バイタルジュエル


ヒカリンも同意してくれているし2人の内どちらかだ。


「もちろん使わせてもらえるならありがたいが、ミクにも必要だろう」

「う〜ん、そうですね。私が使うよりあいりさんが使った方がいいと思います」

「だが、いいのか?」

「優先度で行けば、あいりさんでしょ。私のBPが上がっても新しい魔法とかが使えるわけじゃ無いし、そこまで貢献できないと思うし」


俺もミクの意見には概ね賛成だ。

前衛の強度が上がれば後衛の負担も軽くなる。

今回のようにベルリアがダメになっても耐える事ができるようになるかもしれない。


「わかった。みんなも私が使うので大丈夫か?」

「はい」


ドロップアイテムはこちらの都合に合わせて出てくれるわけじゃ無いので、数も種類も様々だ。

こういう時、K-12のパーティメンバーの関係性が良好で良かったとつくづく感じる。

我先にのメンバーだと絶対揉めてる。

みんなそれぞれに強さへの渇望はあるけど、お嬢様揃いだからか、そこまで物欲というか執着はメンバーに無いので助かっている。


「ところでこれをどうすればいいんだ? 少し小さいが叩き割ればいいのか?」

「たしか、スキルキューブとかと違って食べるんだったと思います」

「食べる? これを? 間違いないか? ミク」

「ええ、食べるんだったと思います。摂取するって載ってたと思います」

「そうなのか」


あいりさんがバイタルジュエルをじっと見つめている。

シルやルシェで魔核を吸収するのは嫌というほど見てきたけど、人間が宝石を食べているのはみた事がないのであいりさんの戸惑いも理解できる。


「ふ〜〜っ.強くなる為だ」


どうやらあいりさんが食べる覚悟を決めたようだ。

バイタルジュエルを手に取る。


「よかったら使いますか?」

「ああ、ありがとう」


ヒカリンがウエットティッシュをあいりさんに手渡す。

あいりさんはウェットティッシュで手を拭いてから入念にバイタルジュエルの拭き取りを始めた。


「それじゃあ、いくぞ」


あいりさんが綺麗になったバイタルジュエルを口へと運んで行く。


「からひぃ」


辛い? バイタルジュエルって辛いのか!? いや、かたいって言ってるのか?

それはそうだ。

手に取った感じ普通に硬質で、宝石そのものだし、噛んで砕ける感じじゃなかった。

ステータスが上がっていれば顎の力でなんとかなるかもしれないけど普通無理だ。


「あいりさん、よかったらどうぞ」


ヒカリンがミネラルウォーターの入ったペットボトルを手渡す。

さすがヒカリン。気が利くな。



お知らせ

明日24時からHJ文庫モブから始まる探索英雄譚10電子書籍解禁です。

紙は明後日以降店頭に並びます。

買ってもらえると来年11が出ます。

よろしくお願いします。

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