第545話 炎の息
ベルリアは火竜と近接戦を繰り広げており、火竜が噛みつき攻撃を繰り返しているがベルリアはそれを上回る速度で回避を続け、すれ違いざまに斬りつけてダメージを与えている。
火竜の鱗が至る所剥げ落ち、切り口からは血が滴り落ちている。
「私が最後になった様なのでそろそろ終わりにしましょうか」
ベルリアが刀を振りかぶった瞬間火竜が口をベルリアに向けて思いっきり開いた。
「あっ……」
ここから見える火竜の口の中には、真っ赤に燃え盛る炎が渦巻いているのが見てとれ、次の瞬間、地響きの様な音と共に大量の炎がベルリアに向けて吐き出された。
「ファイアブレス……」
火竜による本物のファイアブレス。
当然俺の殺虫剤ブレスに引火させたのとは比較にならない量の炎が火竜の口から放射線状に放たれた。
「ベルリア!」
近距離からファイアブレスを放たれたベルリアは、上空へとジャンプしてファイアブレスを避けて、そのまま回転斬りに持ち込み火竜の首を撥ねた。
「ベルリア、大丈夫か?」
「はい、全く問題ありません。蜥蜴の炎など恐るるに足りません」
「だけど良く躱せたな。火竜がファイアブレスを吐くとは思って無かったよ」
「まあ、少し驚きましたが問題ありません」
正直俺だったらやばかったな。
あの戦いの最中に近距離からファイアブレスを放たれて避けるイメージが湧かない。
人間である俺では、ベルリアの様に上空へと数メートルジャンプする事は出来ないし、放射線状に放たれたブレスには逃げ場が無い。
マントの耐熱性に期待したい所だが、あの熱量の炎は流石に防ぐ事は出来ない気がする。流石に本家本元だけあって他のモンスターのブレスと迫力が違う。掠った程度ならなんとかなるかもしれないが、もろにくらえばただでは済まないだろう。
「ベルリア、流石だな。俺はこの後の対ドラゴン戦を考え無いといけないよ。ブレスを放つ相手に至近距離まで近づく勇気がない」
「それは私もだが、近づかずに倒し切ることは出来ないからな。口を開けた瞬間『アイアンボール』を叩き込むしか無いな」
「あいりさん『アイアンボール』で防げなかった時にやばいですよ」
「その時はベルリアに治してもらうよ」
仮にベルリアが治せたとしても、あの炎に焼かれると思うと背筋が寒くなる。
「まあでも、次からは極力距離を取って様子を見ながら戦いましょう。ミクとスナッチも援護を頼むな」
俺としては、さっきのファイアブレスを見て攻撃は遠方からの『ドラグナー』による攻撃で仕留めるの一択だが、それだけではどう考えてもMPがもたないので接近戦も視野に入れざるをえない。
「次は、ルシェもいってみるか。暇だろ?」
「あんな灯火程度でビビってるんじゃ無いぞ! 本物の炎との違いを見せてやる」
「ああ、期待してるよ」
魔核を回収して進むが鬼の魔核よりは少し大きいのと色が少し濃い気がするので一個二万円ぐらいはすると思われる。
最悪、霊薬の類がドロップしなかった場合はオークションでの買取も視野に入れる必要があるので、お金はいくらあっても困らない。
ただ、全員でかかったとしても数億以上のお金を確保する事は容易では無いので高額ドロップは必須だろう。
その上でカオリンのご両親と相談してお金を用立てて貰えばなんとかなるかもしれないが、現在の俺の所持金では全てを注ぎ込んでも購入額の一割にも満たないだろう。
何となくドラゴンといえば財宝を貯め込んでいるイメージがあるので、出来る事なら金持ちドラゴンにこの階層で遭遇する事にも期待したい。
お知らせ
子爵級悪魔の俺は勇者に殺されて天使に生まれ変わったけどなぜか魔法が使えない を投稿始めました。
https://kakuyomu.jp/works/16817139555932062354
よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます