ラミアの終わり
予想通り、ラミアは隼人の方へと向かい三叉槍を振り回す。
「ぎゃあああ〜。なんで俺の方へ来るんだよ。来るな〜」
……それだけ騒いでたら普通に来るだろ。
俺も三発目を放つために狙いを定めようとするが、なんと隼人を追っているラミアの背中が割れた。
背中の外皮が一気に割れてズルッと剥けた。
嘘だろ……
ラミアが脱皮した。脱皮した下からは傷ひとつない身体が現れ、俺があけた穴が閉じていた。
脱皮による再生。
このレベルの敵が再生したらダメだろ。
完全に反則だ。
ただよく見ると完全には再生していない。
槍と矢が突き刺さった目はそのままだ。
ラミアはそのまま隼人のことを追いかけている。
こいつが爬虫類の性質を持っているとしても、そんなに短時間で脱皮を繰り返すことができるとは思えない。
ここしかない。
隼人が囮を引き受けてくれている今しかない。
「海斗〜! 助けてくれ〜! 俺食われる。食われちゃう〜!」
すまない隼人、もう少しだけラミアを引きつけておいてくれ。
俺は再び集中力を高めてラミアの背中に照準を合わせる。
『愚者の一撃』
ドラグナーの蒼い弾丸がラミアの背中を撃ち抜く。
ドラグナーのトリガーを引いた瞬間、強烈な虚脱感と眩暈が襲ってくるが、俺はすぐに三本目の低級ポーションを飲み干し、立て直す。
俺は動きの止まったラミアに向け走り出し、魔氷剣を横凪に振るう。
『愚者の一撃』
今日四発目となる一撃を発動し魔氷剣の斬撃に全てを賭ける。
のせるイメージは切断。
ラミアの胴体を断ち切る。
魔氷剣がラミアの外皮を突破して肉を斬る感覚が伝わってくる。
「ギィヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア〜!」
ラミアの叫びが聞こえてくるが、無視してそのまま魔氷剣を振り切る。
剣を振り切った瞬間、俺の体力も尽きその場へと座り込んでしまった。
もう一歩も動けない。『愚者の一撃』を連発したことで完全に体力が尽きた。
しかもアサシンの効果をずっと発動させていたせいで筋肉系も悲鳴をあげている。
もしこれでダメなら、俺には対抗する術がない。
「このゴミクズ野郎どもが〜!」
ラミアの怒声が聞こえてくる。
俺を絶望感が襲ってくる。
背中に大穴を開けて胴体を切断しても倒れないのか?
ラミアがこちらに振り向こうとするのが見えたがもう剣を構える力も残ってはいない。
終わった……
絶望的な思いでラミアの動きを見ることしかできなかったが、振り向いたラミアの上半身がズレて地面へと落ちた。
「こんなやつらに〜!」
ラミアの下半身はそのまま消滅してしまったが上半身は腕の力だけでこちらに向かってこようとしている。
「マスターに近づくことは許しません!」
ラミアの頭部をティターニアの持つ雷の魔刀が貫く。
「ティターニア!」
「私たちだって!」
野村さんたちもラミアに向かって総攻撃を開始した。
「俺はもう投げるものがない!」
目を潰され、上半身だけとなったラミアにみんなの攻撃を防ぐ手段はなく、程なくしてラミアの上半身も消滅した。
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