デュラハン
デュラハンが二体に首無しの馬車が二台。
馬車の単位が台なのかはよくわからないが、今はそれはどうでもいいことだ。
気持ちの悪い首無しのペアが、こちらに向けて猛然とダッシュしてきている。
「シル! 『鉄壁の乙女』だ!」
有名かつ初見で得体の知れないモンスターに余裕をかましている暇は無い。
「ご主人様、かしこまりました『鉄壁の乙女』」
デュラハンの攻撃手段が全く分からない以上、シルのスキルに頼るのが最善だ。
光のサークルの中でデュラハンの動きを見定めようとするが、一体のデュラハンの勢いが全く止まる様子はなく、そのまま光のサークルへと思いっきり激突した。
「轢き殺そうとしたのか……」
攻め方も何もなかった。ただ勢いにまかせて馬車で俺たちを轢き殺そうとしただけ。
猛烈な勢いで向かってきて光のベールに阻まれ首の無い馬は、自爆でほぼ即死。馬車は大破してデュラハンは地面へと投げ出された。
「もしかして脳筋……」
「海斗、あれに脳はないんじゃ無いか?」
たしかにあいりさんの言うことにも一理ある。
頭が無いからそもそも脳筋どころか考える事ができないのか?
「気持ち悪いので消えるのです『ファイアボルト』」
カオリンがファイアボルトを放ち、デュラハンと壊れた馬車が燃え上がる。
『アイアンボール』
あいりさんが地面に倒れ込んでいるデュラハンに向かって鉄球を叩き込むが、身体がのけぞるのは見て取れたが口が無いせいで声も出せないのか全く反応は読めない。
『私だって! 『ライトニングスピア』」
ミクの放った雷の槍が燃えるデュラハンの胴体の真ん中へと突き刺さる。
地面へと投げ出されていた時、既にかなりのダメージを負っていたのかデュラハンは全く抵抗することなく、メンバーの攻撃を順番に受け、そして消滅した。
そのネームバリューとおどろおどろしい風貌にかなりの警戒心を持っていたのに拍子抜けだが敵はもう一組いる。
仲間が派手に突っ込んで大破したのを見て、さすがにもう一組の敵が闇雲に突っ込んでくることはなかった。
「来ないつもりならこちらからいきますよ『ブラックブレイド』」
先程全く出番の無かったベルリアが出番を待ちかねたように、一人先走りデュラハンへと攻撃する。
黒い炎の斬撃がデュラハンに襲いかかるが、デュラハンは手に持つ大剣を振るい斬撃を打ち消す。
頭は使えなくてもその身体から繰り出される技は本物のようだ。
「みんな! まずは馬車と馬から潰そう」
デュラハンも機動力を奪われれば、戦闘力は半減するはず。
なによりも首の無い馬がこちらを向いていることが生理的に厳しい。
ただメンバーを見ると俺以外は特に何も感じるところはないのか涼しい顔で戦闘に望んでいるが、どう考えても今の状況はお化け屋敷よりも遥かに怖い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます