第478話 愛されキャラ?

「はい、ど〜ぞ。私のは食べれないの?」

「…………」

「海斗さん、あ〜ん。せっかく海斗さんに食べてもらいたかったのに………」

「…………」

「海斗、もちろん私のは食べてくれるんだろう」

「…………」


俺はどうすればいいんだ。何が正解なんだ?これを食べてしまえば、おかずと引き換えに俺は何が大切なものを失ってしまいそうな気がする。

かと言ってこれを無視するのも難しい………

どうすればいいんだ………


「ふふふっ」

「ふふふ」

「海斗………」


何?どうしたんだ?


「海斗、その顔………冗談よ」

「えっ?」

「急にラブコメとか言い出すからからかってみたくなっただけよ」

「私もそれに乗ってみただけなのです」

「私もだ。ラブコメハーレム主人公の海斗も悪く無かっただろう」

「な、な、なにをしてるんですか!」

「海斗がどんな反応するかと思ったんだけどある意味予想通りだったわね」

「そうですね。どうせなら順番にあ〜んで食べて欲しかったのです」

「まあ海斗だからな」


俺だからって完全に馬鹿にされてるよな。


「そんな事出来るはずがないだろ。俺には………」

「はいはい、春香ちゃんがいるって言うんでしょ」

「………まあ、そうだけど」

「でも告白もしてないんでしょ」

「……………まあ、そうだけど」

「振られるかもしれないわね」

「……………………まあ、そうだけど」

「冗談よ」

「週末のネタが一つ出来たのです」


…………週末のネタって何だ?


「もしこのまま食べてたらどうなったんだよ」

「それはね〜」

「もちろん報告です。春香さんに」


春香に報告!?

ヤバかった。やっぱり勢いで食べなくて良かった。

それにしても女の子は怖い。今後も調子にのる様な行動は控えないと俺の人生が終了してしまいそうで怖い。


「まあせっかくだから食べてよ」

「あ、ああ、じゃあ手でいただきます」


3人のおかずを順番にいただいたが、味は物凄く美味しかった。

ただ出来る事なら普通に食べたかった。


「ありがとう。美味しかったです。でも土曜日にはこんな冗談は必要ないから」

「それって振りなのですよね」

「ち、違う。本気だ。絶対にやめてくれ」

「ふ〜ん、土曜日もやればいいって事ね」

「ミク………本当にやめてくれ。頼む……お願いします」

「わかってるわよ。冗談に決まってるでしょ」

「カオリンもわかってるよな」

「ワカッテルノデス。イヤダナ〜」

「本当だな」

「大丈夫です」

「海斗愛されてるな」

「どこがですか」


お昼ご飯は休憩を兼ねているはずなのに異常に疲れてしまった。

昼からの探索大丈夫だろうか?

疲労が抜けた気が全くしない。


「それじゃあ、そろそろ進みましょうか」


いつまでも休憩している訳にもいかないので俺は重い身体に鞭を入れ先に進む事にした。


「あいりさんが鉄の呼Qで海斗さんが氷の呼Qなのですよね」

「いや俺は別に……」

「私は何が良いですかね〜。武器が無くても大丈夫ですよね。う〜ん炎雷の呼Qはどうですかね?」

「いやどうですかと言われてもな〜。そもそも俺よく知らないし」

「嘘でしょ。鬼烈の刀ですよ。一大ムーブメントを起こした大ヒットアニメなのですよ」

「いや見たことない。ミクも知らないよな」

「えっ?もちろん知ってるわよ。当たり前でしょ」


当たり前なのか?

俺はマイノリティなのか?

それともこのパーティ内だけの話なのか判断がつかない。


「カオリンが炎雷の呼Qなら私は炎被りだから幻の呼Qにしようかな」

「良いですね〜」


何だこの当たり前の様な会話は?

炎被りって何?

そもそも呼Qってなんだよ。

そんなことしてる余裕あるのか?

このパーティはダンジョンを使った壮大な厨二なりきりごっこをパーティでするつもりなのか?

どうやらあいりさんだけじゃ無くパーティメンバー全員が病気に罹っていたらしい。

俺が気が付いてなかっただけでKー12は重度の厨二病患者で構成されたパーティだった。


あとがき

本日ギフトいただきました。ありがとうございました。

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