対ラミア終戦

「終わったのか?」


ラミアは消滅したが、まだ油断はできない。

バルザードを構えたまま、しばらく様子をうかがっていたが、再生する様子はない。

そして部屋の奥にはゲートらしきものが見える。

どうやら本当に終わったらしい。

そしてティターニアの身体が俺の後方で発光している。

どうやらレベルアップしたらしい。

少し休んでからと言いたいところだが、ラミアが消えてもヘビの大群は残ったままなので全く休まらない。 

おそらく俺もレベルアップしたのだろう。HPが回復したようでどうにか動けるようになってきた。

ただ、アサシンの効果を連続使用して、おまけに『愚者の一撃』まで連発したリバウンドの影響は残っているようで身体の筋肉が強ばり、うまく歩けない。

一応中級ポーションが一本残されているが、この場で五十万円を飲むのは抵抗感があるのでここは我慢だ。


「終わった〜! マジで死ぬかと思った。いやほとんど死んでたな。ボス怖すぎだろ」


隼人の声がボス部屋に響き渡る。


「隼人、女の子たちを連れてこの部屋を出るぞ」

「ああ、わかってるって。こんなところ長居は無用だ。それと俺の槍を回収しないと」


隼人がラミアの消失した場所へと向かっていく。


「マスターお身体は大丈夫ですか?」

「ああ、ティターニアこそ大丈夫なのか?」

「はい。気を失ってしまいご迷惑をおかけしましたが、身体は大丈夫です」

「そうか、それならよかった」

「ご主人様、お支えします」


ティターニアが小さな身体で俺のことを支えてくれようとする。

平時であれば小さなティターニアに支えられるのは本意ではないが、正直今は助かる。


「ああああああ〜! これってもしかして!」


突然隼人の大きな声が響き渡る。


「どうかしたのか?」


隼人の方に目をやると隼人の両方の手に槍が握られていた。

一本は隼人の使っている槍。そしてもう一本はラミアが使っていた三叉槍だ。


「これボスドロップだろ。この三叉槍ラミアが使ってたやつだろ。サイズは小さくなってる気がするけど」

「ああ、そうみたいだな」

「これ、水蛇が出てたんだから魔槍だよな」

「そうだろうな」

「すげ〜! 本物の魔槍初めて触った」

「隼人、それは回収してとにかくゲートへ急ごう」

「ああ、そうだな。ちょっと興奮しちゃったよ。みんなそれじゃあゲートに行こう。帰れるぞ」

「本当に帰れるんですね」

「嘘みたい」

「もうダメだと思った」


野村さんたちが口ぐちに安堵の声をあげるが、まだ安心はできない。

ゲートを潜ったらまたとんでもないところに飛ばされる可能性もゼロではない。

俺たちは、部屋の奥のゲートに向かい隼人から順番に潜ることにした。


「それじゃあ俺から行くな。みんな待ってるぜ」


隼人がゲートへと消えて行く。

他のメンバーも順番にゲートを潜り、最後に俺とティターニアがゲートを潜った。

ゲートを潜った先には、隼人たちが待ってくれていたが、着いた場所は当然ダンジョンだ。


「ここって何階層だ?」

「見た感じだけだと判断がつかないな」


なんとなくだが見慣れたダンジョンな気もする。


「シルたちを喚べるか試してみるよ。頼む、来てくれ。シルフィー召喚」


俺は祈るような気持ちでシルを召喚してみた。

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