厨二心と聖剣

あいりさんの聖水攻撃で人魂は完全に消失したので、魔核を拾って先へと進む。

ベルリアは『ダークキュア』を自分へとかけて肩に負った傷を治している。


「ベルリア、この階層の敵には物理攻撃より、聖属性系の攻撃の方が有効だと思うぞ」

「マイロード、御助言ありがとうございます。この魔刀に聖属性があれば……」


聖属性の魔刀? そんなのあるのか? 聖属性の刀だと聖剣になる気がする。


「ベルリアは聖属性の刀でも使えるのか?」

「も、もしや拝領……」

「いや、見たこともないから無理だぞ」

「そうですか。もし私にいただけるのであれば、もちろん存分に使いこなしてみせます。アンデット系モンスターなど紙のように斬り伏せてみせます」


いつものベルリア盛りがあったとしても、どうやら使うのは問題ないようだ。

聖剣を持つ悪魔か。大いに違和感があるが、ルシェもベルリアも悪魔だから悪いって感じでもないからいいのかな。

むしろ聖剣使いの悪魔なんて考えるだけで強そうだ。


「みんな聖剣とかって見たことある?」

「ああ、あるな。ただ魔剣よりも高かったな」

「やっぱりあるんですか。しかも魔剣よりも高いんですか!?」

「おそらく属性の違いでそれほど斬れ味に違いはないと思うが、イメージの問題だろう。やはり聖剣と聖属性に憧れる者は多いからな」

「私も聖剣だけじゃなくて聖槍とかも見たことあるわよ。それなりの値段してたけど」

「槍もあるんだ。ちなみにどのくらいの値段だった?」

「魔属性の武器の倍くらいしてたと思うけど」

「倍……」


魔剣の相場は一千万からのイメージなので倍ということは二千万を超えるということか。

高い。

バルザードの刃が欠けて分かったが、おそらく聖剣も欠ける。

ある意味消耗品に二千万って、出せない。

下手をすると家が買えてしまうレベルだ。

俺もアサシンとか暗い感じがするので、クリーンなイメージの聖剣には憧れるが自分で買うことは無さそうだ。

片手に聖剣片手にバルザードを手にする自分を想像しながらダンジョンを進んでいくが、厨二心をくすぐられる。


「そう言えば言ってなかったんだけど、この前のラミア戦で俺レベルアップしたんだ。結構ステータスも上がったんだけど次のレベルアップでうまくいけばシルバーランクに上がれるかも」

「海斗、それは本当なのか? 海斗の今のBPはいくつなんだ?」

「95です」

「95……私はこの前ブロンズに上がったばかり……」

「海斗すごいじゃない。シルバーって実質上位グループよ。参加できるイベントも増えるんじゃない?」

「そうかもしれない。パーティで参加できるのも増えるかもしれないから楽しみだな」

「海斗がシルバー……私はブロンズ……羨ましい」

「あいりさん、どうかしましたか?」

「い、いや、だいじょうだ。シルバーか。うんシルバーいいな。シルバーはいい」

「いや、まだブロンズですからね。次に可能性があるだけですよ」

「そうだな。まだ同じブロンズだ。うん、ブロンズだ」


二十階層付近のひとつの目安にシルバーランクがあげられるが、俺たちのパーティメンバーのBPはそこから考えると少し低めかもしれない。

やはりサーバントによるパーティの戦力補正が大きいので、俺たち自身の力もつけていきたい。



お知らせ

HJ文庫モブから始まる探索英雄譚6が4/1に発売となります。

よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る