第640話 鑑定
「ここが十八階層か」
「特に変わった様子は無いわね」
「いずれにしても、今日はここまでだな」
「はい、すぐに引き返してギルドへ行きましょう」
俺達は『ゲートキーパー』を使ってすぐに移動して、一階層から地上へと戻り、そのままギルドへと直行した。
急げばまだ間に合う時間だ。
足早にギルドへと向かい、いつもの日番谷さんのいる窓口へと進んでいく。
運良く並んでいる人はいないようなので、すぐに応対してもらう事ができた。
「すいません、鑑定をお願いします」
「はい、それでは鑑定するアイテムをここに。それといつものように鑑定料として三万円頂戴いたします」
「わかりました。これをお願いします」
「これは……ポーションですね。それではしばらくお待ちください」
日番谷さんがドロップしたポーションを持って奥の部屋へと消えていった。
「どうですかね?」
「こればっかりは鑑定結果を待つしか無いな」
「そうですよね」
あ〜緊張してきた。受験の結果が張り出される時と同じ感じだ。
しかも今回はもっと切実だ。
受験は落ちても他に選択肢があるが、今回はこれしか無い。
「まだですかね」
「まだ二分しか経ってないぞ」
「そうですよね」
まだ二分しか経って無いのか。
もう五分以上が経過した気がするのに。
もしあれが霊薬じゃなければ、どうすればいいんだ。
だめだ、待っているこの時間にネガティブな考えしか浮かんでこない。
「もう、そろそろですかね」
「海斗、ちょっとは落ち着きなさいよ。まだよ」
「ああ、そうだな」
よく二人は落ち着いていられるな。
あ〜緊張してトイレに行きたくなってきた。
「ごめん。俺ちょっとトイレに行ってくる」
「わかったわ」
急いでトイレに向かう。
焦っても仕方がない。鑑定が終わるまで待てばはっきりとする。
まさか毒薬とかじゃないよな。
トイレに行く間もよくない考えばかりが浮かんでくる。
トイレを済ませてから、みんなの所へ戻るが、まだ日番谷さんは戻ってきていない。
「まだなんだ」
「もう来ると思うけど」
ソワソワしながら待っていると、遂に日番谷さんがポーションを持って戻ってきた。
「お待たせしました」
「はい」
「ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか? これは、どこでドロップしたのでしょうか?」
「十七階層主の部屋です」
「階層主はどんなモンスターだったんですか?」
「多分階層主はネクロマンサーで、使役しているスカルドラゴンが三体とスケルトンがいっぱいでした」
「スカルドラゴンを使役するネクロマンサーですか。それなら納得ですが、十七階層でスカルドラゴンを使役するネクロマンサーですか……十七階層で出る様なモンスターでは無い気がしますが」
「そう言われても、出ましたよ」
「不思議ですね。高木様達は、イレギュラーなケースが他の探索者の方達よりも頻発している気がします。なにか高木様には、イレギュラーを呼び込む不思議な力があるのかと本気で考えてしまいます」
「また冗談を……」
自分でも自覚があるだけに答えにくいが、やはりあのネクロマンサーは強すぎると思ったんだよな。
あんなのサーバント無しじゃ倒せる気がしないもんな。
「それではこちらが鑑定結果になります」
そう言って日番谷さんがポーションと鑑定書を渡してきた。
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