心当たり
五回層を進んで行くがまだ野村さんたちの姿を見つけることはできない。
「シル、なにか反応っぽいのはないか?」
「特に変わった様子はないです」
「隼人、やっぱりいないんじゃないか? 五階層へ来ていたとしてもそこまで奥に進んでいるとは思えないんだけど」
「たしかにな〜。どこか違う場所にいるだけなのか? もしかして無断で誰かのところにお泊まりしてるだけ?」
「いや、それもな〜。彼女家計を助ける為に探索者をしてたから、それも無い気がするけど」
パーティの探索メインのためいつもより他のパーティと出会う頻度も高いので、一応会うたびに聞いてはみているが全く情報は得られなかった。
もし途中で全滅しているようなことがあれば、さすがに昨日の今日なので、同じ階層にいてなにも情報が入っ
てこないということはないはずだ。
「この階層でイレギュラーが起こりそうな場所な〜。どこかあるかな」
「おい、この階層って前に海斗が死んだ……いや死にかけた場所だろ」
「俺は死んでないけどな。だけどあそこならありえるか。隠しダンジョンか」
たしかにルシェのいうようにこの階層は俺が以前トラップにハマった場所がある。あの時はルシェのせいでトラップにハマってしまったが、あそこならそれほど人目にも触れないしトラップも多い。何かしらのトラブルで戻れなくなった可能性はある。
「よし、じゃああの隠しダンジョンまで一気に向かうか」
「あ〜たしかにあそこならありえるな」
「隼人も行ったことあるのか?」
「ああ、何度か入ったことがある。不思議とトラップはランダムに復活するみたいだし、あそこならなにかあっても不思議じゃない」
「ふふん、やっぱりな。わたしの言った通りだろ」
「ルシェ、忘れてないからな。あそこで酷い目に遭ったのはルシェのせいだからな! 今度は後ろからついてくるんだぞ」
「そ、そんなこと言われなくてもわかってる。しつこい男は嫌われるぞ!」
本当にわかっているのか?
あの時のことは今でも鮮明に思い出すことができる。
一度だけでなく、複数回ルシェがトラップにハマり、なぜか俺がダメージを受けたんだった。
それに電撃のトラップにハマった時の記憶があまり無い。
気がついたらシルがポーションで助けてくれていたんだった。
なぜかあの時のことを思い出そうとすると頭が痛くなる気がする。もしかしてトラウマになっているのか?
まあ、今回は以前よりも成長しているし隼人もいるから大丈夫だとは思うけど、注意しておくに越したことはない。
いずれにしても、この階層にいるとすれば、もうあの隠しダンジョンぐらいしか思いつかない。
隼人とも相談した結果、時間も限られているので周囲の探索は一旦取りやめて隠しダンジョンへと向かうことにした。
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