受験もダンジョンも対策が大事

「おはようございます」

「ああ、おはよう。海斗、いつにも増して元気いっぱいだな」

「そうですか? ちょっと寝不足気味ですけどね」

「勉強か?」

「はい、一応これでも受験生ですから」

「来年を楽しみにしているよ。ミクは寝不足とかなさそうだな」

「私は、しっかり寝ましたからね」

「勉強はどうだ?」

「もう、王華学院対策はバッチリです。当日インフルエンザにでもかからない限りはいけると思います」

「え!? まだ春なのに対策バッチリなの?」

「そんなの当たり前でしょ。海斗、もしかして受験を舐めてる?」

「いや、いや、そんなつもりは全然ないよ。昨日もどうやったらいいか必死に考えてたくらいだし」

「それならいいけど」


以前ミクは模試でA判定だと言っていたし、本当に対策バッチリなんだと思うけど、今更ながら自身の遅れてる感がすごい。

やっぱり今日のダンジョン明けから勉強するしかない。


「おふたり共大変ですね。わたしも来年は続くのです」

「ヒカリンなら大丈夫でしょ。頭良いし」

「まあ、再来年にはみんな同じ学院に通える事を願っているが、とりあえず19階層に集中だ」

「そうですね。昨日かなり苦戦しましたから.ベルリアが今日は氷漬けにならないよう要注意ですね」

「3度目は本当に燃やされそうなのです」


再来年俺だけ違う未来がありそうで怖いが、今はダンジョンに集中だ。

俺達は1階層をしばらく進み周囲に誰もいない事を確認してから『ゲートキーパー』で19階層へと跳んでからサーバント達を召喚した。


「それじゃあ、探索を進めよう。シル、妙な気配はどう?」

「やはり、消えてはいないようです。昨日と変わりありません」

「そうか。みんなも異変があったらすぐに知らせてほしい」

「マイロード、なにかあろうとこのベルリアが必ず」

「まあ、たのむな」

「はっ、おまかせください」

「今日は、滑らないよう気をつけた方がいいですよ」

「ティターニア、心配無用です。このベルリアに2度はありません」


おい! ベルリア既に2度凍っただろ。

いや、たしかに滑ったのは1度だから嘘では無いか。


心の中で突っ込んでみたが、ベルリアは本当に反省したようで完全に戦い方を変えていた。

足下が滑りやすいフィールドでは、昨日のように動き回る事は避け、最小限の動きでカウンターを狙って立ち回り敵モンスターを倒していく。

元々、別格の技術に肉切り包丁の斬れ味が加わり獅子奮迅の活躍を見せている。

これができるなら、なぜ昨日まではやらなかったのかと単純な疑問が湧いてきたが、そこはベルリアだからという事なのだろう。

俺は、相変わらず余裕はないものの、初見ではないモンスターに対してなんとか対応する事ができている。

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