あなたと恋愛出来ますか?

ハル

第1話 スケボー男子

「魅琴さーん、本番いきまーす!」

「はーい」



私、椎菜 魅琴(しいな みこと)16歳。

芸歴13年という経歴の中、今を至っている。



だけど


自分は何の為に


存在しているのか?



みんなに


幸せとか夢とか


伝わっているのか?



なんて考えてしまう


今日この頃



だから最近自分自身が嫌い



このまま


女優という芸能人として


業界に人生のまま続けて良いのかな?



なんて―――




人を好きになる事


人を愛する事


業界の私も普通に恋して


泣いたり


笑ったり


出来ますか?


演技とか


そんなの抜きで


本気で心から愛して


面と向かって出来ますか?





「ドラマの撮影だってー。いやぁ~やっぱ可愛いよなぁ~。魅琴ちゃん。俺、マジファンなんだよね~」


「飽きねーな?お前」

「良いじゃん!」



ギャラリーで会話する姿がある。



「魅琴ちゃーん!」

「辞めろ!恥ずいっ!」




俺の親友の


都地屋 竜助(つちや りゅうすけ)16歳。



彼は今人気の椎菜 魅琴という女優にラブラブオーラ全開だ。


俺は正直、興味ない。


同じ学校に女優がいるからだ。



俺はいつも彼女にラブラブ光線をあびさせられてる為、嫌気が差しているのだ。




――― ある日の事 ―――



「うわっ!ヤバッ!ち、遅刻!ママ、ちょっと起こしてって言ったじゃん!」

「何回も起こしたわよ」

「嘘、嘘、嘘!絶っ対っ!嘘!」



私は足早に撮影現場に向かう。


芸能人ならマネージャーがいるのだが私にはいない。


事務所と私で管理しているし出来ているからマネージャーはついていない。


現場に向かう途中、近道を行く私。



スタッ

私は高さのある段差から飛び降りた。



「うわっ!」



どうやら確認しないのもあり人影の前に飛び降りたようだ。



「す、すみません!急いでてごめんなさいっ!」



私は謝りながらも走り去る。



「つーか…今の…ん?あっ!おいっ!ちょっと待てよ!落とし…あーもうっ!つーか速すぎだろう?チーターかよっ!?」



私の後を追うが間に合わず。



「悪い!ちょっと、これ貸してっ!」

「あっ!俺のスケボー」

「誰も盗もうって思ってねーから安心しろ!すぐ返すから!」



ガーー



「うまっ!」




そして ――――



ガーー



ガリッ



「きゃあっ!危なっ!何…」



私の前に来ては行く道を塞ぐ男の子。


グイッと私の手を掴むと何かを渡す。




「それ、あんたのだろっ!?さっき飛び降りた拍子に落とした忘れもんだ!じゃあ、渡したんで!スケボー返さなきゃいけないんで次は落とすなよ!」



お礼を言いそびれたと思う中、男の子の後ろ姿を見つめる。



その途中、スケボーの男の子が歩行者の所を移動する。



「きゃあっ!」


女の人が驚く。



「おいっ!危ねーだろ!大丈夫?アキちゃん」

「うん。大丈夫。驚いただけだから」

「仲良いね~。いつまで続くの~?」

「何!?野郎っ!」

「わざとじゃないんだし多目に見てよ~?」




そう言うとスイスイとスケボーで滑って行くのだった。






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