第627話 燃えない
ルシェが獄炎を放つが、一応理性は保っていたようでベルリアにではなくスカルドラゴンへと獄炎が迫る。
骨であれば獄炎で燃やし尽くす事も可能ではないかと考えたが、どうやら甘かったようだ。
スカルドラゴンは獄炎を受けても、外装に守られダメージを受けている感じがない。
しかも、周囲を獄炎が取り囲んでいるにもかかわらず、普通に動いている。
普通のモンスターであれば、動きを封じる効果はあるはずだが、やはりこのスカルドラゴンは命を持たない敵なのかもしれない。
騎乗しているネクロマンサーによって操られている屍。
であれば敵はネクロマンサーということにはなるが、位置的にネクロマンサーを倒そうとすれば、どうしても先にスカルドラゴンを倒すしかない。
しかも獄炎は燻って消えていない。
今まではこの獄炎の持続性が敵を縛り最後には燃やし尽くしていたのだが、同時にそれはルシェの無力化も意味している。
つまり獄炎が消えなければルシェは次のスキルを放てないが、スカルドラゴンは纏った泥が沸騰しているのは見て取れるが、一向に焼ける気配もなければ、獄炎も消える様子もない、
つまりは、ルシェはこの戦いにおいて攻撃する術を失ったに等しい。
「ルシェ……」
「なんだよ! 海斗がベルリアじゃなくてあいつに放つように言ったんだろ! ベルリアなら燃え尽きてたぞ! 海斗のせいだろ!」
確かに俺が獄炎をベルリアではなくスカルドラゴンへと放つように指示をした。
だけどベルリアに放っておけばよかったような言い方はまずいだろ!
そんな事より今は敵だ。
「ルシェ、下がってろ」
「チッ……」
チッってなんだよ。
獄炎が鎮火するまでは仕方がないだろ。
いずれにしてもルシェを除くメンバーで階層主であるネクロマンサーとスカルドラゴンを倒さなければならない。
残念ながらスナッチもほぼ戦力外だ。
唯一『フラッシュボム』なら効果はありそうだが使い所が今のところ見えない。
あのファイアブレスはやばい。
回復スキル持ちのベルリアでなければ対抗できない。
「ベルリアは正面から、残りのメンバーは四方から攻めよう!」
「おまかせ下さい」
ベルリアが正面から注意を引き残りの三人で側面と後方から順番に攻撃をかけるのが一番可能性が高い。
四人が散らばり、それぞれがスカルドラゴンへと向かっていく。
駆けている俺の耳にまた頭上からネクロマンシーの詠唱の声がボソボソと聞こえてきた。
今度はなんだ?
また違う外装でも出てくるのか?
スカルドラゴンの後方へと回り込もうとした時だった。
進もうとしていた先の地面が突然盛り上がり、そこからスケルトンが湧き上がってきた。
「スケルトン!? いったい何体いるんだ!」
スケルトンは俺の前だけではなくスカルドラゴンを取り囲むようにして出現し、俺たちの行手を阻む形で身構えている。
ネクロマンサーの魔法により生み出されたのは間違いない。
たかがスケルトンとはいえ手にはそれぞれ、研がれた剣を携えているので、油断はできない。
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