第391話 猛攻
「う〜んどうしよか」
俺はすぐに決断する事は出来ずに、ミノタウロスとの戦闘を継続していたが、残念ながら状況が勝手に好転する事は無く、予想通り時間と共にレイドメンバーが目に見えて疲れてきている。
後方から数人が回復を試みたり、入れ替わりでポーションを飲んだりはしている様だが徐々に消耗して来ている。
「何トロトロやってるんだ。考えるだけ無駄だろ!」
ルシェがけしかけて来るが、それしかない様にも思えるので俺は指示を出す。
「シル『楽園の泉』を使ってから『神の雷撃』を!ルシェは『破滅の獄炎』を連続で頼む」
「おい『暴食の美姫』は使わないのか?」
「あ〜それはいいや。カオリンも融合魔法を頼んだ。みんなで一気に行くぞ!」
シルがルシールを召喚したのを合図に俺も『ドラグナー』を連射してミノタウロスを倒しにかかる。
ルシールの風が舞い前方のミノタウロスが宙を飛んだのを皮切りに、ルシェが『破滅の獄炎』を放ち目の前が開けた。
開けた所にベルリアが単独で突っ込んで行く。
俺としては突っ込んで行く気は全く無かったのだが、ベルリアだけではすぐに囲まれてしまいそうなので止む負えず遅れて突っ込む。
突っ込むと同時に突然敵が後方待機している場所が爆発して、それまで悠長に待機していたミノタウロスが急に混乱し始めた。
カオリンの融合魔法が上手く決まった様だ。
混乱に乗じて敵を撃つべくナイトブリンガーを発動して、気配を薄めてミノタウロスに迫り側部からバルザードを突き刺してから破裂のイメージをのせ爆散させる。
俺のすぐ横にはあいりさんが来てミノタウロスに『アイアンボール』をお見舞いしている。
間髪入れずにシルの『神の雷撃』が発動して轟音と共にミノタウロスを消失させる。
一瞬他の探索者達は、突然の爆音の連続に驚いて動きが鈍ったものの、すぐに味方の攻撃である事が分かった様で、その瞬間に今が好機と取った探索者が一気に押し始めた。
全体に押し込み始めた所を、俺達のパーティーが敵の中団から後方にかけてを一気に崩しにかかる。
「ドガガガガガ〜ン」
シル、ルシェ、ルシールそしてカオリンが2発目を発動した事で更に相手の数は減り、数の上ではほぼ同数になっている。
スナッチも走り回って『ヘッジホッグ』を発動してミノタウロスに混乱をもたらしており、ミクと共に突っ込んだ俺達3人のフォローをしてくれている。
気を抜くとすぐに増殖のスピードが上回り数が増えてしまうので、更に攻撃の手数を増やしていく。
ベルリアが2刀を振るいながら更に前に進んで行くので俺もその背後に陣取り気配を薄めながら攻撃を続ける。
シル達の3発目が炸裂した時点で後ろに控えていたミノタウロスは、ほぼいなくなり、増殖分を含めても完全に探索者側が数的優位に立った。
全てのミノタウロスが探索者と交戦に入ったのでこれから先はシル達に連発させるのは危険だ。
「シル、ルシェ、後は増殖した個体だけ倒してくれ。カオリンも融合魔法は終わりにしよう。他のパーティのサポートに回ってくれ!」
増殖のペースよりも倒す速さの方が上回って来たので、ここまでくれば普通に考えて、確実に倒していけば自ずと数は減って行くだろう。
俺とベルリア、あいりさんは目の前の敵を倒してから他の探索者と共闘に入る。
俺は、他の探索者が戦っているミノタウロスの背後に回り込んで魔氷剣で駆逐していく。
探索者の共通認識としてもこのまま押し切ればいけるという認識が広がって来たのが伝わってくる。
最後まで気を抜かない様にしっかり戦っていきたい。
あとがき
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