第2話

 下手なキスだった。

 とにかく歯を舐められる。彼女の舌が自分の歯をなぞっていくときに、ぺたぺたという不思議な音が出る。それが、地味に癖になる。いつも、されるがままにしていた。おそらく、彼女はキスをしたことがないのだろう。漫画やドラマを見るばかりで、現実の恋を知らない彼女の、精一杯の愛情表現。


「それなら、それでいいか」


 今度。夜に彼女を呼んでみようか。

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