第413話 春休み
今日は終業式だったので、このクラスのメンバーで過ごすのも今日で最後かと思うと少し寂しい気がする。
もっとも、それほど友達が多い訳でもなく隼人と真司、春香と最近になって前澤さんと交流があるぐらいなので他の人達に比べると感傷に浸る時間は短い。
ただし、3年生で春香と違うクラスになったらと思うと気が重い………
春香とは土曜日に会う約束をしてから学校を後にした。
この3日間学校が午前中に終わってからずっと1階層に潜っている。
大体5時間近く潜っているのでかなり集中してスライムを狩る事が出来ていると思う。
明日からは春休みなので15階層に連日潜る事になる。その為の魔核を既に200個近くは手にしているが春休み分としてはまだ十分では無い。
「海斗〜。飽きた。もうスライムばっかりは飽きた」
「ルシェ、わがまま言ってはいけませんよ」
「シルも飽きただろ〜」
「私は飽きてはいません。少し手持ち無沙汰なだけですよ」
「それを飽きたって言ってるんだよ」
「ルシェそんなに暇ならベルリアと代わって止めをさしてもらってもいいぞ」
「え〜スライムを倒すだけじゃつまんない」
初日から文句は言ってきていたが、3日目の今日は特にうるさい。
俺はキリングマシーンと化しているので余計な雑念が入る事は無いが、見ているだけなら暇なのは理解出来る。
「そういえばこの前のモンスターミートは美味しかったです」
「スライムってこれだけ倒してるのにモンスターミートなんかドロップした事ないな」
「スライムは肉がないからミートはドロップしないのでしょうか」
「スライムは良くてゼリーじゃないか?」
「海斗、ゼリーも悪くないな」
「そうですねゼリーもいいかもしれません。でもやっぱり赤い魔核には及びませんが」
「そうだった。早く赤い魔核を見つけろよ。シルに聞いたら馬の肉より上だって言ってたぞ」
忘れてなかったのか。赤い魔核なんかそうそう見つかるわけないが、モンスターミートよりも美味しいってどれだけ美味しいんだ。人は魔核を食べる事は出来無いが、そこまで言われると味わってみたくなってしまう。
その後も時間の許す限り魔核を集めてから家路についた。明日は朝からダンジョンに潜る事になっているがパーティでこれだけの時間を連続して潜るのは初めてなので、カオリンや他のメンバーの体調管理を今まで以上にして攻略のペースを調整しながら臨みたい。
翌日になり、朝から15階層に来ている。
「それじゃあ、今日から集中してダンジョン攻略を進めるけど、今回の目標はまずは15階層の攻略ね。順調に進めば16階層も攻略出来る様に頑張ろう。後はドロップアイテムだけどこればっかりは頑張ってどうにかなるもんでも無いから、可能性を高める為に出来るだけモンスターを多く倒せる様にやっていこう」
「海斗、張り切るのはいいけどトラップには注意してよね」
「焦らずゆっくり進みましょうね」
「トラップもこの前のだけとは限らないからな」
流石にみんな地に足がついた感じでしっかりしているが、今回の1番の目的は霊薬を手に入れる事なので16階層の攻略にそこまでこだわりは無いものの、15階層ではエリアボスのミノタウロスでさえ霊薬をドロップする事は無かった。
正直15階層では霊薬を手に入れる事は難しい気がするので必然的に先の階に進むしか無い気がする。
モンスターミートがドロップした影響もあり、前回までにダンジョンの1/3から先への探索は思ったよりも進んでいない。
今日からはモンスターミートがドロップしても、すぐには帰還せずに探索を進めるつもりだが、出来る事なら牛のモンスターミートが食べてみたい。
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