第368話 新技?

「マイロードその銃すばらしいですね」

「そう思うか?」

「姿形がいいですね」

「そうか?」

「はい。射出される弾もいいですね」

「やらないぞ!」

「…………」

「そもそもベルリアは魔法が使えないんだから『ドラグナー』は使えないぞ」

「……そうですね」


俺は今2階層で魔核集めと修練を積んでいる。

俺だけでは無くサーバントも含めた全員の熟練度を上げるべく頑張っている。

お陰でなかなか魔核が貯まらないが、なんとか両立させるべく頑張っている。

まず新しいスキルの練度を高めるべく積極的に『楽園の泉』と『黒翼の風』そして俺の『ドラグナー』を使用しているがどれも燃費がすこぶる悪い。

そしてあぶれた形になっているベルリアが『ドラグナー』を物欲しそうに見てきたが、さすがにこれをやるわけにはいかない。

そういえば今日はいないが、スナッチの新しいスキルも使い所が難しすぎて未だに使用した事が無い。


「ベルリアも何か新技とか開発してみる?」

「新技ですか?」

「スキルはレベルアップしないと身につかないだろうから新技とか」

「新技ですか……」

「例えば『ダークキュア』使って体内を活性化させて『アクセルブースト』使うと超パワーが生まれるとか」

「やってみますね『ダークキュア』   『アクセルブースト』   ダメです」

「そうだな。ごめん。それじゃあ回転しながら『アクセルブースト』とかどうだ?」

「回転しながらですか………やってみます」


そういうと、ベルリアは『アクセルブースト』を使ってコマのように横方向に回転し始めた。

俺が思ってたのとは違うがこれはこれでありなのか?


「…っつ、どうでしょうか………」

「ベルリアふらついてるぞ。やっぱり横回転は無理だな。縦回転でジャンプして回転しながら斬るのはどうだ?」

「やってみます」


今度は俺の意図がちゃんと伝わったようでジャンプして切る瞬間に二刀で前方にくるくる回りながら斬りつける。

今度は目も回っていない様だしアニメの必殺技みたいな感じで結構いけてるんじゃ無いかと思うけど実際にはどうだろうか?


「いいんじゃないか?ゴブリン相手にやってみるか」

「はい」


歩き始めてすぐゴブリンに遭遇したのでベルリアが応戦する。


「マイロードしっかりとご覧ください。いきます『アクセルブースト』」


ベルリアがゴブリンまで走って行ってそのままジャンプしてから、一気に前回転を始めたかと思うと3回転したところで勢いを増した剣戟をモンスターの頭に浴びせかけ消滅させた。


「マイロード、やりましたよ!」

「ああ、よかったんじゃ無いか」


確かに威力が増した気がするのと視覚的に大技感がすごい。

正直ベルリアの『アクセルブースト』ならこんな事をしなくてもゴブリンを一撃で倒せるのだが、ベルリアが満足そうなので、ただの思いつきにしては良かったんじゃ無いだろうか。


「マイロード、魔核を頂いてもよろしいでしょうか?」

「えっ?」

「申し訳ないのですが『アクセルブースト』の連発と新技の動きで魔核が必要になってしまいました」

「そうなんだ………」


俺が言い出した事だから仕方が無いが、ただでさえ魔核の消費が激しいのにベルリアまでか……


「次からは、普通に倒そうな。さっきの技は特別な敵限定で使おうな」

「はい分かりました」


仕方がないのでベルリアに魔核2個を渡しておいたが、なぜか全く活躍していないルシェまで騒ぎ始めてしまい、結局3人に2個ずつ渡す事になってしまった。

やはり思いつきで話す物ではないなと改めて反省してしまった。

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