萩川いつも隣り合う

立花戦

第1話―流れる雲みたいな一日―

愛というものは必ず消える。


「ふわぁー…」


あくびが出る。

わずか16年の思春期にあたる俺が確固たる考えを至るのに、そう時間は掛からなかった。

まるで息を吸うかのような愛の告白を思い出して顔を青ざめるような気分になる。

友達であった名前を忘れた奴に頼まれて合コン参加するものじゃなかった。

その友達とは思考を放棄した相槌を続けていたら自然消滅した。


(今日も彼女は、いたら何が変わるわけじゃないのに…楽しみにしているなんて変な感情だ)


屋上に繋がる階段を上っていく。

そして今日も彼女はいた。ひっそりと屋上ドアの前から左の隅っこに目撃。

体育座りをしたまま昼飯のお弁当を食べていた。その姿は相変わらずネズミみたいで愛らしいイメージだった。


(おぉ!気づいたか)


彼女は見上げている。光沢感のある長いストレートの黒髪で隠れていた双眸そうぼうを俺に向ける。

いつものように会釈をする。


「……」


「……」


彼女も会釈を返すと俺は、そのままドアノブをつかみ回して引き中へと入る。雲が垂れ下がっては

いるが天気は良好的だった。

澄んだ空気を吸い、俺は閉じているドアに振り返る。

彼女はよく見かける。図書館や校庭に偶然にも会うのは、しばしば。

そして今日もまだ彼女に吉良義央きらよしなかと名乗ってはいない。

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