第657話 3人のモブ
結局その場で即決する事などできるはずもないので、その場で解散して家に帰る事になった。
家に戻ってからも、ずっとサーバントカードとスキル『ユグドラシル』の事ばかり考えている。
スマホでも検索をかけて見たが古ノルド語らしいけどノルド語って初めて聞いたな。いったいどこの国の言葉なんだ?
ユグドラシルは九つの世界を内包していると書かれてあるので、空間系のスキルの可能性も捨てきれない。
結局夜寝るまで考えたが結論は出なかった。
翌日になりゴールデンウィークも終わったので今日は学校へと向かう。
今日から二日間学校に行けばまた土日になるので、そこまでには結論を出さなければならない。
テンションが上がらないまま教室へと入って挨拶をする。
「おう」
「ああ」
「おぉ」
真司と隼人がいつものように返事を返してくれる。
「どうしたんだ海斗、ゴールデンウィークボケか?」
「いや、そんなんじゃないけど」
「やけにテンション低いな。ゴールデンウィーク中に何かあったのか?」
「まあ……な」
「俺達に話してみろよ。海斗には世話になってるからな、助けになるぞ?」
「そうだぜ。一人で考えて上手くいかなくても三人集まれば文殊の知恵って言うだろ」
「ああ、そうだな」
俺自身も、完全に煮詰まって行き詰まっていたので、真司と隼人の言葉はありがたい。
俺だけでは無理でも、二人なら何か名案を思いついてくれるかもしれない。
俺はゴールデンウィークの出来事を二人にかいつまんで話した。
「…‥と言うわけなんだ。それでどうしていいかわからなくてな」
「…………」
「……あっ」
「どう思う?」
「……ああ」
「…………」
「おい、何か言えよ」
「そう……だな」
「まあ……なっ」
「相談にのってくれるんじゃないのか?」
「いや、思ってたよりも重い話だったから俺なんかが軽々しい事は言えないと思って」
「そう、それだよ」
「だから、そんな簡単な内容だったらこんなに悩んでないんだって」
「そう……だよな。うんがんばれ!」
がんばれって何をどう頑張るんだよ。
「多分、それは俺達よりも葛城さんとかに相談した方が絶対にいい。間違いない」
「おお、そうだな。悠美もいるしあの二人なら、きっと相談にのってくれる」
は〜……やっぱりこの二人じゃ三人集まってもダメだったか。
いつも通り三人集まっても、やっぱりモブはモブだった。
結局二人からはなんの助言も得られないまま、授業が始まってしまった。
二人からの唯一の助言は春香達に相談する事だった。
授業の合間に相談するような内容でも無いので結局、テンションの上がらないまま授業を最後まで受ける事になってしまい、あまり授業の内容も頭には入ってこなかった。
授業って真面目に聞いていないと結構長いので、ずっとカオリンの事を考えてしまい、結論の出ない問いに放課後になる頃には俺のテンションは更に下がって、燃えカスのようになってしまっていた。
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