60. 新たな敵
(暗いな……)
エリーズが目を開けると、そこは魔王城だった。全体的に鉄や岩石などで出来ており、人工的な冷たさが漂っている。
後ろを見ると、もう既に大分の兵士は来ているようだった。
(私は、先に魔王のところへ向かわなければ)
頭の中に、地図が描き出されるのを待つ。
というのも、今回の討伐計画では、大魔法士のエレクに魔王城の構造を魔法で把握し、それを全体に同調してもらうことになっていたのだ。
階数ごとに、部屋などが表示されたのを確認してから、隣で待機していたエリーズを護衛する兵士に声をかけた。
エリーズに護衛なんていらないのだが、アンデッド達に絡まれたときのため、ということで三人ほど、用意されている。
「行きましょう」
エリーズ達は、そばにあった階段を早足で登り始めた。
三回に到達した瞬間に、何かが現れた。
血のように赤い髪と目の女。肌のほとんどが露出してる。おそらく、魔王の部下だろう。
「こんにちは」
にっこりと、笑いかけてくる。
「こんにちは。今、急いでるんだけど」
苦々しい顔でそう言うと、その女は口が避けるほど微笑んだ。
一体なんなんだ、と思う間もなく、魔法が飛んでくる。黒や紫のエフェクト。闇魔法だ。
「あたしはカイト。短い間だけど、よろしくね」
エリーズが慌てて剣で斬ったものの、あと少し遅かったら危なかった。
ちなみに今回も、ナイフはストックしてある。つまり今エリーズが使った剣は、レオンに新しく発注してもらったものだった。
「よろしくしたくは、ないですね」
エリーズはそう言うと、剣を構え直した。
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