38. 決意の朝

  一週間、二週間と日々は瞬く間に過ぎていった。





 そして、ついに運命の三ヶ月目がやってきた。





  この二ヶ月間、特に進展はなかった。レオンのお姉さんが手紙を送ってくることもなかったし、国の探索部隊が魔王に関する何かを見つけることもなかった。エリーズ達もしらみつぶしに色々探し回ったが、成果はなかった。


「本当に、魔王の部下は来るの?」


  今は、明日魔王の部下の停学が解けるというので、例の中庭のベンチにて"絶賛!! 魔王討伐作戦特別会議"を開催している。

  議題は、「エリーズがどうやって部下に喧嘩を売るか、そしてその救護やサポートをどうするか」である。


「いや、来るんじゃないか?」


  こぼしたリルに、レオンが答えた。でもよくよく考えてみれば、国中が血眼になって自分を探し、捕縛しようとしている人里に、わざわざ部下はおりてくるのだろうか。


「実を言うと、学校に魔王の部下が通っているのは、僕らと王族の一部の人間しか知らないんだよ。だから魔王のところには、まだ部下の正体は知られていないという風に伝わっているはずだ」


  ミシェルの言葉に、エリーズは驚いた。そんなこと、聞いたこともなかったのだ。けれど、きっとそれなら大丈夫だろう。


「それで、その作戦なんだが……」


  レオンが一段と声を低くした





 *

  ちゅんちゅんと囀る小鳥の声で、目が覚めた。昨日は緊張してあまりよく寝られなかったのだ。


(今日から、計画が始まる)


  いつもより、丁寧に用意をして。

 

(絶対に、成功させる)


 心に決めると、エリーズは学校へと向かった。



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る