空魚

鯨飲

空魚

 水の惑星とも呼ばれる地球であったが、西暦3000年にもなると、海は干上がり、岩肌が目立つようになっていた。

 

 水がなくなっていく中で、もちろん人間は困った。しかし、それ以上に困ったのは、魚であった。

 

 魚はご存知の通り、水中に暮らす生き物だ。水がなくなっていけば、生きる場所がなくなっていく。

 

 そこで、魚は進化した。それはまるで、古代において、生物が水中から地上へと進出したようであった。

 

 しかし、少し異なることは、地上には既に人間が溢れていたということだ。

 

 地上に進出した魚たちは、人間からしてみれば、あちらから食われにやってきた食料であったため、たくさんの魚が人類の腹に収まった。

 

 そのため、魚は空へと居住エリアを移した。元々ついていたヒレを飛行することに活かした。

 

 特にトビウオの仲間が上手く進化できた。

 

 しかしながら、まだ問題があった。空は確かに広いが、そこは既に、鳥たちの支配下であった。

 

 またもや、魚は捕食される側にまわったのである。

 

 そこで、魚はさらに進化した。さらに上を目指した。

 

 そう、宇宙空間を居住区としたのである。

 

 もちろん、すぐに宇宙へ行けた訳ではない。

 

 とてつもない年月をかけて、進化していった。

 

 その過程で、多くの魚が死んでいった。

 

 多くの魚が捕食されていった。

 

 生きるために、魚は進化を続けた。

 

 そして、ようやく魚は宇宙へ到達した。

 

 幾千もの魚が、地球の周りを小惑星の間を縫うように泳いで暮らしている。

 

 そして、彼らの死骸は、隕石となって地球へ降り注ぎ、人類と鳥類に甚大な被害をもたらした。

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空魚 鯨飲 @yukidaruma8

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ