリティを出すためにこの種族を指すのに特にこの「オーク」の呼称を好んだからだ。
彼の独自設定ではメルコール(モルゴス)が道具としてエルフを改造しオークへと変貌させたとも、もしくはメルコール(モルゴス)がエルフや人間を真似て作り上げた存在とも言われる。
どちらにしてもベースはエルフであるが、これはエルフな姫騎士とオークの因縁の起源であろうか?
また、いわゆるファンタジー小説やゲームでは、しばしば「オーガ」の手下、「ゴブリン」の上官として登場し、財宝好きの「オーガ」のため、金銀細工を作り出す「ドワーフ」の洞窟に忍び込むことがある。
そのため、「オーク」と「ドワーフ」の両者は不倶戴天の敵であり、出会うことがあればどちらかが死ぬまで戦うことになる。
本来はエルフや人間などと同等の性能だが愚かに見えるとすれば、憎悪や嫉妬、絶望に苛まれるがゆえに建設的な連携を取りにくいだけである。
作中で女性の「オーク(ゴブリン)」は登場していないが、書簡によれば、「女オークは存在する」とのことである。
人間とのハーフである「半オーク」も確認されている。
多くの場合、そのキャラクターは“邪悪の手先”として設定されており、魔王や強大な魔力を持った悪の魔法使いの悪の軍団の尖兵として、主人公たちの前に立ちふさがり敵対する。
いわゆる“やられ役”や“戦闘員”と言った役所が多く、ファンタジー物の“定番キャラクター”である。
同様の存在にゴブリンやコボルドなどがあるが、こちらはヨーロッパの伝承などに登場する妖精の一種であり、オークはその由来となる伝承・逸話がないとされ、通例として、原典はファンタジー小説の『指輪物語』とされている。
作品によって姿形や種族としての出自は大きく異なるが、どの作品にも大体共通しておおよそ人間よりも体格に優れており、原始的かつ粗暴であることが多い。
その他、ローマ時代の出版物『博物誌』に由来する海の怪物"海獣"を指す英語として古来より存在していた。
だが、なぜか近年ではゴブリン同様、オーク・オークファイター・オークウォーリア-・オークナイト・オークハイ・オークハイロード・オークプリンス・オークヴァイスロイ・オークキングなど複数の進化系が設定されている。
ポケモンの影響なのだろうか? それともドラクエから始まるゲームシステムからか?
▼オーク:ファンタジー小説などに登場する架空の種族。
『指輪物語』で用いられて以来、様々なファンタジー作品に登場している。
☆ブレイクのオーク:
オークはウィリアム・ブレイク(1757年11月28日 - 1827年8月12日)- イギリスの詩人、画家、銅版画職人 -による神話の登場人物の一人でもある。
中世の海獣やトールキンの人間の形をした怪物と異なり、ブレイクのオークは善き存在として描かれ創造の情熱と活力を体現した存在であり、Orc ( オーク)はブレイク独自の象徴体系に基づく神話の登場人物の名前である。
またブレイクは、「ヨハネの黙示録」は「無花果(いちじく)が時ならぬときにその実を落とすように」、最後に天から星が落ちると語るのである。
この「恐い顔をした赤子」こそ、革命精神であるオークのことである。
(ブレイクは多くの思想家、アーティストたちにインスピレーションを与え続けていて アルフレッド・ベスターによる長編SF作品『虎よ、虎よ!(Tiger! Tiger!, 1956年)の題名は ブレイクの詩『虎』(The Tyger)に由来し、エピグラフとして“Tyger, Tyger, burning bright”からはじまる一節が引用されている。)
★トールキンの指輪物語でのオーク:
人間の形をした、海とは無関係の種族としてのオークはトールキンが創造したものである。
原典とされる『指輪物語』では、伝承を元にトールキンが創始した人間型種族(ヒューマノイド)で精悍な戦士として描かれる。
その顔も邪悪な表情ではあるが、ブタ顔などではなく普通の人間かそれに近い外見をしており、イメージとしてはダークエルフに近いとされる。
現代の海外のファンタジー作品での主流である「浅黒い(または暗緑色)の肌と血走り濁った眼を持ち、下顎がせり出して牙がはみ出ている武骨な戦闘種族」というオークのイメージは、ほぼこのトールキン版が原点になっている。
これは『指輪物語』の中の設定で、オークは「魔王サウロン」が神々の子孫であるエルフを真似て作ったが失敗した存在、またはエルフを捕らえてねじ曲げた存在とされているためである。
この事によって“人間以上、エルフ未満”という存在として定義されているのだ。
故にか、ありとあらゆる存在に憎しみを抱き、創造主である「魔神モルゴス(魔王サウロンの上官)」にすら憎しみを抱くが、恐怖で縛られているためそれを表に出す事はない。
とくにエルフに対する憎しみが強いが、これは自身の不幸が関係しているのだろうか。
また憎しみが邪魔をして統率力や判断力などを低下させるが、知能に関しては(元がエルフなだけあり)人間に劣らない。
ある意味で、世界で最も悲劇的で悲しい生き物であり、モルゴスの台頭による最大の被害者とも言える。
なお『シルマリルの物語』の中では、「魔神モルゴス(魔王サウロンの上官)」がエルフを長い年月牢獄に繋いで拷問にかけた結果、その容姿と精神が破壊され歪んでしまった存在」とされている。
ここでオークは元々がエルフだったものという設定が確立していると言ってもいい。
よって、トールキン作品では「初代冥王モルゴス(または二代冥王サウロン)」が「捕らえたエルフを堕落させて作った存在」、あるいは「エルフや人間を模して作った存在」の二説があり、どちらにせよエルフがベースになっているのは変わらないようである。
手に取るものや生み出すものもエルフのように洗練されたデザインではなく、汚れていて無骨な造りという感じで映画版では表現されている。
この他『指輪物語』にはオークの上位種として「ウルク・ハイ」と言う種族も登場する。
こちらについてはその由来や生まれなどは不明とされ、作品中で「忌むべき手段を用いた」とされているので、一般には「人間とオークを交配させた種族」と解釈されている。
ここから後のファンタジー物の作品の多くに「ハーフオーク」と言う概念が登場する様になった。
★トールキンのオーク像:
元々トールキン世界では「ゴブリン」はオークを指すホビット語で
あり、つまりトールキン作品においてオークとゴブリンは同一の存在を指しているだが、後の多くのファンタジー作品ではゴブリンはオークの下位種族等に位置づけられる。
知能はあるが鈍く惨めな生物で、極端に繁殖力が強く、人を殺す道具、または「つるはしや」「やっとこ」など、美しくないもの以外は作れるものの他の創造はできず、破壊するだけの存在として描写されている。
◎『指輪物語』では、
オークは邪悪な勢力(サウロンとサルマン)の兵士として使われた。
◎『ホビットの冒険』では、
トールキンはオークに「ゴブリン」という単語を用いた。
この時には『ホビットの冒険』の世界と中つ国を同じものとする構想がまだなかったからである。
幸運なことにトールキンは神話に関する言及を『ホビットの冒険』に含めていたため、後になってホビットの土地を中つ国に含めることができた。
『指輪物語』では「オーク」が大半を占め、「ゴブリン」が使われるのはそのほとんどがホビットの言葉である。
『指輪物語』の発行後に、『ホビットの冒険』の「goblin」は「orc」の翻訳ということになり、目次の直前の注記が追加された。
●まとめ:トールキンのかんがえたさいきょうのオーク
星々の時代にメルコール(モルゴス)が自らの奴隷とするために、捕らえたエルフを堕落させて作った存在であるとも、エルフや人間を真似て作り上げた存在であるとも言われる種族。
以来オークはイルーヴァタールの子ら(エルフおよび人間のこと)の醜いまがいものとして、また冥王の主だった下僕として、自由の民のもっとも忌まわしい敵となった。
その由来故エルフを憎み、また極度に恐れ、他の種族の全て(あるいは自分の種族も)も憎み、蔑んでいる。
また主人である冥王も憎んでいるが、その力に抗うことができないため、恐れながら付き従う。
この他、アイゼンガルドのオークはサルマンに従属している。
ただ、狼とは利害が一致した場合は協力して行動することがある。
〇外見:
醜く恐ろしい風貌をしている。肌の色は浅黒や黒または土気色、吊り目で、牙や鉤爪を持つ。体格は概して人間やエルフに比べて劣っているととれる節があるが、
人間やエルフと比べて遜色のない大柄なオークもいる(ウルク=ハイ)。血は赤くなく黒い。
トールキンはオークの外見について、モンゴル系の人間を醜悪にしたようなものという記述を残している。
〇能力:
暗闇を見通す目と、犬のように利く鼻を持つ。大股で独特の走り方をし、大柄な者でも狭い洞窟内部を屈んだ姿勢のまま素早く走れる。体格は他種族に劣るが、力の強さや足の速さは侮れない。
普通の生物と同じように繁殖して数を増やすことができる。寿命の有無は不明瞭だが、暴力的な生涯のために全うすることは滅多にない。
太陽の光を忌み嫌い、その下では疲弊する。知識は高くなくても知能は決して低くない。
実用主義の武具や道具、戦争のためのからくり機械などを作ったり考案したりすることができ、それで武装する。
奸智を働かせて相手を陥れることもできる。
しかし意志の力は弱いため、不利な状況や相手の覇気に気圧されると恐慌状態に陥ることが多い。
〇文明・文化:
好戦的で、しょっちゅう争いに身を置いており農耕や狩猟より略奪を好む。だが、戦争のための道具やからくり機械の類は、オークの発明と言われている。
もっとも基本的には独自の文化を持つというより、他種族の道具や言語をオーク流に捻じ曲げて用いることが多い。
オーク特有の武器として弓なりに湾曲した三日月刀と黒い羽根の矢が挙げられる。オークの刃や矢には毒が塗られている場合が多い。
オークのみでは大きな国家というものは作らず、部族単位で力によって支配された集団を作るが、冥王の意志に隷属しているため、その下では統制された大集団を作る。
ただしその中でも小規模な内紛は日常茶飯事のようである。
〇住居:
洞窟などに住むことが多い。ドワーフの住居を奪って住み着くこともある。
〇歴史:
星々の時代、目覚めたエルフの存在を察知したメルコール(モルゴス)が、ウトゥムノの地下牢深くで生み出した種族だと言われている。
オークの存在がエルフ達に初めて知られたのは星々の時代も末期になってからで、主人が帰還する気配に呼応するように中つ国の東方に出没して自由の民を恐れさせた。
太陽の第一紀にモルゴスが中つ国に帰還してからは、アングバンドに君臨するモルゴスの主要な手勢としてベレリアンドのエルフの諸侯や人間(エダイン)達と戦った。
モルゴスが滅ぼされた怒りの戦いでは、ヴァリノールの軍勢にほとんどが滅ぼされたが、少数が遁れて生き残った。
第二紀以降は、モルゴスの跡を継いだサウロンに支配され、その下で再び数を増やしたが、サウロンが最後の同盟に敗北すると小さな集団ごとにばらばらになる。
だが第三紀にサウロンが蘇ると、再び彼の意志の下で働くようになった。
モルドールより送り込まれたオーク達は、廃墟となっていたモリアを占拠し、また霧ふり山脈の山道沿いにいくつも拠点を設けて、ロヴァニオンとエリアドールの通行を妨げたが、それらの拠点は2793年から97年にかけてのドワーフとの戦争によって
ほとんどが滅ぼされた。
さらに2941年の五軍の合戦によって、北方に残っていたオークの大部分も殲滅される。
しかし指輪戦争の頃には、モルドールに戻ったサウロンの支配の下で勢いを盛り返しつつあった。だが一部はサルマンに取り込まれた。
〇名前:
その種族設定こそはトールキンの創作であり、(オーク=豚顔などはトールキン版に一切ない設定だが)その際「オーク」のその名は叙事詩ベオウルフのゾンビに似たグレンデルの種族「オーク=ナス」(古英語の「悪魔」)から取ったとされるが、トールキンは書簡で、オークを古英語のオーク「悪魔」からとったのは、音声学的に適していたからにすぎないとも述べている。
そう、元来オーク(Orc、Ork)と言う言葉は、ラテン語で「悪魔」あるいは地下世界の生物を指すものであり故に「オーク」それ自体は古代からの複数の意味やルーツを持つ言葉なのだが、J・R・R・トールキンにより、その中つ国を舞台にした小説内で、邪悪な勢力によって使役される兵士の種族名として使われ、蘇った。
ゆえに、このトールキンの創始した種族としてのオーク像がもっとも有名と思われる。
トールキンの著作における「オーク」とは固有名詞として扱われていて、オークの英語表記は“Orc”が一般的であるのだが、トールキンは語頭が大文字となっている“Ork”と綴る事を好んだ。
これは言語学者であったトールキンが語尾が“C”で終わる場合、「Orcish(オーク的な)」という単語などの発音が“S”と混同される事を避けるためで綴りがOrkであれば、“オーク的な”という単語は「Orkish」となるので発音が間違われる事は無くなるためである。
▶「オークはブタ顔」と言う外見的イメージ:死と予言の 女神オルクス
作品や描き手の解釈によって様々なのは言うまでも無い。 だが、トールキンの著作の「オーク」ではオークは人間の姿をし、大きさは人間とほぼ同じで、醜く汚らわしい存在として描かれている。
「オークはブタ顔」という描写の正式に確定した原典は未だに不明だが、特に日本の場合に限って言えば、多くの場合「オークはブタ顔に腹の出た太った体型」という描写をされる事がほとんどである。
そのイメージは、確証はないのだが「ロードス島戦記」の挿絵で出渕裕の描いたブチ穴× もといエルフ耳同様、漫画家の鳥山明がデザイン担当した当時国内で爆発的なヒットを記録したゲームソフトの『ドラゴンクエスト』から来ている、とされている。
その時のオークのデザインがたまたま「イノシシの顔に人間の体」であったため、これ以降の日本国内でのオークの外見的イメージはほぼ固定化されたと言っても良いのだそうだ。
この様に国内においては最早「オークはブタ顔」というのが、オークの特徴として紹介される事が多いが海外においては、矢張りその原典とされる『指輪物語』でも、最古のTRPGである"初版"の『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)の中でも実は「オークはブタ顔」といった"記述"は一切無い!
一説には『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)の"改訂版"ルールブックの中に描かれた"イラスト"が初出ではないかと言われているが、ただこの時、何故イラストレーターがオークをブタ顔に描いたかは全く不明である。(orkからporkを連想したのではないかという説がある)
古参のTRPG愛好家の中には、オークのモチーフとなったのはローマ時代の死神「オルクス(Orcus)」で、そのオルクス信仰の祭事の際、祭壇に供物として“子豚”を1頭丸ごと捧げる習慣があり、そこから派生して、供物の子豚 →豚の神様 →ブタ顔~となったのだと唱える人々もいるが、やはりこの意見もまた伝聞推量の域を出ないのである。
この『オルクス(Orcus)』は叙事詩『ベオウルフ』に登場するローマ神話の神であるが、本来は紀元前8世紀から紀元前1世紀ごろにイタリア半島中部にあった都市国家群(少しずつローマに併合され王政ローマの7人の王の最後の3人はエトルリア系となる)12都市連盟エトルリアの神であり、恐ろしげな風貌の髭を生やした巨人の姿で敵を打ち倒すし逃げる臆病者は蹴り倒すという獰猛な様子が描かれるなど、当初は人の姿をしていたのですが、いつの間にか徐々に生贄の豚と習合されてしまい、やはり「豚面」の神へと変貌していったとか。これは豚顔の神と成り果てた「ポルキュス」と同一視されたせいか?
そう、身体モデルはギリシャ神話に登場する豚顔の神「ポルキュス」である。なお「ポルキュス」自体の原型は「ポルキス」というバビロニア起源の女神の名であり、それが男性名詞へと転じ、さらには生贄に捧げられていた豚の姿で描かれることで、これも豚顔の神「ポルキュス」になったというのだ。
このギリシャ神話の「ポルキュス」が、語感が似ているせいでか、その後ローマ神話の死・冥府の神「オルキュス(オルクスOrcus)」と同一視されることになるのだ。(オルクスもまた、かつては死と予言の女神だったという話も)
だがこの死の神「オルキュス(オルクス)」もまた後に冥府繋がりでプルートーと同一視された為、死者の国の神であるプルートー、ハーデース、ディース・パテルの別名とされることになる。
「オーク」の名は、このオルクスの治める死者の国の住民である「オルクスの死人」を意味する『オーク=ナス(Orc-néa)』の「オーク」から取られたため「オーク」の名そのものは、こちらが語源らしい。
故に「オルキュス」(オルクス)はハーデースと同様、死者の国そのものを指す言葉と言えるかもしれない。
また「オーガ(ogre)」と同語源とも考えられており、総じて民話や伝承においては一種の妖精・小鬼・邪霊の類と考えられていた。
▼海の怪物としての「オーク」:海魔
また「オーク」という言葉は、『オルクス、オーク=ナス』とは別に英語において海の怪物を指す言葉として古来より存在していた。
こちらは大プリニウスの著書『博物誌』におけるマイルカ科の鯱シャチ(キラーホエール)-ラテン語のオルキヌス·オルカ(orca)の記述に由来し、冥界からの魔物という意味で、オルカは中世には伝統的な海の怪物として転化して用いられた。
しかし小型のオルカであるイルカは海豚と書くが、何か関係があるのだろうか?
やはり豚面だからか?
伝説上のシャルルマーニュは、ある資料に拠れば地中海でオークに船を襲われてこれを倒したとされている。
アリオストの叙事詩『狂えるオルランド』では乙女アンジェリカを捕らえた海の怪物に与えられた名前であり、英雄ルッジェーロはヒッポグリフに乗ってこれと戦った。
このオークは巨大で鱗があり牙と豚のような鼻を持っていて剛毛が生えていた。
オークの鱗がどうしても刃物を通さなかったため、ルッジェーロはオークを追い払ったにとどまり、後にオルランドがこのオークを力技で殺害している。
この用法がトロイのブルータスとブリテンの神話的な建国を描いたマイケル・ドレイトンの叙事詩『ポリオルビオン』で借用されて英語の単語となった。
ミルトンの叙事詩『失楽園』でもこちらの用法が使われている。
▼エロゲー、ポルノ作品でのイメージ:好きなんやろ?
架空の世界を舞台にしたアダルトゲームにも頻出する。
またポルノ(アダルト)作品の中に登場する場合もある。
オークはその“ブタ顔”という外観から連想される、 汚らしい動物、好色で性欲が強い、見境無く交尾を求める、~といった、一種の動物的なイメージを存分に発揮出来る存在となる。
こちらの場合は女性キャラを陵辱する汚れ役&やられ役として使われることがほとんどで、イノシシやブタの頭部を持つ獣人のような造形で登場することが多い。これは日本のファンタジー黎明期に多大な影響を与えた初期の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』シリーズで描かれたイメージが元になっており、上記『ドラゴンクエスト』シリーズのオークや『ウィザードリィ』シリーズの末弥純デザインのオークも同様である)が、単純に主流のトールキン版の場合もある。
主に“囚われの姫”などのヒロインを陵辱するキャラとして登場し非道の限りを尽くす。
これは「清らかで穢れ無き美少女×汚物にまみれた野獣」と言う対比構図を生み出す事で、見る人の性的興奮をより高める効果を狙う意味がある、つまりはAVの男優であり、これらの関係が後の姫騎士とオークとなる。
姫騎士とは、美しい姫、王女という身分にありながら、自ら武装して戦場に立つ女性のことを指し、極めてざっくりと例えれば、「もしジャンヌ・ダルクがお姫様だったなら」といった感じであろうか。
「王女でありながら凛として皆を導くもの」のイメージ故に「快楽に堕とされて醜態を晒す」役として大人気である。一気に堕とされる落差によるカタルシスが良いのだろう。くっ、殺せ!
また創作者側の創造意欲を大きく掻き立てるモチーフとしても重要であるためである。
そう言う意味では「異種姦」と言うジャンルでは主役級であるとも言える。
性的な部分では巨根・絶倫などいった満足できる要素を持つが、それを打ち消すほど、姿は醜悪かつ不潔で盗む・奪う・犯す・殺すなど負の部分のほうが強く、オークック(嘲笑) 〜 オーク(語尾)」だとかひどい時には「ぷぎー! ぶひー!」などまともな言語を話せず、形勢不利と知るや尻尾を巻いて逃走するか、改心や命乞いと見せかけて背後から騙し討ち(だがあっさり返り討ちに遭うぐらいの見え見えの小芝居)を仕掛ける程度の知性は持っている。
近年このポルノイメージのオークに反発するためか、それを逆手にとって「実は無茶苦茶いい人(オーク)なんだけど理不尽に誤解されたり、女の子から襲うことを求められたりする」といったネタも散見される。
なお『指輪物語』の時点で「繁殖力が強い」と言う設定は一応あり、なんとか戦争で絶滅寸前までいった後、ある程度まで復活した描写はある。
ただ「このあと滅茶苦茶セックスした」と言う描写と、なにより設定上存在する「雌オーク」が全編にわたって登場しない。
▼その他、ファンタジー作品、ゲーム作品におけるオーク:
トールキンの叙事小説『指輪物語』の刊行以降、オークはファンタジー小説やロールプレイングゲームで一般的に見られる存在となった。
こうした派生作品では、オークとゴブリンは二つの異なった種族とされていることが多い。
一時は豚のような顔で描かれることが多かったが、そもそもトールキンの作品にはそのような記述などはない。
これはアイルランド語のorc(イングランド地方語である英語の豚肉porkと語源が同じ)が偶然にも豚という意味を持っていたためと、古来、聖職で、予言の力を持つとされた豚飼いが零落して邪悪なイメージを伴ったというアト・ド=ヴリースの説と関連すると思われる。
なお、多くのロールプレイングゲームでは、ゴブリンやコボルトなどとともに初期レベルのプレイヤーキャラクターが相手にする比較的弱いモンスター(いわゆる雑魚モンスター)として登場することが多いが、トールキンのウルク=ハイの影響もあってか、より強力な上位種を設定するゲームもある。
他の種族が堕落してオークになるというトールキン以来の設定を引き継ぐ作品も多い。
旺盛な生殖欲も継承されるものもあり(漫画『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』では、「イカ臭い」と表現され 「エルフ以外のすべての種と交配し、子を産んでしまう」という設定)、そのような作品『ドラゴンライダー』【モンスターメーカー】(鈴木銀一郎著)では、「人口」の増加により他国へ侵略せざるを得ないオークの悲哀が描かれる。
◎ファンタジー内でのイメージ:
”やられ役”や“戦闘員”と言ったポジションで主人公側に倒されていく事がほとんど。 ゴブリンの強化型扱い?
もっとも作品や描き手の解釈によってその知的水準も様々であるが。
単にブヒブヒとしか言えない、正にブタ並みの知性しか持たない場合もあれば、それなりに言葉も喋りコミュニケーションも可能な場合もある。
これらは主に「ブタ顔」イメージが原因である。
因みに「ウルク・ハイ」は極めて頭が良く、且つ恐れを知らない究極戦士として描かれているが。
本来はオークもドワーフもダークエルフも原種は最初期のエルフ「アーヴル」であるのだが。
◎JRPGやMMORPG、海外でのイメージ:
特にTRPGでの扱いは、近年になって急速に向上している。
今まではただの敵役でしかなったオークであったが、最近になって発表されるTRPGではほとんどの場合、プレイヤーが使用可能な種族に入っている事が多い。
となれば当然、邪悪な種族ではなく、エルフやドワーフなどと同様に様々な設定が施されている。
その際、“ブタ顔”のイメージから変化し、人間の顔や体に耳の部分だけ“ケモノ耳”が施されている場合が多く、これは「猫耳」に代表される様な「ケモノ耳萌え」と呼ばれる編隊嗜好である。
その場合既存の小説やゲームなどで描かれてきた“オーク的な側面”は完全に消失している。
ただしこの編隊ケモ耳嗜好は日本特有の和製RPGにのみ見られる特徴で、
海外産のRPGなどには見られない。
海外産のRPGでは性格のみが中立化され、外見的特徴は前段で述べてきた
「醜悪な外見の人間型生物」という伝統は踏襲している。
「ブタ顔」と言う日本に見られる特徴は無く、専ら「土色や緑色の肌をした力の強い人間型生物」という本来のオークに近い姿として登場する。
◎『ソード・ワールドRPG』では、
「オーク」の名が「樫(英語ではオークと呼称、但しスペルはoak)」に通じる事から「樫の木の小枝に魔法をかけて作り出す簡易ゴーレム」として設定されている。
トールキンの指輪諸作品には「狼乗り」と呼ばれる劣等オークが登場するが、ソードワールドのルールブックには最初期「狼と仲が悪い」と言う設定であるゴブリンの「ウルフライダー」がいた。なお後に改変されたのだが。
◎『ファイナルファンタジー11』では
敵対勢力である獣人の一種族として登場。
生まれついての戦闘民族で、巨大な帝国を有する。
作中で登場するオークの軍勢ですら一地方の方面軍に過ぎない。
人間の騎士に感化されて騎士道を志し始めた者や、その片目を射抜きながら現在では戦友となっている者など、固有の設定を与えられたオークも多い。
◎「The_Elder_Scrolls」シリーズでは
筋肉質の体つき・緑~灰色の肌、つぶれた鼻、下唇から突き出すイノシシのような二本の牙という特徴を持つ。
魁偉な容貌から謂れなき迫害を受け、苦難の歴史を歩んできた種族だが、実はエルフの一種である。
◎「Warcraft」シリーズでは
海外でもネタにされるくらいオークの扱いが良く、特にWorldofWarcraftはもはやオークが主役、人間が脇役というレベルである。
◎「ダンジョンズ&ドラゴンズ」では
ほとんどの場合凶悪な存在であり、人間とその社会の暴力的で野蛮で部族的な側面を揶揄した扱いを受けている。
また肌の色は例外なく灰色であり、青みがかった黄色から暗褐色まで幅広い肌の色をしていたトールキンのオークとは異なっている。
一般的にオークは生まれついて暴力的で邪悪な存在であるため、オークの役を演じたいプレイヤーに対してはハーフオークを演じることが推奨されている。
ハーフオークはオークと人間の混血である。
◎「ルーンクエスト」では
浅黒い肌、長い腕、湾曲した脚を持ち、山間部や荒れ地に住む残虐な食人性の種族とされる。
太陽の下を嫌い、エルフが退化したものという点はトールキンのオークに忠実である。
架空の学名が"Orcanthropus piltdowni"と設定されており、ピルトダウン人を連想させる。
同ゲームのメインとなる背景世界グローランサではなく、特定の背景世界に依存しないサプリメント『グリフィン・アイランド』の敵役として登場する。
◎「アースドーンとシャドウラン」では
オーク(ork)は一般的なファンタジーにおけるオークと異なり、生まれついて邪悪であるとも善良であるとも決められていない。
アースドーンではヒューマン、ドワーフ、エルフ、オブシディマン、トゥスラング、トロール、ウィンドリングと並び立つ種族である。
シャドウランではオークは、トロール、エルフ、ドワーフなどとおなじく遺伝子変異によって人間から変化したメタヒューマンであるとされている。
シャドウランにおけるメタヒューマンは「人種差別」を象徴し、PL間の政治的な問題を引き起こさずゲーム的なギミックとして導入するための装置であるため、邪悪/善良として決定されないのはいたし方ないのかもしれない。
なお初期の版では、「ヒューマニクス(人間至上主義)・ポリクラブ」とORC」(オーク人権団体)の諍いがあることになっている。
◎「ウォーハンマーRPG」や「ウォーハンマー40000」にもオークは登場する。
肉体的にはオークは人間よりも背が高く幅広で、類人猿のように足が短く手が長い。
緑色の肌が特徴で、類縁種であるゴブリンやスノットリングとともにグリーンスキンと呼ばれることもある。
他の勢力と能力を均等化させるため、彼らはマシンガンや手榴弾、さらには宇宙船まで持っている。
ウォーハンマーにおけるオークは知能は高いわけではないが、時に悪知恵が働く。オークは好戦的な種族である。
◎『ウォークラフト』シリーズでは
惑星Draenor出身のShaman文化を奉ずる気高い種族である。
かつてはBurning Legionとして知られる邪悪な力によって堕落させられた存在であったが、自ら呪いを打ち破り、理性と文化を取り戻した。
ウォークラフトのオークは筋骨隆々で、緑色の肌を持ち(ただし肌の色は呪いによって緑となったのであり、本来の色は褐色である)、顔には豚に似た鼻と大きな口、牙を持っている。
作中ではそのこわもての外見とは裏腹に、善良で高潔な種族として描かれることもある。
3作目以降はオークが主人公ともいえるストーリー構成で、MMORPGである最新作『ワールドオブウォークラフト』はしばしばWorld of Orcraft(Orccraft)と揶揄される。
◎「リネージュ2」でのオークは
炎の種族で、神が作り出した種族の中で最も強い肉体と精神力を持つ。
巨人が滅亡した後、一時期はエルフを追い出して大陸最強の座まで登りつめたこともあるが、エルフとヒューマンの連合軍に負け、現在は大陸北部の極寒地に住む。
◎「ファイナルファンタジーXI」では
オークは獣人の一種族である。
オークは暗黒の時代に黄昏の神プロマシアによってヴァナ・ディールの人間などの勢力と戦わせるために作られた、老若男女皆兵の好戦的な種族である。
◎「ブレイド・オブ・アルカナ」では
豚人族とも呼ばれる闇の種族で、下級精霊アルカイが堕天した人間からさらに堕落した成れの果てとされる。
黒い皮膚と血液を持ち、眼は赤く、かぎ爪の生えた長い腕を持ち、他の闇の種族とともに「北狄」という勢力を構成し、その中核を占めている。
その上位にはエルフの堕落したハイ・オークが支配者として存在する。
しかしその社会は強者がその力により支配するもので、オークの奴隷だった人間の少女が実力でハイ・オークに取って代わり、部族の女王になった例もある。
◎「アルシャード」では
ゴブリンが奈落によって汚染された種族であり、その体格はゴブリンよりも一回り大きく、非常に力が強いとされている。
奈落の尖兵の代表格として人類の古い仇敵である。
奈落の種族は一般的に個体としての感情が希薄な代わりに集合意識により統制された行動を取るとされるが、神々の欠片シャードの力により自意識に目覚めた一部のオークは、誇り高き戦士となるため、プレイヤーキャラクターにすることもできる。
・「Gothic」では
オーク(orcs、orcish people)は人間より少し知能が劣る。
好戦的な種族で、体格は大きく、力は人間(彼らはMorraと呼ぶ)よりとても強い。ただ、このゲームの性質上、人間とオークのどちらかが善く、どちらかが悪いというようなものはない(ただしプレイヤーは人間なので少しだけ偏りがある)。
プレイヤーはゲームを進める上で彼らのために働くことを選ぶことすら出来る。
彼らはBeliarと呼ばれる神(ゲーム中では暗黒の神で、Innosという火の神と敵対する)を信仰しており、Shamanという祭司もいる。
◎「The Elder Scrolls」では
エルフや人間、獣人達と同様にプレイヤーキャラやNPCとして登場する。
表向きは数多の種族と共に文化生活を送る好戦的で豪胆な戦士系種族として描かれてはいるが、ゲームに登場する一部の書物ではゴブリンやオーガと同じく野生の凶暴な亜人種となっており、その性質上獣人同様に被差別種族として描かれている。
また、地方によって差別の度合いは異なるようで、オークを完全に拒絶する地方もあれば書店や宿屋をオークが経営する地方もある。
ただし、「醜い種族」という概念はどの地方でも共通しており、事実、緑色の肌に獣のような目と牙というプレイヤーキャラとは思えない凄まじい外見を持っている。
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