持っている側の人間と才能がある君へ

稲坂 太

プロローグ

『持っている人間』


生きている上で、他人をこのように評価したことが一度くらいはあるはずだと思う。

スポーツをやってる人なら尚更共感できると思う。

いくら努力をしたって勝てない相手がいた時、人間というのは大まかに別けて2種類の考え方が存在すると思う。


1つは、『まだまだ努力が足りなかった』『もっと自分を追い込めた』と、反省する者。

そして、『才能には勝てない』『よくやった方だ』と、都合のいいように負けた理由を探す者。


どう考えようがその人の勝手だ。自分には関係ないから。

しかし、どうしても後者の考え方をしている人を見ると軽蔑してしまう。


【才能だけで勝てる相手はいない。努力をして始めてその才能が開花する。努力をしていなければその才能は意味を成さない。】


これは僕のモットーみたいなものだ。軽蔑してしまうのは、これに反しているからだと自分で分析している。

でも、これだけは声を大にして言いたい。


―勝ちたいなら死にものぐるいで食らいつけばいい。青春を全部捧げて打ち込めばいい―


これが、テニスを始めて10年目。第三者に「持っている」と評価され続けている俺が、日々思っていることだ。

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